スタッフレポート

スタッフによるレポートを掲載しています。

歯科衛生士根石さんの発表をきいて

「歯科衛生士になってよかった~人のためにできること~」

●症例1

49歳 男性

主訴:検査・クリーニング希望

歯科既往歴:4・5年前に治療

定期健診を会社から推奨されていたけれど、歯科医院が苦手でなかなか足が進まなかった。

そのため、今回も通えるか不安がある。

・どのような対応をしたか

丁寧に時間を掛けて説明 患者さんの希望を聞く 診療の1/3はお話をする

・結果

セルフケアをどのようにしたら良いか、熱心に聞いて頂ける関係性を作ることができた

→笑顔で通っていただけることで、やりがいを感じることができ、セミナーでSRPを学ぶ意欲になった

●症例2

54歳 男性

主訴:検査・クリーニング

既往歴:歯周病と言われた

特に何もしたことない

→このことから、危機感がないと感じた

・どのような対応をしたか

デンタルでの多量の縁下の確認ができたため、除石を行った

・結果

課題:縁下を取り切れずEXTになった歯があること

   SRPに捕らわれTBI不足になったこと

歯の大切さを伝えることができ、患者さんの意識の改善ができた

→患者さんと良い関係性を築くことができた

●症例3

57歳 男性

主訴:歯茎が痛い しみるところがある

既往歴:歯周病と言われた

10年前から歯医者に通っておらず、必要なところを最短で治してほしい

・どのような対応をしたか

口腔内所見とデンタルから、全顎的に縁上縁下歯石が多量にあることを確認

・結果

課題:残石があった

初来院時はブラッシングへの意欲も低く、ご自身でどれくらいの時間ブラッシングをしているのかの

意識もなかったが、今では時間をかけて磨いて頂けるようになった

●歯科衛生士という仕事へのモチベーションを上げる方法

・セミナーなどで頑張っている人を見る

・仕事でのモチベーションの高い友達と会う

・歯科衛生士をしてよかったことを具体的に考える

・長い目で見たときの人生のポジティブな目標を立てる

●奥山さんへのQ&A

Q、大きい歯石や深いポケットでの除石の方法

A、縁下は超音波ではなく、キュレットでミニファイブの細いタイプで取ることが多い。

また、しっかりレストを置き、一回で全て取ろうとするのではなく、数回に分けて取っている。

キュレットはしっかり研ぎ、使っていくことで、自分のキュレットを育てる。

探知はしっかり行い、小さいストロークでは、歯石を丸くしてしまうので、深いところから大きい

ストロークで取るようにする。また、根面と平行に当てられてないと、歯石の表面をつるつるさせて

しまうので、きちんと平行に当てるようにする。

→この探知力をあげるために、抜去歯牙を箱などで見えなくし、歯石を取ってみる。

 その後、取れて いるか確認をし、ちゃんと取れたという感覚を覚えるようにする。

Q、出産後の働き方

A、いろんな経験は自分のプラスになる。技術的ではなく、幅を広げる時期と考えるようにする。

子育ては待ってくれないか、仕事は待ってくれるので、ちゃんとこどもをみてあげることが大切だが、

仕事を楽しめなくならないように追い込みすぎないようにする。

子育ても歯科衛生士人生も楽しむ ということが大切である。

 

●感想

根石さんの歯科衛生士になったプロセスは、私とよく似ており、共感できるところや、今後自分が

どういう風に仕事に向き合っていくべきなのか、参考にできるところがすごく多かったです。

歯科衛生士としてはもちろん、女性として、どのように社会で過ごしていくかという点で“楽しむ”と

いうことがとても大切であると感じました。 もっと、技術力や経験値を上げ、患者さんに出会って

よかったと思える歯科衛生士になれるよう、今度も意欲的にがんばっていきたいです。

                    衛生士 福田

  2023/06/07   ふくだ歯科

お口が渇きがちな患者さんの口腔ケア&保湿剤活用術について、勉強会で発表して

下準備&観察のしかた  

1・バイタルチェック     

□自覚症状・他覚症状の有無(しんどさ、息苦しさなど)     

□客観的評価        

 〇意識レベル      〇脈拍        〇体温         〇SpO2   

2・体位調整     

 誤嚥予防と安全安楽を確保      

  座位が可能な場合   90度座位のまま頭部前屈に注意 足が安定      

  ベッド理想体位    30度リクライニング頸部前屈位      

  誤嚥リスク高い場合  頭部を横向き             

     ↑        

  無理な姿勢ではないか、苦痛表情がないか、患者さんの身体に

  力が入っている箇所がないかを確認する  

3・口腔内の状態の把握     

 観察チェックリスト      

  〇歯の状態(歯数、う歯、補綴装置)      

