スタッフレポート

スタッフによるレポートを掲載しています。

「新発見!歯周病が認知症を引き起こす!?」について、勉強会で発表して

認知症の約7割・・・アルツハイマー型。(残りの3割は、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、

                 前頭側頭葉型認知症)

脳内に溜まった異常なたんぱく質で脳が萎縮する。根本的な治療法は確立されていない。  

発症のカギ・・・アミロイドβ(異常なたんぱく質) この物質が脳内に溜まることで認知症が発症すると

       いう説が有力。  

今年6月、九州大などの研究チームが、アルツハイマー型認知症の原因物質・アミロイドβが歯周病菌に

よって脳に蓄積する仕組みを解明。

マウスのお腹の中に、歯周病菌を3週間投与し続けると、アミロイドβが10倍に増え、マウスの記憶力が

低下したという結果。  

主導者の武州准教授によると、今までの考え方では“アミロイドβは脳で作られている”というものだった

が、今回の研究で、脳の外で作られたものを、脳の中に輸入させる、送り込むということを新たに発見

した。  

歯周病菌が生み出したアミロイドβは、アルツハイマー型認知症の原因になる可能性がある。

アルツハイマー型は、長い潜伏期間(20~30年)を経て発現。80代では約60%の人がその兆候がある。

若い時から歯周病予防をしていれば、アルツハイマーになるリスクを下げられる。  

※歯周病で認知症(メカニズム)  

口の中で発生した歯周病菌が血液の流れにより全身に運ばれる。脳以外の細胞内で、歯周病菌が酵素・

カテプシンβを刺激し、増やす。増えた酵素がアミロイドβを作り出す。脳血管内では、同じように、

増えた酵素がアミロイドβの受容体(受け皿・アミロイドβを脳内に運ぶたんぱく質)も増やす。  

今後の研究では、アミロイドβを増やしてしまう酵素・カテプシンβの働きを阻害する飲み薬ができ

れば、アルツハイマー型認知症の治療や予防に繋がる可能性がある。

薬の開発には時間がかかる。

今すぐできる歯周病予防が大事。

歯周病の治療や予防で、認知症の発症や進行を遅らせることができる可能性がある。  

 

感想

この新しい発見は、高齢化が進む今、とても興味深く、皆さんの関心もこれから高まっていくと思う。

早期に歯周病予防をしていると、20年、30年先の健康に繋がると感じた。会話の中でもお伝えして

いきたい。 

                             衛生士 岡本

  2021/04/04   ふくだ歯科
タグ:認知症

「乳酸菌L-137で小腸から健康づくり!」について、勉強会で発表して

《乳酸菌L-137の発見》

東南アジアの保存食“なれずし”から偶然見つかりました。免疫力を高める力を測ってみると驚くほど他の乳酸菌と比べて抜群に強いという結果がでました。

《他の乳酸菌との違い》

① 働く場所が違う

 ヨーグルト・食物繊維・・・大腸に働きかけて善玉菌を増やし、お腹の調子を整える(整腸)

 乳酸菌L-137・・・体中の免疫細胞の7割が集結している小腸に働きかけて免疫細胞を活性化し、健康

           の底力を高める(免疫力アップ)

② 働く強さが違う

     ・効率よく免疫細胞に取り込まれる

     ・高い能力を持ったまま小腸に届く

     ・摂取して4週目で免疫機能が上昇する

《免疫力を上げるとどんないいこと?》

   ・風邪やインフルエンザの予防

   ・アレルギーの予防

     免疫バランスが崩れていると、花粉やハウスダストなどに過剰に反応してしまいます。その

           結果、アレルギー症状を発症してしまいます。アレルギーを起こす食品をマウスに食べさせ、

           そこに乳酸菌L-137を投入すると、アレルギーを起こすIgEという抗体の産生を有意に抑制する

           ことが分かった。

    ・お肌がきれいになる

      肌の潤いのもとであるヒアルロン酸の生産を促進する。

    ・がんの予防 ・歯周病の予防

   乳酸菌L-137の日常的な摂取により歯周サポート治療を受けている歯周病患者の歯周ポケットが

           改善したという結果がでた。 飲んでいる方と飲んでいない方とでは歯肉の色や出血の量が違い、

           飲んでいる患者さん自身からも「花粉の季節も楽に過ごせるようになった」「風邪をひきにくく

           なった」との感想がある。

乳酸菌L-137のパワフルさは実験によって証明済み!

    免疫細胞を活性する機能が、カゼイ菌やビフィズス菌などの約3倍!

