スタッフレポート

スタッフによるレポートを掲載しています。

岡山大学歯学部同窓会セミナー2019に参加して

つまようじ法とは、つまようじのように歯ブラシの毛先を歯と歯の間に出し入れすることにより、

歯間部の歯肉のマッサージと歯垢除去をおこなうブラッシング方法です。つまようじ法を行うことに

より、歯周病の予防・治療や歯の歯周病予防に効果があることが示されています。

① 動揺度の改善

動揺歯を有する患者さん20人につまようじ法での術者磨きとブラッシング指導を行ったところ、初診時

に横から平均101gの力で押すと動揺し始めていた歯が、2週間後には141g、4週間後に147g、

8週間後には157gかけないと動かないくらいにしっかりしてきた。

② 口臭の改善

対象者の口にストローを入れて口臭の原因とされる揮発性硫黄化合物の濃度を測定。つまようじ法に

よる術者磨きを1人平均7回繰り返し、濃度の変化を調べました。その結果、13人の初診時の濃度は

平均で250.2ppb(1ppbは10憶分の1)でしたが、治療後には平均59.0ppbと約4分の1に

ダウン。全員がそばにいても口臭を感じない100ppb以下のレベルに下がり、中には1100ppbから

60ppb程度まで激減した例もありました。 厚生省が30歳以上の約25000人を対象に平成五年に行った

調査では、役3500人(約14%)が口臭問題を訴え、口臭に悩む人は年々増加中とのことです。 口臭の

原因は、虫歯や歯周病、消化器系などとされますが、今回の調査によって、口の中を清潔にすれば、

口臭が防げることが裏付けられ、つまようじ法を続けることで、長期的な口臭減少に繋がるものと

考えられています。

③ 歯周病を改善

つまようじ法を行うと歯肉からの出血は早く治ります。1週間で差が出るほどです。つまようじ法は、

バス法とフロスの併用による方法に比べて、臨床的にも有効であり、短時間で終わります。

《ブラッシングのマッサージ効果》

つまようじ法のマッサージ効果をイヌの歯肉を使って調べました。 イヌの歯肉の一方を毎日歯磨きし、

反対側の歯は徹底的に歯石・歯垢除去をしました。1週間後、ブラッシング側の細胞は歯石・歯垢除去

側に比べ2倍くらいたくさんの細胞が増殖していました。また、炎症性細胞の数も5週間で半分に減って

いました。このことから歯周病には歯石・歯垢除去よりもブラッシングによるマッサージが有効である

ことがわかりました。 また、つまようじ法によるブラッシングのマッサージ効果は約200gの力で10秒

から20秒行うことが一番効果が高いという結果も出ました。 (200g消しゴムで字を消すときと同じような力に相当します。)

《つまようじ法ブラッシングの気持ちよさがモチベーションに》

患者さんにつまようじ法をすると、「気持ちいい」、「いまから食事をするのがもったいないくらい」

などポジティブな感想が多くみられたそうです。 歯と歯の間に毛先を通すという感覚は非常に

インパクトが強く、驚きとともに爽快感を味わっていただけます。

◎ ブラッシングの感想

気持ちいい・・・76%

驚き・・・・・・33%

痛い・・・・・・10%

なんともない・・2%

その他・・・・・2%

《感想》

実際につまようじ法を受けた感想は、結構ガシガシされている感覚でしたが、してもらった後は

すっきりした感じはありました。家で自分でやってみましたが、なかなか難しく患者さんがセルフケア

を行うのには難しいかなと感じました。ですが爽快感があるため、それを求めまた来院してプロフェ

ッショナルケアを受けようというモチベーションに繋がるのかなと思いました。今後TBIを行う際には

参考にしていこうと思います。

                                                                                                            衛生士 藤元

  2019/10/22   ふくだ歯科

岡山大学歯学部同窓会セミナー2019に参加して

1.歯周病の長期継続管理と生涯に渡るむし歯予防

  日本人が歯を失う原因の第1位は歯周病、第2位はう蝕であるとされています。う蝕はフッ化物を公衆

 衛生的に応用することによってかなりの予防効果が期待できます。しかし、歯周病に対しては一対一

 の対応でなければ効果を挙げることは困難です。歯科医院に来院している患者さんは主訴の多くは

 歯牙に関するものですが、その8-9割は歯周病に罹患していると言われています。来院された患者

 さんの30年後、50年後の口腔内を考えて歯周病を見逃さずに対応することにより、長期にわたって

 より良い口腔内を保つことができます。

2.歯周病の治療や長期継続管理を行っていく上での術者磨きの目的

・爽快感による動機づけ・・・self care(自分でもやってみよう)

              professional care(また受診しよう)

・治癒効果・・・徹底的なプラーク除去、歯肉のマッサージ

・コミュニケーション

3.モチベーションを上げるためには

  楽しい、気持ちいい、健康になれるなどのポジティブなモチベーションの方が継続に効果があり

 ます。そのためには1日何回、何分磨いてくださいという指導はあまり行いません。

 説明では忘れてしまうので感覚で覚えてもらうと良いでしょう。

4.予防歯科

《むし歯予防と歯周病予防の違い》

•むし歯予防・・・1.フッ化物の利用(洗口・歯磨剤)