  〇口腔衛生状態      

  〇義歯や動揺歯の有無      

  〇舌・口蓋・頬粘膜の汚染物の付着      

  〇潰瘍や出血の有無      

  〇唾液の性状(粘膜・泡状)  など      

  泡状唾液        

   口腔乾燥がある場合、唾液は所見では泡状になっており、触ると   

   粘性になっている。特に最後臼歯部あたりや舌縁を確認するとよい。

不快感軽減&保湿を持続させるための口腔ケア    

1・加湿とマッサージ     

 汚れを浮かせて、除去しやすくする      

 まずは加湿して軟らかく       

 グローブを装着した指に水やマウスリンスをつけて口腔粘膜を ゆっくり優しく触っていく       ↑

 付着物があるかの確認・マッサージ効果・リラクゼーション             

 大きな汚染物はこの段階で除去をしておく  

2・口腔清掃     

 補助用具を用いりながら、傷をつけないことを最優先にする      

  歯ブラシは軟らかめ      

  強固に付着している汚染物等はシングルタフトブラシ(軟らかめ)使用       

  浮き上がった汚染物がまた乾燥することもあるので、ブロックごとに スポンジブラシや

  口腔ケアシートなどで汚染物の回収をする    

3・含嗽と口腔内清拭     

 除去したものは、残らず回収する       

  含嗽可能な場合   しっかり吐きだせているか確認                 

            水分が残留しやすい舌下は、必ず確認する       

  含嗽が困難な場合  スポンジブラシや口腔ケアシートで口腔内 全体を清拭する

   必要な水分や唾液まで拭い取りすぎないように注意し、適度の 湿潤状態を保つ。

   ケア後乾燥している時は、保湿スプレーなどで 再度加湿しておく    

4・保湿     

 口腔ケア後のうるおいをキープするため保湿ジェルを薄く塗布する

 

【感想】

口腔ケアをした後の保湿をあまり重視していない方も多いと思う、保湿 の重要性をアプローチするのも

必要。  

                        衛生士 赤木  

  2023/05/17   ふくだ歯科
タグ:口腔乾燥

歯科医療安全研修会に参加して

歯科診療時に知っておきたいHIV感染症の知識

1.後天性免疫不全症候群

類型:五類感染症、全数把握

病原体:ヒト免疫不全ウイルス(HIV)

BSL:BSL3(biosafety level 3)

伝搬様式:HIV感染者との性的接触、血液感染、母子感染

無症候期:数年〜10年〜

治療・予防:HIV感染が成立した際の治療(ART:antiretroviral therapy) 

     主に就業時にHIV曝露した際の予防(PEP:Postexposure prophylaxis)

     HIV陰性者が内服する予防(PrEP:Preexposure prophylaxis)

     妊娠時の抗HIV薬服用による母子感染予防 ※HIV感染症は疾患名であって、AIDSとは免疫が著しく低下した状態のこと

2.急性HIV感染症の症状、身体所見の頻度

3.血液曝露後の対応

肝炎ウイルスを怖がらずにHIV"を気にするとしたら…

針刺し:HIVというウイルスの場合

○針に含まれる血液量は医科で使用する18~20Gの針で1μℓ前後。歯科の針だと27~30Gで細いのでもっと

 少ない

○HIV RNAが20コピー/㎖なら1μℓ中に0.02個 ※HIV RNAが10万コピー/㎖(治療していない人のレベル)で

 あっても1μℓ中に100個

○感染能力のあるHIVウイルス粒子は1000個中1個

↓そのため

治療によって数値のコントロールが出来ている患者の場合、1回の針刺し事故で曝露する感染性粒子数

は、HIV RNAが20コピー/㎖なら0.00002個。HIV RNAが10万コピー/㎖あったとしても0.1個  

標準予防策を取ること、安全器具をとること、PEP

これらを行うことで、日本国内では職業状のHIV感染例は0件!

対策をきちんとしていれば医科も歯科も感染は起きていません。

・標準予防策(Standard Precautions:SP)

・感染経路の特徴と主な原因微生物

・ 抗HIV薬の曝露後予防内服(PEP)

PEPとは、曝露後予防(Post exposure prophylaxis)の略語です。HIVに感染したかもしれない行為の後

(曝露後)72時間以内に、抗HIV薬(HIVに対する治療薬)の内服を開始して、HIVに感染するリスクを低下

させる予防策のことをいいます。PEPが開始された場合、1日1回か2回(選択された組み合わせにより

異なります)の内服を28日間続ける必要があります。

〈感想〉

今回の研修で、万が一針刺し事故が起きても感染するリスクはとても低いというのが驚きでした。

和田先生が、HIVの患者さんも服薬していれば健康な人と同じような生活ができるので、皆と同じ

ように歯科に行きたいと思っている方もたくさんいると言われていました。もちろん、普段から感染

対策には気を付けていますし、針刺しにも引き続き注意が必要ですが、必要以上に不安がるのは患者

さんに伝わって不快な思いをさせてしまうかもしれないので、正しい知識を身につけて、自分も守り

ながら患者さんにも安心して治療を受けていただけるようにしたいと思いました。

                              衛生士 星島

  2023/04/12   ふくだ歯科
タグ:

歯科衛生士に必要な臨床力について、勉強会で発表して

分析力の中に

*病態を診る目

 口腔内外診査、咬合診査、X線診査、臨床診査があります。

*人を見る目

 関係を築くスキル、聴くスキル、伝えるスキルがあります。

病態を診る目

・口腔内診査

 歯周組織診査(PD,CAL)、硬組織診査(歯牙、歯槽骨、歯列)、

 軟組織診査(歯肉の性状、病的な歯肉形態、舌、頬粘膜、付着歯肉、小帯)

・口腔外診査

 全身バランス(肩のバランス、首の傾斜など)、顎関節(顎関節の位置、下顎正中の編位など)、

 顔貌(口唇の傾き、口角と目の位置など)、顎骨形態、口腔習癖(口呼吸など)、

 態癖(頬杖、睡眠態癖など)

・咬合診査

 問診、視診、触診、レントゲン診査から異常所見と過剰な力を察知してその原因を探り患者さんへ

 悪習癖の気づきを与えブラキシズムやTCHの指導などに取り組む事が必要

・X線診査

 デンタルX線、パノラマⅩ線、歯科用CT、頭部規格X線

 1病態や原因を知る 2骨内欠損の有無・形態の把握 3治療方針を考える

 4歯周治療やメインテナンスに活かす

・臨床検査

 歯周病原細菌検査(RedComplex)、血液検査(生化学検査、血液学検査、糖尿病検査)

人を見る目

 関係を築くスキル(個の違いに適応するスキル)

 聴くスキル(価値観や考えの違う相手を受け入れる、相手を尊重し傾聴する、情報を得る)

 伝えるスキル(伝える内容を明確にし相手が理解できるように表現)

  関係を築くスキル

   分析、ライフステージ

   ライフステージの中で患者さんはどこにあたるのか

   1どういう時期にあるのか(ライフステージのどの時期か)

   2どんな状況か(心、身体、生活の問題)

   3口腔に問題はあるか(病態)

   4今、何をすべきか(どうコントロールしていくか)

  聴くスキル

   傾聴 アクティブリスニング、あいづち:共感フィードバック

      反復、言い換え:要約フィードバック

   質問 効果的な質問  

      閉ざされた質問  

      開かれた質問

   配慮のある聴き方

  伝えるスキル

   話し方 

   明瞭な言葉 3つのトーンペーシング(声の大小、スピード)

          センテンスは短く 意図的な間

   伝え方

   アイコンタクト、繰り返し

   接し方

   相手を納得、理解させる接し方

 感想

患者さんの病態は院長と情報を共有、理解し患者さんにあった説明をしなくてはいけないと思い

ました。衛生士は患者さんと接する機会が多いため、患者さんの性格や特徴を把握しその方に

あった対応をしていきたいと思います。

                    衛生士 岡崎

  2023/03/01   ふくだ歯科
タグ:臨床力

「第8回 頑張っている歯科衛生士への応援メッセージ」に参加して

山本早織さん(歯科衛生士)

『子供の笑顔が原動力~苦悩と葛藤から見つけた私らしくいられる場所~』

三宅ハロー歯科で勤務されています。

小児歯科学会認定歯科衛生士を取得され、医院で主任に昇格。育児と仕事を両立させるために努力

されたそうですが、最初は苦悩も多かったそうです。医院ではキャリアと年齢がちょうど真ん中で、

後輩のアイデアと先輩の意見の調和が難しいと痛感したこともあるそうです。得意な小児歯科診療で

医院に貢献したそうです。 小児歯科では、いかに泣かさずに、歯医者を好きになってもらうかは歯科

衛生士次第とおっしゃっていました。泣いている子供に対しても褒めるところを見つけ、3wayなどの

器具は「シャワー」と呼んだりして、子供に遊び感覚で楽しんでもらえるよう工夫されていました。

金中章江さん(歯科衛生士)

『歯科衛生士人生を振り返って』

MAEDA DENTAL CLINICで勤務されています。

院長から主任を依頼され、細かいところに気づいて動けるマネージャーのような主任を目指し、

スタッフとのコミュニケーションを大事にされているそうです。 歯周炎の患者さんが来院されたとき

は、歯科衛生士の治療方針を決め、どうすれば改善するか考えているそうです。患者さんのセルフケア

を確立させるために、意識改革で来るような声掛けを工夫してされていました。SPT移行時には、治療

開始時と現在の写真を見てもらい、モチベーションの向上をはかっているそうです。

髙原千尋さん(歯科衛生士)