    乳酸菌は「健康にいい」とひとくくりにされがちです。また最近ではヨーグルトだけでなく様々な

    食品に添加されています。だからこそ、どこに働きかけてどんな効果が得られるのかを知り、一人

    一人が目的にあったものを取り入れることが重要です。特にウイルスの脅威にさらされている現代

    免疫力アップを目指すならL-137はぴったりの乳酸菌といえるでしょう。

《感想》

コロナウイルスは、隣にいても移らない人がいるのに、離れていても移ってしまう人がいます。免疫力

の強さはこれほど個人差があるということを知りました。手洗いうがいの徹底はもちろんですが、乳酸

菌L-137を摂り免疫力を高めることは、コロナウイルスやほかの病気の予防にもつながっているという

ことを知りました。免疫力は20代をピークに下がていくので、自分を守るためにも取り入れていきたい

と思いました。

                                  衛生士 藤元

  2021/02/14   ふくだ歯科

「歯周炎が治るとき、歯周組織にはなにが起きている?」について、勉強会で発表して

 1. 健康な歯周組織の特徴をおさらい

治癒像を理解するためには、病態像の理解が必要です。病態像を理解するためには、まず正常像(病気に

なる前の状態像)を理解することが必要です。

※歯周組織の正常像のポイント

2. 再植後の歯周組織が教えてくれる歯(歯根膜)と歯槽骨の関係

1」が外傷で脱落し、遅延型再植を受け、3年8ヶ月後には、再植された歯の歯根はほぼ吸収されてしまいました。

この時、上顎前歯部をCBCT(コーンビームCT)で診断した像を見ると、健全なL1とアンキローシスに

より歯根吸収を受けた1」の矢状面を比べると明らかなように、右上では唇側の歯槽骨のみが吸収され

ることがわかります。また、吸収は歯髄腔のあたりまであることがわかります。逆に口蓋側では、歯根

が吸収されても骨量は減少することがないことがわかります。  

※「歯根膜が死んでしまった歯」の反応が示すヒント

歯周炎は細菌感染による炎症反応で、歯根膜と歯槽骨が失われる疾患であることはよく知っていると

思います。歯根膜と歯槽骨がなくなる歯科疾患はほかにもあり、感染とは関係ないものもあります。

それが「歯の脱離後の遅延型再植」です。すなわち、外傷などで歯が脱離してしまい、脱離した歯の

歯根膜が乾燥して壊死してしまった状態で時間が経ってから元の位置に再植した場合です。脱離により

抜け落ちた歯はすぐに戻せば問題なく助かります。しかし、口腔外に乾燥状態で長時間置かれると、

歯根膜が死んでしまい、再植後にアンキローシス(置換性吸収)という歯根吸収が起きます。この時、歯

と一緒に歯槽骨も吸収されます。一見歯周病と関係ないこのアンキローシスによる歯根吸収と骨吸収

から、歯周病の進行にともなう病態像と歯周治療後の治癒像を導き出すことができます。

3. 創傷の治癒(推論)

① 上顎中切歯(おそらく上顎前歯部)では、歯根膜を喪失すると(歯を抜くと)唇側の歯槽骨が喪失する

② 喪失は、おおむね歯髄腔のあたりまで進行する

③ 歯槽骨には、「歯に依存する骨量(tooth dependent bone volume:TDBV)」と「歯に依存しない骨量

 (tooth independent bone volume:TIBV)」がある

   ↓

4. 歯周炎の病態像 上記の推論を歯周炎による病態像の進行にあてはめると以下のようになります。

① 歯周炎では細菌感染により炎症が生じ、歯根膜が喪失する

② 上顎前歯の歯槽骨は、唇側はTDBV(歯依存骨)、口蓋側はTIBV(歯非依存骨)とTDBVで覆われている

③ したがって歯根膜がなくなれば、すべての骨量が歯に依存している(TDBV)唇側では同時に骨もなく

 なることを意味し、水平性吸収が生じる

④ 口蓋側でも同様に固有歯槽骨(TDBV)はなくなるが、TIBVは残ることになる。とはいえ、炎症波及に

 よりある程度はTIBVの骨吸収も進行するので、口蓋側では垂直の骨吸収が生じる  

5. 歯周炎を起こしても骨縁上組織付着は存在している

 骨縁上組織付着は、炎症が進行しても失われることはなく、根尖側へ平行移動していくと考えられ

 ます。すなわち、骨欠損底から約数mmの根面には歯石はついていないことを意味します。麻酔下で

 SRPを行うと、ポケット底付近の結合組織性付着を破壊するかもしれないので、注意が必要です。

 