         2.糖分の摂取制限(回数・時間帯)

         3.規則正しい食生活

•歯周病予防・・・1.適切なブラッシング(歯垢の除去・歯肉のマッサージ)

         2.professional Tooth Cleaning

                         3.適切な食生活

                         4.喫煙を避ける

 

 まとめ

 今回の講演の中で、治療の為だけでなく痛くない時にも通える歯科医院を目指すというお話があり

 ました。TBIなどで患者さんと接する際にどうしても「ここが出来ていない」「ここが悪くなっている」

 などとネガティブな指導をしてしまいがちですが、予防を目的に自主的に歯科に来院してもらうため

 に、「気持ちいいから」、「健康になれるから」というポジティブなモチベーションを持っていただける

 ように意識しながら接していけたらと思いました。

                             衛生士  星島

  2019/10/09   ふくだ歯科
タグ:虫歯予防

歯周病と糖尿病について、勉強会で発表して

日本における糖尿病患者は4人に1人となり、歯科医院でも糖尿病を抱えた患者を診る機会が増えて

きています。歯周病は糖尿病第6の合併症といわれており、歯周病治療を担当する歯科衛生士にとって

糖尿病を理解することは重要です。

 

糖尿病とは

インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖(血糖)が増えてしまう病気。インス

リンは膵臓からでるホルモンであり、血糖を一定の範囲におさめる働きを担っています。

 

1型糖尿病

・膵臓でインスリンを作るB細胞が壊れてしまうため、インスリンが膵臓からほとんど出なくなり、

 血糖値が高くなる

・若い人に多い

・やせ型の方が多い

 

2型糖尿病

・生活習慣や遺伝的な影響により、インスリンが出にくくなったり、インスリンが効きにくくなったり

 して血糖値が高くなる

・中高年に多い

・肥満の方が多いが、やせ型の方もいる

 

糖尿病の自覚症状

・喉が渇く、水をよく飲む

・尿の回数が増える

・体重が減る

・疲れやすくなる  など

 

糖尿病の合併症

・毛細血管を中心に生じる細小血管障害  

 糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害

・比較的太い血管に起こる大血管障害  

 心筋梗塞、脳梗塞などの原因となる動脈硬化

 

合併症予防 HbA1c7.0%未満

 

歯周病との関係

糖尿病は歯周病を悪化させる

糖尿病の患者さんは、唾液の分泌が少なく、プラークがつきやすくなることがよくあります。そのため

歯周病の発症リスクは健常な人の2〜3倍といわれます。免疫機能の低下で、細菌に対する抵抗力が

低く、歯周病が悪化しやすくなっています。

歯周病は糖尿病を悪化させる  

糖尿病の患者さんが、風邪などの感染症にかかると、一時的にインスリンの作用が弱くなり、血糖値が

高くなります。歯周病も感染症のため、血糖値を上げるように働きます。風邪などの一時的な病気とは

異なり、歯周病は慢性の感染症のため、その影響がずっと続き血糖コントロールを悪化させます。

歯周病により、歯茎が痛んだり歯がグラグラ揺れたりするような状況では食事の量が減ったり食べる物

が偏ったりして、食事療法や薬物療法を正しく行えないようになります。

糖尿病の人は歯周病が発症・進行しやすく、歯周病のために糖尿病の治療がうまくいかないこともあり

ます。反対に血糖をよくコントロールし適切に歯周病を治療すれば、双方に好影響を与える相乗効果を

生み出します。

PCRが下がるとHbA1cが下がる!

HbA1c1%改善に伴う合併症リスク低減効果

・糖尿病関連死 −21%

・心筋梗塞   −14%

・脳梗塞    −12%

 

感想

 糖尿病と歯周病は密接に関係していることがわかりました。歯周病治療をすることにより糖尿病の

 合併症のリスクも低減できるということで、私達歯科衛生士の役目はとても重大なものだと感じ

 ました。糖尿病についてはもちろん、糖尿病の患者さんが歯周治療になぜ通われているのか患者さん

 の気持ちもしっかりと考えていきたいです。       

                            衛生士 松本

  2019/09/29   ふくだ歯科

「初診時に響く!コミュニケーションのコツ」について、勉強会で発表して

患者さんを理解するにあたっては情報収集が不可欠です。

その手段として、問診表やカウンセリングシートがあります。これらを活用することで、口腔内に

関する訴えのみならず、歯科医院の最終受診歴、自院への来院理由、過去における体験などから、

さまざまな患者さんの行動パターンを読むことができます。そうして得られた情報をもとに、

さらに患者理解を深めるために、歯科医療コミュニケーションがなされます。

 