『出会いに感謝し、学びについて考える』

山脇歯科医院で勤務されています。

育児と仕事に追われ、歯科衛生士業務に対してやりがいを感じられていない時期があったそうです。

そこで一度退職し、違った業種で働いたことで、歯科衛生士の仕事の魅力に気づくこともあったそう

です。復職し、自身の行いに対して成果がでるとやりがいが得られることを実感し、楽しんで仕事が

できているそうです。 患者さんとの信頼関係を築くために、話すペースとトーンを合わせ、緊張を和ら

げるようにし、治療時には、痛みを与えないように歯肉の状態や歯根の形態を意識して、スケーラーの

ブレードの太さを検討することや、挿入角度を注意しているそうです。

川崎律子先生

『臨床って楽しい!~しごとに夢中になれるエッセンス~』

東京の長谷川歯科医院で勤務されています。

歯科衛生士になり、26歳の時ご結婚され、退職されたそうです。その後復職し、大学の非常勤講師と

しても働かれていました。日本歯周病学会認定歯科衛生士、日本審美学会ホワイトニングコーディ

ネーター、日本口腔インプラント学会認定インプラント専門歯科衛生士の資格も取得されています。

「長い間一人の患者を見ていくことは、自分がやってきた治療やケアの結果を見ること」とおっしゃ

っており、これが歯科衛生士を長く続けているわけのひとつなのだそうです。

<感想>

小児対応に対して苦手意識があるので、褒めることや、楽しく治療できる工夫を取り入れたいと思い

ました。まだできないことや勉強しなければならないこともたくさんありますが、自分が先輩になった

時に、円滑なコミュニケーションや的確な治療ができるように努力したいです。治療後に悔しさや達成

感を感じることがあるのですが、今回の講演を聞いてそれが仕事のやりがいへと繋がるとわかった

ので、これを大事にして、経験を積んでいきたいです。

                                   衛生士 國只

  2023/02/23   ふくだ歯科

「P.g菌の増殖と上皮バリア」について、勉強会で発表して

1、P.g菌と鉄の関係

P.g菌は強力な歯周障害性を持つ代表的な歯周病菌だが、弱点は多い細菌種である。

・空気中の酸素に曝露される環境では生育できない

・pH6.0以下の酸性状態である環境では生育できない

・鉄分とタンパク質が必須

ヒトの体内には遊離の鉄イオンは存在しておらず、トランスフェリン、フェリチリン、ラクト

フェリン、ヘモグロビンなどの鉄結合性タンパク質と結合した状態で代謝あるいは保存されている。

これは細菌に鉄を奪われないための人体の知恵である。ヒト体内の鉄は細菌に利用されないように

しっかり管理されているにもかかわらず、P.g菌をはじめとする歯周病菌は血液中のヘモグロビンから

へミン鉄(鉄を含むポルフィリン)を摂取することができる。

2.上皮バリアの役割

皮膚は上皮バリアの代表例だが、粘膜を覆う上皮細胞も、私たちが歯周病菌との共生状態を維持する

ための重要なバリアである。歯肉上皮バリアは、バイオフィルムから歯周組織を守る物理的障壁である

とともに、細菌の栄養となる成分が、歯周組織から歯周ポケット内に滲出するのを防いでいる。

歯肉縁上バリアが機能している段階では、P.g菌をはじめとする歯周病菌と歯周組織との拮抗状態は

維持されており、歯周病の発症には至らない。炎症が進行して常にバリアが破られ潰瘍ができた時、

流れ出た出血を栄養としてP.g菌などの歯周病菌は増殖し、バイオフィルムと歯周組織の拮抗バランス

が崩れ、慢性歯周炎が発症する。

3.P.g菌は傷の治癒を阻害する

手や足の傷口は放っておいても治る。これは、潰瘍面周囲の上皮細胞たちが増殖し、潰瘍面を埋める

ように移動(遊走)して潰瘍を閉じる。ところが、歯周ポケット内の潰瘍は自然には治らない。

バイオフィルムの刺激によって慢性の炎症が続いているために、上皮バリアの損傷は止まらず、潰瘍面

の修復には至らない。そして、P.g菌が上皮バリアの閉鎖を阻害する。

細胞の足である接着斑はいくつかのタンパク質で作られている。このタンパク質の1つでも障害を