〈まとめ〉

歯周炎の治療には歯根膜の存在が重要であることが分かりました。無麻酔下で歯根膜に触れれば痛みが

あるので除去してしまうことは無いと思いますが、そのことを頭に入れて処置をしていきたいと思い

ます。 また、外傷で歯が抜けたり折れたりした患者さんから連絡があった場合に適切な対応をお伝え

できるようにしておきたいと思いました。

                            衛生士 星島

  2021/01/11   ふくだ歯科
タグ:歯周病

加熱式タバコについて、勉強会で発表して

◎加熱式タバコには紙巻きタバコと同じタバコ葉が使用されている  

紙巻きタバコとの大きな違いは、煙ではなく「水蒸気(エアロゾル)」を吸うことです。タバコ葉に

含ませたグリセリン類によって蒸気を発生させて煙の代替とします。紙巻きタバコ同様、タバコ葉が

用いられますが、直接タバコ葉に火をつけるのではなく熱を加えてニコチンを発生させて吸引します。

燃焼させないため、タールの発生を抑えることができますが、タバコ葉を使用するため、ニコチンを

含む有害物質は発生します。  

一方、電子タバコは、タバコ葉ではなくニコチン等の入ったリキッド(溶液)を加熱してミスト化

(気化)させ、その蒸気を吸引するものです。  

日本では、ニコチンを含むリキッドは医薬品であり医薬品医療機器等法により販売をするためには許可

が必要となります。今現在許可されたリキッドは存在しないため日本国内で販売している電子タバコに

ニコチンは含まれていません。

 

◎加熱式タバコにも依存性を高めるニコチンが含まれている  

どの加熱式タバコにもニコチン依存症の本態であるニコチンが混入されています。加熱式タバコと

紙巻きタバコによるニコチン血中濃度の推移を示した報告によると、どちらもほぼ同じで変わりがない

ことがわかります。 紙巻きタバコから加熱式タバコへ切り替えたとしても、ニコチン依存症からの離脱

は阻害されます。むしろ、せっかく禁煙を志した時に加熱式タバコに切り替えることで、タバコによる

健康障害をなくす機会を逃してしまう可能性をもち、加熱式タバコによる新たなニコチン依存症を作り

出すことになると考えられます。

 

◎「有害性成分の量」=「有害性の程度」ではない  

加熱式タバコのパンフレットでは、有害成分の量に関して紙巻きタバコと比べ「約90%低減」と

謳われています。 しかしこれは、健康に及ぼす悪影響が小さくなる(リスクが減る)ことを意味する

ものではないことが各製品のパンフレットにも記載されています。 紙巻タバコの有害性はかなり強く、

環境汚染物質の基準と比べても数十倍〜100倍以上です。各メーカーが主張するように、加熱式

タバコの有害物質が1/10になっているとしても、環境基準を安全にクリアできるレベルにさえなって

いないのです。

 

◎口腔内や体への影響は紙巻きタバコと同程度と考えられる  

加熱式タバコが広く普及するようになってからまだ日が浅いこともあり、加熱式タバコに起因する健康

障害に関する長期のデータや口腔疾患、口腔ガンや歯周病に関するデータは揃っていません。  

虚血性心疾患のリスクは、紙巻きタバコの吸う本数が少なくても、受動喫煙であっても急激に上がり

喫煙に容量的なリスク低減効果のないことがわかっています。すなわち、たとえ有害物質が少なく

なっていても健康へのリスクが下がるわけではないのです。

 

◎肉眼で見えない煙が出ており、受動喫煙は起こる  

加熱式タバコを吸っているところを2次元レーザーで可視化すると、白いエアロゾル(液体の微小な

粒子とガスの混合物)が発生し3m先まで広がっている様子が鮮明になります。 

高温加熱式タバコ(アイコス、パルズ、グロー)では、特有の臭いが周囲に拡散しているのが明らか

です。 低温加熱式タバコ(プルームテック)では、アルコール系有機溶剤のエアロゾルが主成分である

ため、臭いが軽くなっています。

加熱式タバコユーザーは、ニコチンを含む有害物質などを吸引しますが、それらすべてを体内で吸引

せず呼気に含み、吐き出しています。その呼出煙を周囲が吸い込むことで、受動喫煙が起こる仕組みは

紙巻きタバコと全く変わりありません。

 