① 歯科医院の最終受診歴を把握する

 最後にいつ歯科医院を受診されたかという情報は、患者さんの口腔に対する意識を予測する情報の

 1つとなります。最終受診日だけでなく、その頃どのような目的で通院し終えたのか、歯科治療が

 最終受診となり、その後は歯周病予防で来院することはなかったのか、来院したとすれば、どの

 くらいの間隔で、どのような目的で通院されていたのか(治療だけなのか、メインテナンスで通って

 いたのかまで確認することができると、その患者さんの予防意識に関する情報がより深まります。

  問診票や患者さんへのインタビューから得られる情報をふまえて、患者さんの予防意識を2つの

 パターンに分けて考えることができます。1つは「メインテナンスの意義を十分理解していなかった

 ために、長い間歯科医院を受診することがなかった」パターン、もう1つは「メインテナンスの意義

 を十分に理解しているのにもかかわらず、受診を継続しなかった」パターンです。前者の場合、一方

 的な説明は控えながらも、患者さんにメインテナンスの重要性と意義に対して関心を示してもらう

 ようにアプローチしましょう。後者の場合、受診を継続できなかったことを理解・共感したうえで、

 少しでも行動変容に向かうようサポートの方法を考えていきましょう。

② 自院への来院理由を理解する

 患者さんが自院に来院することには必ず理由が存在します。それについて詳しく伺うことで、患者

 さんが自院に対しどのような印象を持っておられるのか、どのようなことを期待されているのかが

 見えてきます。 仮に他者からの紹介(口コミ)で来院した患者さんであれば、紹介者は患者さんにどの

 ような話をされ、患者さんはその内容の何に響いて来院しようとする意思決定がなされたのかを理解

 すると良いでしょう。その「何か」を医療者側が把握することで、患者さんのニーズが見えて

 きます。 広告やホームページを見て来院した患者さんも同様に、広告やホームページのどの内容に

 関心をもたれたかを把握することで、他の歯科医院ではなく、自院へ来院した患者さん独自の理由と

 なるのです。

③ 過去における体験を聴く

 主訴に加えて、初診の患者さんに確認しておきたいこととして、過去に歯科医院でどのような体験を

 したかという情報も重要です。特に、患者さんが転院を決定づけたエピソードなどの情報があれば、

 それをもとに自院でも対策につなげると良いでしょう。例えば、なかなか抜歯ができなかった状況

 で、歯科医師もスタッフも苛立っており、その雰囲気が伝わってとても怖かったという経験をもつ

 患者さんであれば、歯科治療時における声かけや、スタッフ間の言葉遣い、態度、接し方に関して、

 徹底的に配慮できるよう心掛けましょう。 また、患者さんから話を聴く際、患者さんは話している

 うちに過去の嫌な経験が想起され、当時の感情やマイナスイメージのある歯科医師、スタッフの顔・

 声・態度まで思い出して不快感が増幅した結果、話が脱線していくことがよくあります。そんな時

 は、患者さんの気持ちが落ち着いたところで、本題に戻すよう心掛けることも大切です。あくまでも

 情報収集を目的としていることを忘れてはいけません。

 

〈まとめ〉

今まで、患者さんとのコミュニケーションについては、ゆっくり時間を費やせば良いと思っていた部分

がありました。しかし、慌ただしい診療の中の限られた時間で、患者さんを理解するための適切な情報

収集と、患者さんが抱える問題に焦点を当て、解決に向けたコミュニケーションをとる事が大切だと

思いました。

                           衛生士 関口

  2019/09/04   ふくだ歯科

「認知症患者さんを不安にさせない対応をマニチュードに学ぶ」について、勉強会で発表して

「ユマニチュード」は、ケア提供者の振る舞いによって、患者さんに“やさしさ”というメッセージを

伝えるコミュニケーション技術。

 

ユマニチュードの基本技法

 ユマニチュードは150を越える細かな実践技術からなっている。もっとも基本的な技法  として、

 “4つの柱”があり、➀見つめる、②話しかける、③触れる、④立つことの支援  から成る。

 歯科の場合に特に活用できる➀から③について紹介する。

 

見る   

 笑顔を見せ、ゆっくりと正面から近づくことがポイント。できるだけ、相手と同じ 視線の高さになる

 ように姿勢を低くして話しかける。   

 注意があちこち分散する人の場合には、しっかり目をみつめて視線を捉えることで、話しかける人に

 注意を集中してもらうことができる。

 

話す   

 話しかけるときには、穏やかなトーンで、ポジティブな言葉を使うように心がける。   

 “痛い”という言葉はネガティブな発想を抱かせるので、痛みについてどうしても 、聞かなければ

 ならないときだけ、その言葉を使うような配慮が必要。

触れる   

 触覚からの情報が、嫌なイメージを抱きやすいものである場合、安心できるイメージ につながる

 よう、やさしく触れる部分を作る必要がある。特に、言語力が低下した 状態の人に対しては、触覚

 からの情報は私たちよりも強力。   

 肩に触れる時、慣れていないので軽くポンポンと触れがちだが、安心をもたらす 触れ方としては、

 腕一本分の重みをかけて、相手の肩にしっかりと触れるようにする と効果的。

 