受ければ細胞は遊走しなくなる。P.g菌は上皮細胞内に潜入し、この接着斑の部分タンパク質を

分解する。そのため、細胞の接着斑は破壊され、細胞は遊走できなくなる。P.g菌に非感染部位では、

細胞が潰瘍面を埋めるように移動・増殖し、1~2日で再び均一な単層を形成する。しかし、P.g菌が

感染すると歯肉上皮細胞の、移動・増殖は阻害され、潰瘍面は埋まらない。これが歯周ポケットで

起きているのである。

4.歯周治療の目標は、歯周ポケットからの出血を止めること

歯周治療の目標は

・歯周ポケットを浅くする

・アタッチメントレベルの増加

・骨レベルの改善

・付着歯肉幅の増加

と言われる。

歯周ポケット内の潰瘍面から血液が供給され続ける限り、バイオフィルムの高病原性は維持し歯周炎は

進行する。歯周ポケット内の出血を止めるには、潰瘍面が細胞で埋められ上皮バリアが修復されること

が必要である。 基本治療で目指すことは、歯周炎発症までの過程を逆に辿り、バイオフィルムの病原性

を歯周炎発症前のものに戻すことだ。つまり、ポケット内の出血の停止である。ポケット内の潰瘍の

閉鎖により、歯周病菌への血液の供給を断ち、かつての低い病原性しか持たないバイオフィルムに戻す

必要がある。歯周ポケットのマイクロビオーム(常在微生物叢)を元の状態に戻し、「歯周病菌と

歯周組織の拮抗による共生関係」を取り戻すことによって、歯周状態も元の状態に戻っていく。

5.メインテナンスの目的

歯周病の症状が治まっていても、歯肉退縮や骨吸収によってプラークコントロールが難しくなって

しまった箇所は残っており、BOP陽性ポケットや、浅くならないポケットなど、再発してもおかしく

ない状態の場合もある。歯周病菌はそんな部位にバイオフィルムを蓄積させて成熟させようとして

いる。新しい部位にバイオフィルムが蓄積する前に壊してしまう必要がある。成熟化しているバイオ

フィルムを定期的に全て除去する。そうすることで高病原性化しつつあったバイオフィルムを低病原性

の状態に戻す必要がある。患者さんのバイオフィルムの病原性が高くなるタイミングには個人差が

ある。メインテナンスの間隔も患者さんごとに異なるはずだ。わずかな蓄積でもバイオフィルムが成熟

し高病原化するのか、そうでないのかを見極めるために、歯周治療が終わってから1ヶ月後、2ヶ月後、

3ヶ月後と徐々に間隔を空けて患者さんの歯周状態を観察するべきである。そのためには、患者さんの

セルフケアの状態を確認することも大きな目的である。症状がないことへの安心感から口腔清掃への

モチベーションが下がっていないか、加齢や疾病によってブラッシング技術や意欲が低下していないか

を確認する。そして、患者さんの生活環境や生活習慣の変化を把握して、歯周状態に良くない因子の

除去に努める必要がある。

6.感想

歯周病を完治させることはできないが、出血を抑えることで、歯周病が発症するためのバイオフィルム

が低病原性のものになり、歯周病を抑えることができるということが分かった。メインテナンスのTBI

を教えてもらい、出血がしやすい原因なども理解できたので、それを用いた上で、問診やメインテ

ナンス時の口腔観察を努めていきたいと思った。患者さんがセルフケアだけではなく定期検診に通って

もらい、さらに自分の口腔内を綺麗に保つモチベーション向上のため、炎症の指摘だけのTBIでは

なく、歯周病についてしっかりと理解してもらえるよう、口腔状態を伝えていきたい。

                        衛生士 小鐵

  2023/02/05   ふくだ歯科
タグ:歯周病

「歯周病の予測」について、勉強会で発表して

Ⅰ.歯周病の危険因子について

 歯周病の原因は

 ①歯周病菌、歯石やプラーク、外傷性咬合といった病的因子 

 ②免疫や組織抵抗力といった遺伝、ストレス、口腔解剖学的形態といった宿主的因子 

 ③生活習慣、教育や文化、経済や医療、保健といった環境的因子

 の3つがあります。

 これらは、歯周病の発症・進行に関係があると考えられる因子で、リスクファクター(危険因子)