感想  

最近流行している加熱式タバコも従来の紙巻きタバコと同等の有害性があることがわかりました。自分

の周りにも加熱式タバコを吸っている人がいるので加熱式タバコにも依存性があることなど少しずつ

伝えていきたいと思います。また、患者さんなどから加熱式タバコについて質問があった時に正しく

答えられるように覚えておきたいです。

                               衛生士 松本

  2020/12/16   ふくだ歯科

「子ども虐待」について、勉強会で発表して

「もしかして?」-その時DHにできること

Part.1 子ども虐待と歯科

    子どもの虐待の4つの種類

    ・身体的虐待 : 殴る、蹴るなどの身体的暴力

             タバコの火による体罰など

    ・心理的虐待 : 暴言や威圧的な言動による心理的圧力

                                               兄弟姉妹間の差別的な扱いなど

    ・性的虐待  : 子どもに対し性的な行為やいたずらをする

    ・ネグレクト : 育児や教育の放棄・怠慢

             病児に必要な医療を受けさせないなど

    *ネグレクトの指標として「う蝕」が注目されている

    *必要な歯科治療を受けさせない「デンタルネグレクト」

    *口腔顔面領域に現れる虐待の兆候

        頭部、顔面、口腔、歯周組織、骨、う蝕、感染症など

Part.2 歯科診療所で子ども虐待に気づくには

     子どもと保護者の観察ポイント

     ・受付、待合室

       子ども:衣服が季節に合ってない

           待合室でじっとしていない

           保護者と目を合わさない

       保護者:問診票への記載が十分でない

           母子手帳の記載が少ない

           待合室で子どもを放置あるいは異様に叱る など

     DHによる術前診査

       子ども:肌の露出をしたがらない

           傍に保護者がいないと態度が変わる

           身体的発育が年齢相応でない など

     診療中

       子ども:う蝕歯が多い

           未処置歯を放置された期間が長い

           口腔内清掃状況が悪い(不潔)

           疼痛に対して異常に我慢する

     診察後の受付

       子ども:治療内容や今後の説明に興味を示さない

           会計や次回の予約する際、すぐに帰ろうとする

Part.3 学校歯科健診で子ども虐待に気づくには

     前年のう蝕が放置されていたら要注意

       DHが前年の結果をチェックし、今年もう蝕と判断される歯が多け れば、歯科医師に

                         アイコンタクトなどでサインを送るか、健診票 にわかるように印をつける。

Part.4 子ども虐待に対して歯科衛生士ができること

     歯科医療従事者も通告の役割を担っている

      歯科受診や健診での保護者と子どもの言動やようす、口腔内状況か ら、何らかの違和感を

                      感じとった場合、速やかに子ども家庭支援セ ンターや児童相談所、保健所、警察などの

                      関係機関に通告する。

     できることを知り、支援者になる

      通告できるからといって、即「虐待」と判断されるわけではなく 最終的な虐待の判定は、

                      各種の専門的診断を持ち寄って総合的に行 われる。

                    児童福祉司による社会診断

                    児童心理司による心理判断

                    児童指導員、保育士による行動診断

                    医師・歯科医師・医療従事者による医学診断

      歯科医院が児童相談所へ通告する際、虐待を適切に判断できるよう な情報を提供すること

                      が大切。 歯科衛生士は歯科医師とともに子 どもに関する記録をとる。

        家族歴、受傷機序、受傷時間、外傷の既往、受傷部位のスケッ チ・写真撮影、

                             X線写真撮影 など

おわりに   

保護者に対しては、「よく連れてきてくれましたね」「お子さんが痛がって大変だったでしょう、

私たちにお任せください」など適切な言葉がけをし、特別扱いすることなく、自然体に接するよう心

がけることが大切ということもわかりました。                  

                                衛生士 赤木

  2020/11/25   ふくだ歯科

「食と栄養の疑問」について、勉強会で発表して

Q 透明飲料って、体にいいの?

A 製造過程の違いによる体への影響はありません。しかし、糖質を摂取することによる体の影響は、

 透明でない飲料と違いありません。

 これまで、透明飲料と言えば、水(ミネラルウォーター)や果物の香りがする水(フレーバーウォーター)

 を指していました。しかし近年、各社飲料メーカーがコーヒーや紅茶、色のついた炭酸飲料、ビール

 までも透明にして売り出し始めました。その背景には、「透明な見た目が健康に良さそう」

 「ダイエット中でも飲めそう」「時間や場所、周囲の視線を気にせず飲める」「歯にステインがつか

 ないように」といったような消費者の持つ印象やニーズがあるようです。 製法は、コーヒー豆や紅茶

 葉などの香りだけを抽出する方法や、香料の添加によって本物らしくしているものがほとんどです。

 したがって、コーヒーの色味成分(メラノイジン、カラメル、クロロゲン酸類)や紅茶の色味成分

 (テアフラビン、カテキン)などが含まれない、無色の飲料が出来上がります。そのため、歯の表面に

 飲料の色素が沈着することを懸念している人が透明飲料を飲むことには、メリットがあるといえるで

 しょう。 甘味成分としては、糖類(砂糖、高果糖液糖、スクラロース、アセスルファムKなど)が含ま

 れています。砂糖や高果糖液糖を含む商品には、これらに由来するエネルギー表示がありますが、

 スクラロースなどの甘味料を含む商品は「0カロリー」と表示されています。一見低下カロリーで

 良さそうに見えますが、糖質を摂取していることに変わりなく、知らない間に糖質の過剰摂取に

 つながっている可能性があることは否定できません。 また、スクラロースやアセスルファムKは人工

 甘味料の仲間です。生体への影響として、血糖値上昇を起こさないため、食欲亢進を起こす可能性が

 あり、甘味を強く感じた人ほど一定時間後の食欲亢進が高まるとの報告もあります。ですから、“透明

 飲料”であってもなくても、日常的にペットボトルや缶入り飲料を摂取する習慣は、食欲増強による

 エネルギー過剰摂取などの悪影響を体に与える可能性があると知っておくことは重要です。

Q サプリメントでの栄養素摂取は、食品からとの摂取とどう違う?