ユマニチュードをどう使う? 歯科医院の4大“困った”場面

場面1・予約したと勘違いして来院し、怒り出してしまう  

 *予約がないことを伝えるとき、姿勢を低くしながらゆっくり近づき、笑顔で相手の 目をみながら、

  ポジティブな言葉から会話をスタートする。  

 *一緒に過ごす時間を十分確保したいから協力してほしいというニュアンスを込めて、アポイントの

  あいている日をいくつか提案し、都合を聞いてみる。

場面2・ブラッシング指導で機嫌を損ねてしまう  

 *認知症が進んでいる場合は、しっかりと目を合わせて笑顔を見せ、会えて喜んでいる ことを表現

  する。  

 *できていないことを言語化され続けると、イライラするので、“できていること”を 強調する。

場面3・何度も同じ話や訴えを繰り返し、口を開けてくれない  

 *同じ訴えを繰り返すときには、なんらかの不安を抱えていることが多いので、最初の アプローチで

  安心してもらうことが大切。誘導の際、肩に手を添えるなど。    

 *治療用の器具を持つ前に、マスクを下げて笑顔を見せ、ポジティブな言葉をかける。

  デンタルチェアを倒した状態で声をかけるときには、少しまわりこんで、正面から 声をかけるなど

  の配慮をする。 

場面4・診療途中で「もう帰ります」とチェアから降りようとする  

 *話しかける、時折肩に手を触れるなどして、疑問や不安を解くことが必要。   

  限られた視覚情報をリクライニングを起こし、回復させ不安を軽減させる。  

 *記憶障害、見当識障害などによって、自分の状況が理解できなくなっている可能性が あるので、

  できるだけ、顔をのぞき込み、笑顔をみせ、現在の状況を伝え、ポジティ ブな言葉を添える。

 

 おわりに   

 認知症の人が混乱してしまった時、ユマニチュードでも、対応は難しく、相手が強く 嫌がる時、3分

 以上がんばってアプローチしても受け入れてもらえない時には、いっ たん退くというルール(3分

 ルール)がある。時間をあけることが、相手の意思を尊重することになる。“いったんあきらめる”

 ことも大切な技術だそうです。 認知症の患者さんに限らず、ユマニチュードの技法を活用していける

 ようにしていけたらと思いました。                         

                            衛生士 赤木

  2019/07/31   ふくだ歯科
タグ:認知症

平成30年度 歯科医療安全研修会に参加して

「歯科における感染対策とマニュアルについて」

歯科領域における医療安全

◆標準予防策の実施

◆抗体価検査・予防接種(医療従事者、研修生、学生など) 

 B型肝炎、麻疹、風疹、水痘、流行性耳下腺炎、インフルエンザ

◆針刺し、切創対策

  針捨てBOXを設置、安全装置付き機材を使用、危険物の分別を徹底

◆院内感染防止マニュアルの作成、定期的に見直し改定

◆スタッフへの研修会を実施

 

感染対策の不備による経営への影響

1.保健所の立ち入り検査、改善指導

 ◇院内感染対策指針・マニュアルの確認

 ◇整備されていない場合

  新規開業時は開設が認められないケースあり

  作成するように指導を受ける

2.医療事故・訴訟のリスク

 ◇院内感染発生時は診療所の評判を落とすことにつながることがあり、 感染した患者が診療所に

  対して、損害賠償を求める医療訴訟も増加している

 ◇スタッフの安全を脅かす(スタッフからの医療訴訟)

  スタッフの定着率の低下

 

感染対策の基本

 標準予防策(Standard Precaution)スタンダード プリコーション

 すべての人の湿性生体物質(血液・体液・汗を除く分泌物・排泄物・唾液・創傷のある皮膚・粘膜)

 は、病原体を含んでいる可能性があり常に感染の可能性がある

 

問診表の感染症情報は正しいのか?

・多くの患者は感染症を持っているのか知らない

・HIVの場合、申告しない患者が多い

・我が国では、C型肝炎やHIV、梅毒が増加している

 

標準予防策の遵守

 手指衛生の徹底…適切なタイミングで適切な方法

 →アルコール手指消毒、石けんによる手洗い

 適切な防護具の着脱…曝露のリスクに対する防護具の選択と適切な着脱

  →エプロン・ガウン、手袋、マスク、ゴーグル

  *目は粘膜なので感染のリスク多

 

手指衛生(手指消毒・手洗い)

*手に目で見て汚れがない場合…擦式消毒用アルコール製剤で手指消毒

*手に汚れがある場合…流水と石けんで手洗い

 ・手洗いより、手指消毒の方が滅菌効果が高い

 ・手洗いより、手指消毒の方が手に優しい…保湿成分あり

 ・手洗いより、手指消毒の方がアクセスが良い

 手指消毒…どこでも使える、洗い場まで行かなくて良い

 