 と呼ばれています。しかし、リスクファクターがあるから必ず、歯周病になるというわけでは

 ありません。ただ、発症や進行の可能性は増加します。

Ⅱ.病原性の高い歯周病について

 患者さんのバイオフィルムに、病原性の高い歯周病菌がいるか、いないかは、とても重要です。

 レッドコンプレックスは病原性が高く、大きな危険因子です。なかでも、Ⅱ型のP.gingivalisは、

 高病原性の細菌です。これに感染すると、非感染者と比べて44.44倍も歯周炎が発症する危険性が

 高くなります。歯周病のリスク因子として有名な喫煙や糖尿病と比べ、かなり高い値です。 対策方法

 として、細菌検査や臨床症状からリスク判断ができます。もし、細菌検査が可能であれば、十分な

 ブラッシングや定期的プロフェッショナルケアなどの歯周病予防対策を早めにスタートすることが

 できます。もし、細菌検査ができないのであれば、治療効果の推移と合わせて、歯周病の病原性を

 推測することができます。歯周治療方針を決めるうえで、とても大切なことです。

Ⅲ.歯周病の発症・進行への影響について

 世の中には、歯周病になりやすい体質の人と、そうでない人がいます。これは、遺伝的要因によって

 異なってきますが、そのメカニズムははっきりとは分かっていません。ストレスや不健康、妬みや

 恨みなどの悪い感情は免疫力や抵抗力を弱めます。生活習慣も重要です。 生活環境は、毎日患者さん

 と共にあり、歯周病の発症・進行に大きな影響を与えます。患者さんのことをよく知り、生活作り

 から、一生涯に渡って続く、歯周病のメンテナンスが始まります。良い生活習慣を保てないことは、

 歯周病の危険因子といえます。 望ましい健康生活とは、健康的に食べて、動いて、寝ることです。

 お酒は控えめで、タバコとストレスは百害あって一利なしです。口腔の健康習慣は、歯肉縁・歯間部

 の清掃と定期的歯科受診です。よく噛むこと、硬いものを食べること、カルシウムを取ることも

 歯周病予防に効果的と言われていますが、科学的根拠はありません。

Ⅳ.代表的な危険因子について

 歯周病は中年以降が圧倒的に多く、年齢と共に発症リスクがUPします。また、女性より男性の方が、

 飲酒や喫煙などの生活習慣や性格の面から考えて、高リスクであることが多いです。 危険因子の代表

 は、肥満、喫煙、飲酒です。BMIが22前後の人と比べて、25以上の人のリスクは約3倍、BMI30以上

 では約9倍となります。また、糖尿病が発症するとリスクは3~11倍となります。受動喫煙もリスクが

 あり、非喫煙者よりも喫煙者は5倍、受動喫煙者は3倍です。毎日、大瓶ビール1本程度を飲み続ける

 と、リスクは約3倍となります。また、飲酒する人の中で、顔が赤くなるか、赤くならないかでも

 リスクが異なります。赤くなる人は、33ml以上のアルコールを毎日飲むと、4.28倍リスクが高く

 なります。飲酒で顔が赤くなる人には、飲酒を控えるように伝える必要があります。

Ⅴ.歯科衛生士のミッションについて

 患者さんは、いろんな危険因子に囲まれて毎日を過ごしています。歯周病の発症を患者さんの人生を

 通して予防することが理想です。どんな重要な歯周炎でも必ず始まりがあります。その時を

 見逃さない目をもって、早期発見・早期治療をする。日常から支えていくことが歯科衛生士の使命に

 なります。

Ⅵ.感想

 患者さんの体のタイプや生活環境から、患者さんの口腔内も出来上がっているので、問診でいろんな

 情報収集をすることが、とても大切であると感じました。また、口腔内所見からはもちろんですが、

 普段の何気ない会話から、患者さんの変化が分かることもあります。なので、定期メンテナンスに

 通ってくださっている患者さんの変化に早く気づいて、歯周病の進行を遅らせていくことができる

 のは、歯科衛生士の腕の見せ所であると思いました。 自分もそういった目で日頃、過ごしていける

 よう今後も頑張ります。

                     衛生士 福田

  2022/12/04   ふくだ歯科
タグ:歯周病

「不安と負担を軽くする妊娠期の歯科診療ガイド」について、発表して

《妊娠期の歯科受診が必要な3つの理由》

①妊娠中は口腔内のリスクが高まるから

②早産や妊娠合併症のリスクと関連するから

 最近では妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの合併症にも関連することが報告

③妊婦の口腔や全身の健康は胎児に影響するから

 母親の口腔内環境を良好に保つことがう蝕細菌の母子伝播予防になる

《妊娠期にみられる全身・口腔内の変化を知ろう》

妊娠期は女性ホルモンが急激に上昇し、ダイナミックな変化が全身や口腔内に出現する特別な時期

です。妊娠期につわり症状が現れた場合には、生活・食習慣が乱れがちとなることに加え、嘔気に

よってブラッシングが十分にできず、口腔内環境が悪化しやすくなります。また食事(間食)回数が

増え、唾液緩衝能が低下することも重なり、う蝕の発症リスクが高まります。

・全身の変化

 つわり 頻尿 便秘 痔 持病の悪化 貧血 腰・背部痛 皮膚の変化 動悸 眠気 精神の不安定

 免疫力の低下

・口腔内の変化

 歯肉炎・歯周炎 妊娠性エプーリス 智歯周囲炎 う蝕 酸蝕症 地図状舌 口内炎 口臭 

 歯の原因不明痛

《不安と負担の軽減につながる診療のポイント》

①妊婦が歯科へ抱く不安に応える

Q1:妊娠中に歯科治療を受けても問題はないのでしょうか。出産後まで待ったほうがいいので

     しょうか?