A サプリメントには食品から摂取できないほど多量の栄養素が含まれています。過剰摂取のリスクも

 あることを理解したうえで必要に応じて使用しましょう。 サプリメントの市場規模は1.5兆円に

 のぼるともいわれていますが、実は明確な定義はなく、「特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態

 の製品」とされているにすぎません。また、薬以外で「病気を治す」と謳うことは禁じられている

 ため、サプリメントは効能・効果を謳うことはできません。 さて、サプリメントが食品と大きく違う

 のは「特定の栄養素を、食品では摂取できないほど多量に含む」点です。私たちが普段食べている

 食品はマクロ栄養素やビタミン、ミネラルなどさまざまな栄養素を含んでいます。十分な食事を摂取

 していれば、必要不可欠な栄養素はサプリメントなしでも補給できるのです。 サプリメント摂取に

 よる害として有名なものにβカロテンがあります。βカロテンは緑黄色野菜に多く含まれる成分で、

 抗酸化作用を有し、喫煙者の肺がん発症を抑制することが期待されていました。しかし、喫煙者に

 βカロテンのサプリメントを服用させた大規模介入試験では、肺がん発症が1.3倍増加することが

 わかり、研究は中断されました。この研究から、世界がん研究基金のレポートではβカロテンを

 「肺がんリスクを明確に上げる」ものとして示しています。なお、食品からのβカロテン摂取は肺

 がんリスクとの関連は示されていません。 一方、骨粗鬆症に対するカルシウム、ビタミンDや、妊娠

 準備期、妊娠中の葉酸摂取など、有効性がはっきりしているサプリメントもあります。 サプリメント

 にあまり大きな期待をしすぎず、食事を十分に摂ることが何より大切です。特に喫煙者や何らかの

 疾患を持つ場合は、サプリメントによるリスクもあることを理解し、医師や管理栄養士に相談しま

 しょう。

〈感想・まとめ〉

透明飲料もサプリメントも、TVCMや広告から健康的なイメージを持ってしまいがちです。メリット

だけでなくデメリットについてもしっかり理解し、自身や家族、患者さんの健康を管理していきたいと

思います。

                            衛生士 関口

  2020/11/08   ふくだ歯科
タグ:食と栄養

「慢性関節リウマチと歯科治療」について、勉強会で発表して

《関節リウマチ》

関節リウマチは炎症を主体とする原因不明の多発性関節炎で、慢性に進行し軟骨、骨の破壊、変形に

至ります。関節のみならず眼、皮膚結節、肺、心臓、血管炎などの関節外症状を表すこともあります。

日本における関節リウマチの発症率は0.3%~1%、好発年齢は30~50歳で女性が男性よりも3~5倍程度

発症します。原因は不明ですが、Tリンパ球が活性化され、関節滑膜に浸潤、サイトカインが滑膜を

増殖、炎症が進行して軟骨や骨の破壊を起こすと考えられています。

《口腔の特徴》

①顎関節の異常(リウマチ性顎関節症)