手指衛生のタイミング

◇治療の前後

◇手袋を着用する前と手袋を外した後

◇歯科治療室や歯科技工室から離れる前

◇汚染された可能性のある環境表面や機器に触れた後

◇勤務に就く時、帰宅する時

◇食事やトイレの前後など

*迷ったら、手指衛生を行う習慣をつける

 →自分の手が不潔か清潔か考える…自分だけが安全ではいけない

   触ったところは全て不潔となってしまう

 

針刺し・切創予防策

  針刺しによる感染率

 HBV > HCV > HIV

  1~62%   1.8%    0.3%

 血中ウィルス感染症の感染経路

 ・経皮的曝露=針刺し切創事故

 ・経粘膜的曝露=眼粘膜、口腔粘膜など

 ・既存の創傷部位への曝露=あかぎれ、かさむけ

  リキャップに関連する事例

 ・リキャップ時に的が外れて刺傷

 ・リキャップ時に針がキャップを突き抜けて刺傷

 ・リキャップ後キャップが外れてしまい刺傷

 

歯科医院での針刺し・切創事例

 歯科医師の84%、コ・デンタルの72%が針刺し切創を経験

 歯科医師…診療時間中の針刺し切創が多く、器具使用中や交換時に多い

  コ・デンタル…診療時間後も多く片付け、器財洗浄・消毒時に発生

 世界的に歯科医師のB型肝炎発生率は「一般集団」より高く、米国6倍、ドイツ4倍、日本2.5倍と

 有意に高い。

 医療従事者の中でも歯科医師のHBV感染が最も多い。

 

発生後の対応

◆HBV(+)

 HBsヒト免疫グロブリン(HBIG)を48時間以内に注射。

 体内に侵入したHBウィルスをHBIGで中和排除することによりHBウィルス 感染を予防できる。

 HBsワクチンを事故直後~7日以内、1か月後、6か月後の3回投与。

◆HCV(+)

 専門医と相談。インターフェロンは推奨しない。抗ウィルス剤の内服投与。

 (一日約73,000円:8週間)

◆HIV(+)

 3剤併用による抗HIV療法、感染予防にも4週間行なう。

 針刺し切創後、1時間以内、遅くとも2時間以内に開始する。

◆梅毒トレポネーマ(+)

 ペニシリン系抗生剤の内服投与

 

滅菌法の概念

 無菌→生育可能な微生物が存在しない状態

 滅菌→微生物を殺滅し無菌状態とするプロセス

 

滅菌物の管理方法(保管・取り扱い)

・埃の多いところ(電気製品周り)、水周りを避ける

・滅菌バッグを破損させるような取り扱いをしない

 (折れ曲げる、輪ゴムでまとめる)

・バッグごとでも落としたら不潔

・濡れた(汗も)手で触らない

・濡れた痕跡のあるものは不潔物

・バッグにマジックインクなどで書かない…不潔になってしまうから

 (滅菌前にシール欄外のフィルム面に記入)

 

滅菌器使用の原則

・滅菌する器材は十分洗浄する

・器材を十分乾燥させる(濡れている器材は滅菌できない)

・積載量はチャンバーの70%以内

・滅菌物を積み重ねない

・滅菌バッグはフィルム面を上に

・乾燥不良は再滅菌が必要

 乾燥不良の原因→過積載、乾燥時間が短いなど

 

酸性水 (強/弱酸性水・電解水・イオン水・アクア水・機能水)

・環境消毒、器具消毒、創部・口腔内の消毒 

 低濃度の塩素による消毒法

 有機物が残存していると消毒効果は期待できない

 塩素濃度が低下するため保管できない 

 

【感想・考察】

今回の研修会・レポートを通して、普段何気なく行なっている手指消毒や滅菌について改めて考える

良い機会となったと思います。手指消毒のタイミングや滅菌物の取り扱いなどは特に勉強になり

ました。自分が今、不潔なのか清潔なのかというところを何気なくではなく、より意識して行なって

いく必要があると感じました。また、針刺しなどからの感染の危険も十分に考え、毎日の診療を、

慣れた作業ではなく、危機管理意識を持って取り組んでいきたいと思います。

                            衛生士   河本

  2019/07/24   ふくだ歯科

コミュニケーション術について、勉強会で発表して

《 患者さんの心を動かせるようになれば一人前 》

 歯周病は生活習慣病の色合いの強い疾患なため患者さん自身の日々の管理が最も大切な要因になり

 ます。 初対面の患者さんはかなり緊張していますし、相手がどんな人か探りを入れながら会話をする 

 ことになります。いきなりブラッシングの話をしてもテクニックを伝えるだけになってしまいます。

  そんな時、ひとことふたこと治療とは関係のない話や共通の話題などを間に挟むだけで、患者さんの

 緊張を解きほぐすのに効果的なことがあります。 また、以前から定期検診に来られている患者さん

 に、初めて担当が回っていたときには案外大きな落とし穴があります。 患者さんは治療には慣れて

 いますが、新しい歯科衛生士さんには慣れていません。こんな時にいきなり「プラークがたくさん

 残っていますよ!」というような患者さんを説教することから話始めると患者さんは心の扉を閉ざし

 てしまいます。最初に心を閉ざしてしまった患者さんの扉を開けることは容易ではありません。

 プラークコントロールはいつもと同じかもしれませんし、前回はもっとひどかったのに今回はその人

 なりに頑張ってきたのかもしれません。我々はどうしても自分の物差しで他人を評価してしまいがち

 ですが、プラークコントロールは患者さんのペースやレベルに合わせる余裕が必要です。

 