A1:治療に最も適しているのは安定期(妊娠5~7カ月)です。出産後はむしろ来院が難しくなるため、

   妊娠期に治療をしておくことがお勧めです。

Q2:妊娠中のエックス線撮影は問題ないのでしょうか。

A2:通常の撮影におけるエックス線量では問題ありません。歯科のエックス線量は、一年間の自然

          放射線の約1/100程度であり、顎顔面に対しての撮影法となるため胎児に直接エックス線が

          当たることはなく、危険度は非常に低いといえます。

Q3:妊娠中に歯科の薬の服用をしても問題ないのでしょうか。

A3;母体や胎児に影響を与えるなどの薬剤が必要となる場合は安全に使用できるものを適切量使用

         するので問題ありません。

Q4:治療を行うために麻酔が必要と言われたのですが、問題ないのでしょうか。

A4:通常使用量であれば問題ありません。むしろ痛みを我慢するほうが母子にとってストレスに

          なることもありますので、適切に使用しましょう。

②医療面接で緊張を和らげる

 コロナ禍において感染対策を実践しているという安心を与えることも大切

③負担をかけないチェアーポジション

 上体を45度程度傾けた半座位とする。緊急時のポジションは左側を下とする側臥位をとり、大動脈

    の圧迫を解放する。

《つわり時のブラッシングのコツ》

・無理せず体調の良い時間に行う

 起床時や一日の疲れがたまった夜などに辛くなることが多いです。

・ぶくぶくうがいをしておく

 無理に歯磨きをせず、水や洗口剤で口腔内をできるだけ清潔にしておきましょう。

・ながら磨きのすすめ

 テレビを見ながら、お風呂でリラックスをしながら、など体調の良いときを利用しましょう。

・小さめのヘッドのブラシで

 奥歯を磨くときに喉に近い粘膜を刺激しないよう、歯ブラシのヘッド部分がなるべく薄くコンパクト

    なものを使用しましょう。

・奥から前にかきだすように

 喉に近い部分に不意に歯ブラシが当たらないように慎重に行いましょう。

・顔を下に向けて

 歯磨き中に喉に唾液がたまらないように、下を向いて歯磨きをしましょう。

・臭いや刺激が少ない歯磨き剤で

 臭いに対して過敏になることが多いので、できるだけ臭いや刺激の少ないものに代えるかつらい

    ときは無理に歯磨き剤を使用しなくてもいいでしょう。

◎ガムを噛むことができるならキシリトールなど砂糖不使用のガムを噛みましょう。

    虫歯予防効果や唾液の分泌促進によって、むし歯菌の母子伝播予防にも役立ちます。

△嘔吐直後の歯磨きは控えて

    嘔吐直後に研磨剤が含まれる歯磨き剤を使うと、残った胃液で歯の磨耗を促進してしまう危険性が

    生じます。まずは水やうがい薬で口の中の汚れを十分に洗い流し、唾液による緩衝作用が回復する

    約30分間は歯磨きを控えましょう。

    妊娠期は規則正しい食生活、食習慣の改善、禁煙、アルコールを控えるなど生活習慣を変えることが

    できるビッグチャンスです。また妊娠期の口腔衛生管理は理想的な歯科疾患予防になりさまざまな

    妊娠トラブルのリスク低減につながるかもしれません。さらに生まれてくる子どもに対しても、う蝕

    ゼロや口腔機能の発達を導き、口呼吸や不正咬合をも予防する理想的なスタートにできるのです

《感想》

私は当院でも取り扱いのあるチェックアップスタンダードを使用すると臭いや刺激が少ないため比較的

楽に歯磨きができました。このような経験や学んだ知識を患者さんにもお伝えし、ストレスの少ない

妊娠期を過ごすお手伝いができたらと思いました。

                                衛生士 藤元

  2022/11/20   ふくだ歯科
タグ:妊娠

「歯周病と糖尿病」について、勉強会で発表して

糖尿病はこんな病気

糖尿病とは、インスリンという血糖値を下げるホルモンの効果が十分ではないことにより、血糖値が

上昇した状況がずっと続く(慢性高血糖)場合を指す。放置し続けて糖尿病を発症すると、いろいろな

合併症が起きてしまう。歯周病もその一つ。現在の医療ではいちど糖尿病を発症するとほぼ完治は

できないため、予備軍のうちに注意して進行させないことが大切。

歯周病は糖尿病によって悪化しやすくなる

歯周病も動脈硬化などと同様、糖尿病になると進行が早まり、また歯周病の治療が終了してメインテ

ナンスに入っても再発をきたしやすくなると考えられている。糖尿病のコントロールの指標である

ヘモグロビンA1c(HbA1c)がおおむね7%を超えるとそのリスクが高くなると考えられている。リスク

回避という観点からいうとHbA1cを7%以下にコントロールしておくことが肝要。

糖尿病と肥満の関係

肥満になるとインスリンのはたらきが鈍ってくることがわかっている。肥満の方では「インスリン

抵抗性」が生じる。そうなると、一定の血糖を保つうえで通常より多くのインスリンが分泌される。

この状態が長く続くと、すい臓に負担がかかりすぎ、やがて分泌量は減っていき、「インスリン分泌

不全」の状態になる。結果として、インスリンの分泌が枯渇して、糖尿病が悪化してしまう。

肥満は歯周病と同じ慢性的な炎症を起こす

肥満症の特徴は脂肪細胞が増えること。そこには多数の脂肪細胞が観察される。従来脂肪細胞は余分な

エネルギーを中性脂肪の形で蓄えているだけの、倉庫のような細胞だと考えられていた。ところが、

成熟した脂肪細胞には多数の免疫細胞が集積していることがわかってきた。つまり、脂肪組織では感染

によらない炎症が起きている。

従来、歯周病による炎症は口の中にとどまっていると考えられていた。しかし、近年歯周病による

炎症は他の臓器や組織に広がるとかんがえられるようになった。全身に日常的な炎症を惹き起こすと

いう意味では、肥満も歯周病も実は「似た者同士」ということになる。

ポッチャリ体型なら歯周治療による糖尿病の改善があり得る

歯周病によって口の中で起きた炎症は、体のほかの部位に広がる。ほどほどに脂肪組織が成熟している

ポチャリ体型の方では、脂肪組織にも炎症が波及する。重度の歯周病の方ではCRP値が上昇するケース

がある。歯周治療で初診時に高かったCRP値が下がる患者さんに限って、糖尿病のHbA1cも改善する

ことがわかってきた。つまり、歯周病による炎症が体に波及している場合、歯周治療でその炎症を

抑えることが糖尿病の改善につながる。

 (CRP値:肝臓から産生される炎症マーカー)