歯科パノラマレントゲンによる評価では、およそ44%程度に形態以上が認められ、下顎骨関節頭の

平坦化、萎縮、消失が生じます。関節リウマチの進行とともに、半数以上に顎運動時に疼痛を認め、

20%程度に開口障害が起こります。

②不正咬合

痛みや顎関節の変形、固縮などにより、舌や口腔周囲筋の異常緊張が起こり、開口、上顎前突が起こり

ます。

③呼吸困難

顎関節の破壊が起こり、下顎が後退し、気道閉鎖を起こしやすくなり、さらに頸椎の破壊が起こると

睡眠時に無呼吸を起こすことが多くなります。

④口腔乾燥

20~30%の関節リウマチの患者さんは自己免疫疾患であるシェーグレン症候群を発症し、重度の口腔

乾燥を起こします。口腔乾燥は特に多発性のう蝕を起こし歯科で適切な予防処置がなされないと短期間

に歯を喪失します。そのため頻回な口腔管理が必要になります。

⑤口腔清掃不良による歯周病やう蝕の多発

関節リウマチの進行に伴い、上肢の運動障害が起こり、歯ブラシや歯間ブラシなどの清掃器具を使い

にくくなり、口腔内の清掃不良により歯周病やう蝕が多発します

⑥口腔清掃の困難

手指の可動性が制限されるため、歯ブラシの選択や改良が必要になります。

《注意事項》

ステロイド剤を長期に服用していると細菌感染に対する抵抗力が減弱して、歯周病を進行させやすく

なります。 歯ブラシの毛で傷を付けないように、歯ブラシを一度水につけたり、ブラッシングをする

前にうがいをして口の中を湿らせるなどの保湿の工夫や、毛の柔らかいブラシを使用するなどの対応が

必要です。

 

《感想》

関節リウマチの患者さんが歯周病になりやすいので定期的なクリーニングを希望され来院されたとき、

なぜなりやすいのか、気を付けることは何なのかと思い調べました。注意事項を頭に入れて十分に気を

付け、その人にあったTBIをしたいと思います。

                               衛生士 藤元

  2020/09/22   ふくだ歯科

「歯科用ユニット給水系(DUWLs)の汚染対策を考える」ついて、勉強会で発表して

感染源としての歯科用ユニット給水系(DUWLs)

歯科用ユニットを用いる際には電源と圧縮空気、そして水が必要不可欠である。その水を供給するのが

歯科用ユニット給水系(Dental Unit Water-lines:以下、DUWLs)であり、水源には一般的に水道水が

用いられる。 現在世界には200か国近く存在するが、そのまま飲用可能な水道水を供給しているのは

日本を含め9か国に過ぎないとされる(諸説あり)。日本の水道水は、浄水場で、河川などから採取した

水を上水道へ供給可能な状態にするための処理が行われている。この時、消毒目的で用いる塩素剤

(次亜塩素酸ナトリウムなど)が水と反応することにより生成されるのが遊離残留塩素である。これは、

強い酸化力により殺菌・消毒の効果を発揮することが知られており、水道水が安全である理由の1つに

挙げられる。 しかし、残留塩素は時間の経過や有機物の存在などにより減少することが知られている。

いかに安全な日本の水道水であっても、適正な残留塩素濃度が維持されていなければ消毒効果が失われ

てしまい、重大な事故に繋がる可能性が高くなることを認識すべきである。

 

DUWLsが汚染される理由

一般的にDUWLsを構成する給水チューブの総延長は6~7mに及ぶ。その長大な内部に存在する水

は、夜間や休診日などの給水停止時に停滞し淀むため、それが水質の悪化を助長するとされる。 具体的

には、滞留水の残留塩素濃度が低下することで微生物が増殖し、その後給水チューブ内壁にバイオ

フィルムが形成され付着する。水道水に添加されている残留塩素のみではバイオフィルムの形成を阻害

できないと考えられているが、これが 汚染の理由の1つとされている。 さらに、そこから落屑した

微生物がハンドピースなどを通して水とともに放出されると、最悪の場合は健康被害に発展する。

 

DUWLsが原因とされる健康被害

今までに報告された健康被害には、一過性の感染から死亡例までいくつかの報告がある。 このうち

感染者数が1番多かったのが、米国ジョージア州アトランタにある歯科診療所で歯髄切断処置をうけた

24人の子どもにMycobacterium abscessusの感染が認められたケースである。感染者は頸部リンパ

節炎や顎骨骨髄炎、また肺結節を患っており、ほとんどは感染した組織を除去するために少なくとも

1回の外科的介入を必要とした。 また、3件報告のある死亡例は、すべてレジオネラ肺炎によるもので

ある。

 

一般的な対策方法と問題点

1. フラッシング

 DUWLs内の滞留水をタービンホースやコップ給水などから排出させること。残留塩素濃度の低下

 した水を水道水質基準に適合した水に入れ替えることができるため一定の効果はあると思われ、実際

 に30秒水を放流すると検出される菌数は1桁減少することも知られている。 しかし、これは給水

 チューブ内壁のバイオフィルムを除去しているわけではないのでこれだけでは不完全だと考え

 られる。

2. ショックトリートメント

 薬剤を用いてDUWLs内に形成されたバイオフィルムの除去を行う方法で、汚染対策としての評価は

 高い。 しかし、使用する薬剤によっては環境負荷が高く、そのまま下水道に排出できない場合が

 ある。また、バイオフィルムを除去したとしても、次の瞬間からバイオフィルムの形成は再開されて

 しまうので、定期的に行う必要性も生じる。

3. 薬剤を用いる方法  

4. 電解機能水を用いる方法

 当院で採用しているPoseidonも電解機能水を用いた方法のひとつである。 Poseidonは水道水その

 ものを電気分解し、中性電解水を生成する装置である。水道水の中に含まれる塩化物イオンが電気

 分解により塩素に変化し、これがすぐに水と反応して次亜塩素酸や次亜塩素酸イオンとなることで、

 遊離残留塩素濃度を補正し消毒力を高め、DUWLsへのバイオフィルム形成および付着が防止

 される。

 