《習慣変容までの道のり》

  人の習慣を変えることはかなり難しいことです。 モチベーションのゴールはブラッシングのテク

 ニックを身につけることではなく、そのテクニックを含めてブラッシングという習慣が生活習慣の

 一部になることです。 歯科衛生士に言われて習慣が変わらないのは、まずその必要性や重要性に気づ

 いていないからです。つまり考え方が変わっていないわけです。このように習慣を変えるためには

 考え方が変わり、行動が変わり、その行動に満足してはじめて習慣が定着していきます。

 

《ポジティブアプローチ》

 「これをするとこのように健康になる。」というアプローチの仕方で患者さんの健康志向が生まれる

 と効果は長続きします。 また一度にたくさんのことを教えても結局何も伝わっていないことがあり

 ます。ポイントを絞って指導するようにすれば、成果もわかりやすく、次の指導に繋がります。 同じ

 内容のことを伝える場合でも、使う言葉によって伝わり方はずいぶん変わります。例えば、「磨き

 すぎです」を「がんばりすぎです」に変えるだけで、よくしようとしているのが裏目に出ていると

 いう、少しプラスのイメージに繋がります。 「ここにプラークがたくさん残っていますよ」ではなく

 「ここのブラッシングが苦手なようですね。」に変えるだけで患者さんの受け取り方も変わってくる

 はずです。このように『使う言葉を選ぶ』ことは、想像以上にコミュニケーションに影響するの

 です。

 

《感想》

 今まで実習生として患者さんに関わってきたけれど、働き始めて、改めて 歯科衛生士のコミュニケー

 ション力の重要さに気づきました。言葉選びや言葉の伝え方ひとつひとつ大切なので、患者さんに

 不快感を与えないようにしていきたいと思います。 また患者さんに伝えられることができるのはもち

 ろんのこと、患者さんに寄り添って聴き上手になれるように知識を増やしたいと思います。

                          衛生士 藤元

  2019/07/14   ふくだ歯科

「続くメインテナンスの秘訣」について、勉強会で発表して

通い続けられるメンテナンスとは?

いかに歯を守る技術に自信があっても、ずっと患者さんの健康を守り続けたい気持ちがあっても、

患者さんが通い続けてくれなければ、生涯メンテナンスは実現できません。

長期的・定期的にリコールに応じていただけるためには、患者さんから信頼していただけるように

ラポールの形成を心がけ、できる限りその障害になるようなことは排除しなくてはなりません。

 

Level1不快さを排除!患者さんを尊重する姿勢が伝わる環境と心配り

1. 見た目も勝負!~信頼感と好感が持てる身だしなみ~

 ヘアメイクは清潔感がポイントです。髪型も、前髪がバサーっと被っていたり、束ねた髪がダラーン

 と肩口から下がっていたりしたのでは、とても見苦しいと思われてしまいます。第一、自分自身が

 術野に集中できません。

2. プライバシーを保てる環境作り~プライベートな情報を扱うのなら~

 患者さんごとに適切な指導内容を組み立てるために、身体状態・生活習慣・お仕事やご家族について

 など込み入ったお話をうかがうので、できる限りプライバシーが守られる状況や雰囲気作りが必要

 です。 また、会話するときの声の大きさにも注意が必要です。「明るくはきはきと大きな声で」の心

 がけが逆効果になってしまう危険性もありますので注意しましょう。

3. 処置中の注意点~不快な要素を取り除く~

  Point1驚かさない(声をかける)

  処置で必ず心がけるのは「驚かさないこと」です。超音波スケーラーを使用したり、3wayシリンジで

 洗浄したりエアーで乾燥する前には「お水が出ますね」や「風が出ますね」と声をかけます。

 急にユニットを動かしたり、いきなりミラーで口唇をこじ開けたりせず、たった1秒・2秒であろう

 とも、動作を止めて声をかけ、患者さんに心の準備をしていただく間をおきます。

 Point2まぶしくしない(ライトの位置)

  必ず注意すべきなのがライトの使いかたです。けっしてまぶしい刺激を与えないように気をつけ

 ます。ライトは腹部→胸部→口腔周囲と3段階で動かしていきます。特に、ユニットを起こして

 うがいしていただいた後、再度処置を続ける時にライトの位置を気にせずにスイッチを入れてしまう

 と、眩しさを与えてしまう危険があるので注意しましょう。  

 Point3刺激を与えない(口腔内の器具の出し入れ)  

 口腔内にミラーを入れる際に歯牙にぶつけないように注意している方は多いと思いますが、はずす際

 にも気をつけましょう。また、乾燥・隔壁目的でロールワッテを使いますが、唾液の少ない患者さん

 の口腔内から取り出すときは、3wayシリンジで湿らせてから外しましょう。

 

Level2患者さんのリスクをふまえた、効果的で説得力のある指導

1. 患者さん固有のリスクを予想しよう!