 

【感想】

糖尿病の自覚がなくても、ややポッチャリ体型の重度歯周病患者さんでは、隠れ糖尿病に罹っている

可能性があるそうです。患者さんの生活習慣や栄養状態を観察していく必要もあると思う。

                          衛生士 赤木

  2022/10/23   ふくだ歯科

岡山県歯科医師会医療安全研修会に参加して

新型コロナウイルス感染症に対して歯科医療ができること 

 

・新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)

目、鼻、喉、口腔などの粘膜にある受容体(ACE-2)を介入して侵入し増幅すると言われている。

歯周病などの口腔細菌は喉や口腔粘膜(舌)を保護している粘膜の糖たんぱく質を溶かす分解酵素を

出すためウイルスが受容体に吸着し侵入するのを手助けする

・口腔症状

最も一般的な口腔症状は味覚症害で有病率は45%。 口腔粘膜病変は白および紅斑性プラーク、不規則な

潰瘍、小さな水疱、点状出血、剥離性歯肉炎など。舌、口蓋、唇,歯肉、頬粘膜が影響を受ける。

軽度の症例では口腔粘膜病変は最初の呼吸器症状の前、または同時に発症する 味覚障害が多い理由

としては、舌背の糸状乳頭に新型コロナウイルスの受容体ACE-2が存在するため。歯周ポケットは

ウイルスにとって好ましい生息場所であり新型コロナウイルスの貯蔵庫として機能する可能性がある

ため貯蔵庫を破壊することが重要。

・新型コロナウイルス対策で見落としていた口腔バイオフィルムに由来する3つの重症化要因

① 唾液感染と歯肉出血(BOP)に由来する低酸素症

② 口腔バイオフィルムに由来する黄色ブドウ球菌のスーパー抗原(サイトカインストームの原因)

③ 口腔バイオフィルムに由来する炎症関連物質ガレクチン-3(Gal-3)の産生:(サイトカイン

ストーム、動脈硬化、糖尿病の原因)

口腔粘膜病変は(たぶん)貧血性低酸素症で起きると言われている

貧血性低酸素症:血液の酸素量が低下した状態のこと。

→パルスオキシメーターで計測できるためPCR検査を待つ必要はなく早期発見につながるため

今注目されている。

・感染症の3要因

病原体:歯科診療所でのPCR検査を実現(現在は診断までに75分)

環境:診療所での個人防護具、口腔外バキュームの使用、予約診療で待合の密を防ぐ

宿主:歯周治療による肺炎リスクの低下

殺菌剤CPC配合の製剤が新型コロナウイルスを99.9%不活化すると報告

塩化ベンザルコニウム(BKC 0.05%以上)

塩化ベンゼトニウム(BTC 0.05%以上)は新型コロナウイルスに対して有効と判断。

ガム・デンタルリンス(CPC+BKC)、ポピドンヨード、リステリン(クールミント) はドイツの実験で

新型コロナウイルスに対して極めて有効と報告された。

・糖尿病と並んで歯周病も新型コロナウイルスによる肺炎のリスクを上げている

新型コロナウイルスは口腔で増殖するので出血している歯周組織から血液中に侵入する可能性がある

歯周組織から細菌や内毒素(LPS)が血液中に拡散することにはすでに強いエビデンスがある

・新型コロナウイルスは免疫細胞が狂乱状態に陥って過剰に反応してしまうこと

(サイトカインストーム)

そのために普通ならば感染細胞だけ倒す免疫系が健全細胞まで倒してしまう

→血管の病変に繋がり肺炎を起こす

・重症化予防 サイトカインストーム(免疫暴走)を防ぐ

新型コロナウイルス感染症はサイトカインストーム、すなわち免疫暴走により重症化する。本来なら

免疫細胞がウイルスと闘うために作るサイトカインですが、制御不可能となって自分の細胞まで攻撃

してしまう現象のこと。このサイトカインストームを引き起こす物質の多くは歯周病菌に由来すると

考えられている。歯周病菌は炎症性サイトカインの産生を増強し、肺炎やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)

などの重症化に影響することがある。

 

感想

専門的な口腔清掃を行うことの大切さは理解していましたが、必要な歯科治療を行い咀嚼ができる

ようにするということも感染予防に重要ということがわかりました。歯科受診を控えている方も

少なくないように感じますがコロナ対策の一つに口腔ケアがとても重要ということをお伝えして

いきたいのと、自分自身もセルフケアをより徹底していきたいと思います。

                               衛生士 藤元   

  2022/08/12   ふくだ歯科