まとめ

水中の細菌などは目視できないためあまり意識したことはありませんでしたが、レポートを書くに

あたって参考にした資料などで、何も対策をしなかった場合のうがいの水やタービンから出る水が

かなり濁っていたのをみて衝撃を受けました。 お水以外でも、患者さんに安心して通院していただける

ように感染対策をしていかなければならないと改めて感じました。

                            衛生士 星島

  2020/08/17   ふくだ歯科
タグ:感染予防

令和元年度 歯科医療安全研修会 に参加して②

有病高齢者の安心安全な歯科医療を実現するためのリスクマネジメント

不整脈(心房細動)

① 頻脈性不整脈(速すぎるもの)

 例:心房細動、発作性上室性頻拍、心房粗動、心室頻拍、心室細動、洞性頻脈、心房性・

   心室性期外収縮など

② 徐脈性不整脈(遅すぎるもの)

 洞機能不全症候群、房室ブロック、徐脈性心房細動など

高齢者の歯科治療では、不整脈が発生しやすいですが、その重症度はピンキリです

無視して良いもの(ほとんど)〜

心臓突然死となるもの(極めてまれ)

 心房細動・・高齢者の代表的な不整脈、臨床的にも重要

不整脈患者のリスクマネジメント

(頻脈性)不整脈患者の局所麻酔薬は何を選択するべきなのか?

歯科用局所麻酔薬

アドレナリンはフェリプレシンよりも心拍数が上昇します

→頻脈性不整脈が発生しやすいことを示しています

アドレナリンにより不整脈は出現しやすくなるといえます

(歯科治療におけるエビデンスはありません)

アドレナリンには頻脈性不整脈(発作性心房細動など)のリスクがあります

不整脈に対する基本的なリスクマネジメント

・歯科治療に伴う疼痛、不安、緊張などを最小限にする

・頻脈性不整脈の既往のある患者では、アドレナリン含有局所麻酔薬は避けたほうがよい 

 しかし、十分な鎮痛効果を得る必要があるため、治療内容を考慮して選択する

・できれば心電図、少なくともパルオキシメトリ(波形が確認できるもの)、血圧測定可能なモニター

 装置を使用してモニタリングする

・致死的な不整脈(心室細動)に対して短時間でAEDを用意できる環境を整える

・BLS(救命救急)のライセンスを取得する

歯科治療中に不整脈が発生したら

・重篤な不整脈を見極める必要があるが、難易度が高い(心電図が必要)

・極端な頻脈(>120拍/分)や徐脈(<40拍/分)、脈の不整に伴い血圧低下、めまい、

 気分不良、呼吸困難感、意識消失などの症状が現れた場合は、重篤な不整脈の可能性を考える

・酸素投与とともに119番通報する

・もし心停止が認められたらAEDを手配し、救急隊到着まで一次救命救急(BLS)を行う

<感染予防>

スタンダード・プリコーション

すべての患者は未同定であり、感染の可能性のあるものとして取り扱い、針刺し事故の防止や血液暴露

に対する対策を講じようとする考え方であり、すべての患者の体液、排泄物、血液、病理組織、胎盤、

抜去歯は感染の可能性のあるものとして取り扱う

グローブをした手で書類その他を触らないようにしましょう!

グローブをポケットに入れないようにしましょう!

グローブに口で空気を入れないようにしましょう!

他の人に使わないようにしましょう!

 

<感想>

患者さんの小さな変化に気付き、対応できるように治療中の患者さんの表情などをしっかりと観察し

ながら診療に取り組みたいと思いました。 清潔・不潔をきちんと区別し、院内感染が起こらないように

器具も定期的にチェックして綺麗に保ちたいです。

                             衛生士 松本

  2020/07/16   ふくだ歯科

令和元年度 歯科医療安全研修会 に参加して①

有病高齢者の安心安全な歯科医療を実現するためのリスクマネジメント

九州歯科大学 リスクマネジメント歯科学分野教授 大渡凡人先生

◆人はだれでも年を取ります…我が国における高齢化率は進行中→56年間で急上昇

 ・人口高齢化(少子高齢化)は世界で進行している

  ・我が国の人口高齢化は(少子高齢化)は特に著しく、今後も世界一である

  ・我が国における人口高齢化の影響が大きい理由のひとつは、そのスピードが他の先進国に比例して

   非常に速いことである 

◆人口高齢化は歯科医療にとって何が問題なのか

  ・歯科医療従事者は「口から食べることを可能にして、患者さんの健康に貢献する」を目指している

   →高齢者は口腔疾患が複雑であるだけでなく、全身疾患をもつ高齢者が増えて、安全の確保が容易

    ではなくなってきたことにある

    例えば、在宅高齢者は重篤な全身疾患をもつ場合が多く、抜歯等でも安全確保が難しい

◆有病高齢者の歯科医療では何に注意すべきか…どの疾患,偶発症に優先的に対応すべき?