 染め出しして手鏡を渡し、必死になって「ここが磨けていません」などと説明する前に、「なぜこの

 部位にプラークが付着しているのか」とプロとして科学的に考えてみましょう。そうすることが、

 患者さん固有のリスクの把握につながります。生理学・病理学などの基礎知識や、患者さんの口腔外

 から得られるパラメータをフル活用して考察していきます。それにより、リスクの判断や対処法が

 異なってきます。 歯科衛生士がメインテナンスを担当する目的は、「口腔内の健康な状態を維持して

 全身の健康をする」ことです。つまり「口」と「身体」を切り離さないという考え方が重要です。

2. 診査で得られたデータで、会話に重みを持たせよう!

  せっかく時間をかけ精密に採取したデータでも、活用されなければ意味がありません。その数字が

 何を意味し、何のために必要なものなのかをわかりやすく説明します。数字で示される客観的評価に

 は非常に大きなインパクトがあります。 しかし1回の説明では完全に理解してもらいにくかったり、

 説明するための時間が足りない場合もあるでしょう。十分に納得してほしい点については、次回の

 来院時にも再度説明することで、「あなたのことを継続的にフォローしていますよ」というアピールに

 なり、モチベーションにつなげることができます。歯周治療ではセルフケアとプロケアがかみ合わな

 ければ良好な結果として形になりません。患者さんには自分自身が治療に参加しているという自覚を

 持ってもらい、積極的に行動変容を起してもらえるように促しましょう。

~モチベーションのポイント~

Step1プラークの説明

プラークについて、以下の要旨を理解してもらえるように説明する。

・プラークは口の中の細菌が食べかすを分解してできた細菌の塊である

・プラークは酸を蘇生し歯を溶かしむし歯の原因となる

・歯肉炎を引き起こし歯周病の原因となる

・プラーク中の細菌が産生するメチルメルカプタンなどの化学物質により口臭が生じる

Step2ブラッシングによるプラーク除去効果の確認

染色液でプラークを染め出し、患者さんに手鏡でプラークの付着部位を実際に見せ、ブラッシングを

行わせて、ブラッシングでプラークが除去できることを確認させる。

 

まとめ

長期的に患者さんに関わるうえで、不快な思いをされないようにするという基本から、患者さん自身

にも治療に参加している意識を持ってもらうための工夫まで詳しくポイントが知ることができたので

とても勉強になりました。普段のメインテナンスにも積極的に取り入れていこうと思います。

                           衛生士 星島

  2019/06/30   ふくだ歯科

「患者さんの忙しさに寄り添う」について、勉強会で発表して

“忙しい”時期を乗り切る3つの心構え

① 患者さんの今の状況を受け止める

  まずは、「この患者さんの今の状況はどうか?」という気持ちを持ちながら情報集していくことが

 大切。“働き盛り”の患者さんの食習慣を聞くと、「コンビニの菓子パンと缶コーヒーで済ませる」

 「残業で遅くなるので会社で配られるチョコレートで小腹を満たす」などの答え。こうした食生活を

 理想的でないと批判するのは簡単ですが、そのような食生活にならざるを得ない生活背景を含めて

 理解しなければ、セルフケアや食習慣改善の提案はもちろん、信頼関係の構築は難しい。

② 「言い訳は余裕のなさの表れ」と受け入れる

 子育てや仕事が負担となり、メインテナンスの間隔が長くなり、なかなかセルフケアが安定しない

 時期がある方もいる。「忙しくてザッとしか磨けない」「歯間ブラシやフロスは面倒」と言われて

 も、「言い訳が必要なくらい時間も気持ちも制約があるという時期が、働き盛りなのだ」と思い、

 そのぐらいの心持ちのほうがお互いに楽だと考える。

③ 何より大切なのは「前向きになってもらう」こと

 さらなる改善のためにこちらが良いと考える食習慣やセルフケアを提案しても、患者さんの気持ちに

 ゆとりがなく、「絶対無理」と思われてしまっては、その後の行動にはつながらない。口腔衛生指導

 やSRPは歯科衛生士ができるサポートのごく一部。それ以上に大切なのは、良くなったことに目を

 むけて患者さんの気持ちが前向きになるようにすること。

 

<ケースでみる“忙しさ”を乗り切るサポーティブなメインテナンス>

働き盛り・子育てを経て今は介護中、30年間メインテナンス継続中(女性)