  →全身的偶発症として循環器疾患が多い

   …その中でも、①高血圧性危機 ②不整脈 に注意が必要である

◆歯科治療における死亡事故はどうなっているのか

  →局所麻酔関連が多いというデータがある

◆全身疾患を有する高齢者のリスクマネジメント

 安全な歯科治療とは…

  ステップ1:予防

   「病歴・薬剤」「医師からの情報(コンサルテーション)」「理学的検査」

        ↓

    「全身状態の評価」

        ↓

    「対策」…エビデンスに基づいたリスク低下の方法理論を考える

     →できるだけ正確な情報を得る

   ステップ2:早期発見(治療中のモニタリングなど)

    →できるだけ早く対応する

    ステップ3:対応(救急蘇生・薬剤・救急外来への搬送など)

     →専門の方にお願いする…患者を引き継ぐまでの橋渡しの役割を果たす

      必ずお薬手帳を見せてもらい、承諾を得てコピーを取る

     …口頭・自筆による薬剤情報は薬剤名の間違い、 不足など正確でないことが多い為

◆全身状態の把握と対応―まとめ―

 ◇リスクマネジメントで最も重要なのは予防である

  ◇正しい予防には全身状態の把握が必須である

  ◇そのためには正確な患者情報が必要である

 ◇患者情報としては病歴、薬剤情報、医師からの情報、理学検査などがある

  ◇我々は患者情報を正しく理解し、適切なマネジメントを組み立てることができる医学的な知識を

   持つ必要がある

◆高血圧 

 全身疾患を持つ高齢者の歯科治療における血圧変化

  …多くの場合、血圧は上昇する

   ex.抜歯を予定していた高齢者の患者さん

   →抜歯をする前に待合室で心筋梗塞を発症し、死亡した例もある

   …心配だけで血圧は上がってしまう

 高血圧により発症する全身疾患は重篤なものが多い  

  高血圧性腎症、高血圧性脳症、脳梗塞、くも膜下出血、

  脳内出血、心筋梗塞、大動脈解離、大動脈瘤破裂←死に至る可能性が著しく高い

◆治療中に血圧が上昇したら…

 ■疼痛治療を行う→局所麻酔の追加投与など…ある程度有効 

 ■深呼吸をしてもらう(ゆっくり)    …〃

 ■尿意を確かめる(特に男性高齢者)   …〃

 □(降圧剤投与・静脈内鎮静法)…低血圧リスクがある・経験が必要

◆高齢高血圧患者のリスクマネジメント

 ●高血圧性危機は脳幹出血や大動脈瘤破裂など致死的な病態を招きうる

 ●隠れた高血圧を見逃さない→すべての患者で血圧を測定する

 ●治療前・治療中の高血圧では≧180/120mmHgを避ける必要がある

  →モニタリングと血圧コントロールが必要

 ●異常な血圧上昇時は、治療をやめ、疼痛を抑制し、深呼吸をゆっくり行わせる

 (※降圧剤使用は低血圧のリスクがある)

 ●異常な血圧上昇に、胸痛(27%)、呼吸困難(22%)、

   神経脱落症状(片麻痺、意識障害など、21%)、を伴う場合は高血圧緊急症の可能性が高い

   …救急対応が可能な医療機関に連絡し、指示に従う

 

【感想・考察】

高血圧についてある程度知っているつもりでしたが、それがどんな影響を及ぼすかなど分かっていない

ことも多く、改めて知る良い機会となりました。来院される患者さんの中にも抜歯などで「ドキドキ

する」と治療を中断した方もいらっしゃいましたが、上手に声掛け出来ず悩むこともあった為、治療中

に血圧が上昇した時の対処法を知ることが出来て良かったです。心配だけでも血圧が上がってしまうと

のことですので、もちろん注意点や危険性は伝えるべきですが、感情面で負担になりすぎないように

配慮する必要性を感じました。また、患者さん本人だけでなくご家族にも、あまり消極的にとらえるの

ではなく積極的な見方が出来るよう、ご自宅にいるときから気にかけて下さるようにお知らせする必要

もあるのかなと思いました。

                                                                       衛生士 河本

  2020/07/01   ふくだ歯科