職業:初診時は会社員、現在はパート

主訴:上顎臼歯部冷たいものでしみる

   年齢とともに歯が大切なことがわかってきたので治療が必要なところは治したい

① 初診時〜働き盛り

・職場が近かったため、メインテナンスの間隔を3ヶ月とし勤務日に来院していただいていたが、仕事

 の多忙さ、会社の移転で勤務日の来院が困難になったこと、口腔内の状態が安定していることを

 ふまえて6ヶ月間隔に変更

・アポイントの日は会社を休んできていただくようになった。忙しい中通院していただくので、

 プロフェッショナルケアで「気持ちいい」と感じていただけるように心がけた

② 結婚・妊娠・出産・育児

・育児で忙しく、歯磨きの時間が短くなってしまうということで、リスクの高い部位から始めるよう

 勧めたり、歯磨きを実践しやすい時間帯(子供が寝た後など)を一緒に検討

・自分の口腔内の状態はもちろん、生活背景を含めてこちらが理解しているという安心感を与えるよう

 に心がけた

・夫婦ともに甘い物好きで、子育てで忙しくしているとますます食べてしまうということで、

 ステファンカーブについて説明したり、う蝕のリスクが高い部分について伝えた。

                      咬合面、う蝕治療部位、修復物周囲、

                      歯間部、露出した根面

③ 再び働き盛り、介護もスタート

・親の介護が始まり、そういう時ほどメインテナンスが重要であることをお伝えし、介護を通じて、

 口腔の重要性を再認識してもらえた

出産後子供が3歳の時に一緒に来院し、親子のメインテナンスに繋がった

 

感想

歯科衛生士は患者さんに寄り添い、患者さんをサポートしていかなければいけません。患者さん一人

一人の生活習慣、生活背景を知り、その時の状況に合わせて対応ができるように努力していきたい

です。

                         衛生士 松本

  2019/06/23   ふくだ歯科

口腔粘膜疾患識別ガイドについて、勉強会で発表して

1・口腔粘膜ってなんだっけ?   

 口腔粘膜はからだの状態を映し出す鏡     

  口腔はからだの中で唯一直視できる臓器。口腔粘膜の変化を見分けて、病変が口 腔に限局した原因

  で起こっているのか、あるいは全身的な問題や薬の影響による ものかを予見する知識も必要。

 機能の低下により罹患リスクもアップ     

  加齢が進むと口腔粘膜は免疫機能が低下し、また再生力も低下。高齢者におい ては、ブラッシング

  が不十分になるなど口腔衛生の自己管理能力が下がったり 唾液分泌量が低下することなど口腔環境

  が悪化する。   

 口腔粘膜の役割     

  ➀細菌などの侵入を防ぐ     

  ②下部組織からの体液の流出を防ぐ     

  ③感覚器官として痛覚、触覚、温度覚を伝える     

  ④粘膜下組織の細胞に情報を伝達し、免疫的防御機能を担う

 

2・口腔粘膜疾患データベース   

 口腔粘膜を診る時の基本は「色」です。     

  正常な口腔粘膜の色は「ピンク」     

  口腔粘膜疾患「白」「赤」「黒」「黄」の4色に分類することができる    

 白色病変      

  上皮の細胞に異常が生じると、角化細胞層や有棘細胞層が厚くなり、本来、14 日間で剥がれ落ちる

  細胞が残ってしまう。それにより、粘膜下組織の血管(ピ ンク色)が透けて見えず、粘膜面に

  当たった可視光線が乱反射し、白色病変と して観察される。              

  口腔カンジダ症     口腔扁平苔癬      白板症    

 赤色病変      

  紅斑は盛り上がりのない赤い色の変化のことで、多くは毛細血管の炎症充血 によって赤く見える。

   紅板症     正中菱形舌炎    多形滲出性紅斑    

 黒色病変      

  メラニン色素など色素沈着により黒く見える。      

  おもに、びまん性の変化で色素性母斑、外来性色素沈着、黒毛舌があるが、悪 性黒色腫の場合が

  あるので要注意。

  アジソン病やポイツイェーガー症候群など、口腔内に色素性沈着がみられる全 身疾患もある。     

 黄色病変      

  生体にはカロチノイド、ルテインと呼ばれる色素があり、これらは脂肪に溶け て存在することが

  多く、粘膜を通して黄色に見える。          

  Fordtce斑(皮脂腺)    脂肪腫    疣贅性黄色腫(極めてまれである)

 

  口腔がんに要注意!     

  粘膜疾患の中でも、その重篤さからとくに気をつけたいのが前がん病変。     

  がん化する可能性のある疾患は、白色病変、赤色病変に多く、とくに気をつけた い疾患名では

  前がん状態は「口腔扁平苔癬」、前がん病変は「白板症」「紅板病」。

  口腔がんの約90%は口腔粘膜を起源とするもの。

  好発部位は舌で全体の約40%を占めそのほとんどが舌縁部に発生する。

  次に歯肉で、約30%を占める。上下顎ともに臼歯部歯肉に多くみられるが、 下顎の発生率は上顎の

  約2倍。

 

【感想】     

口腔粘膜疾患のなかには患者さんの生死にかかわるものや、全身疾患との関連が 疑わしいものもある

ので、定期的に患者さんの口腔内を見ていく中で観察力を鍛 える必要があると思いました。             

                                  衛生士 赤木

  2019/06/02   ふくだ歯科
タグ:口腔粘膜