スタッフレポート

スタッフによるレポートを掲載しています。

「摂食嚥下のメカニズム」について、勉強会で発表して

摂食嚥下の5期  

1.先行期  食べ物を認識する    

  食べ物を口へ運ぶ前の段階。目の前にある食べ物の形や量、質を確認して、口へ運ぶ量や速さ、

  噛む力を判断し、唾液の分泌を促す。  

2.準備期  食塊を形成する    

  取り込んだ食べ物を飲み込みやすい形態に整えるため、口唇や舌、頬、歯、 下顎などを巧みに

  動かし、噛み砕いて、まとめていく。そこへ唾液を混ぜ合わ せることで、飲み込みやすい形状

  がつくられる。これを「食塊形成」という。  

3.口腔期  食塊を咽頭へ送る    

  準備期で形成された食塊が舌の動きにより少しずつ後方の咽頭へ送り込まれる。    

  この段階が、嚥下をスタートするきっかけとなる。  

4.咽頭期  食塊を食道へ送る    

  食道入口部が拡大し、咽頭に送られた食塊を咽頭周囲筋と奥舌で食道の入口へ 絞りながら送り込む

  という、まさに「嚥下そのもの」が起こる。このとき、食塊が食道以外の器官に入り込むのを防ぐ

  ため、さまざまな器官がはたらく。                                     

           ↓                

 (舌骨・喉頭・軟口蓋・喉頭蓋・喉頭前庭・声帯)  

5.食道期  食塊を胃まで送る    

  嚥下された食塊が食道の蠕動運動により、胃まで送り込まれる。食塊の逆流を防ぐため、ここでも

  さまざまな器官がはたらく。                 

        ↓

    (舌・軟口蓋・食道)

 

その症状、あの器官の機能に問題があるのかも?  

Q1:口腔内に食物残渣が多く残ってしまうのは、なぜ?  

 A:舌や頬の筋力が低下している可能性がある。      

  Check!・舌下神経麻痺などで舌の緊張性がなくなっていないか      

      ・舌の左右・上下運動が衰えていないか

      ・タ行やラ行の発音が悪くなっていないか             

Q2:食べ物がパサパサしてのどに引っ掛かるのは、なぜ?   

 A:唾液分泌量の低下が影響していると考えられる。      

  Check!・唾液の分泌は十分か      

     ・口腔が乾燥していないか  

Q3:唾液が垂れがちなのは、なぜ?    

 A:口唇に麻痺がある可能性がある。      

  Check!・口唇の緊張性がなくなっていないか       

     ・意識レベルが低くなっていないか   

Q4:口腔内に唾液が溜まってしまうのは、なぜ?    

 A:舌が麻痺している可能性がある。    

  Check!・舌の緊張性がなくなっていないか       

     ・意識レベルが低くなっていないか       

     ・唾液分泌を促す薬剤を服用していないか     

Q5:食べ物が口蓋に引っ付いてしまうのは、なぜ?    

 A:唾液分泌、舌の運動性の低下が考えられる。      

  Check!・唾液分泌は十分か       

     ・口腔乾燥はないか      

     ・舌運動は悪くなっていないか   

 

【感想】   

「食べること」にはさまざまな器官がかかわっています。舌の動き、口唇の動き、 顎の動き、唾液分泌

状態など、摂食嚥下に障害があるかを総合的に見ていく ことは容易ではないが、患者さんからの情報と

観察をもとに原因を探り、 スムーズな食事ができるようサポートしていけると良いと思いました。

                             衛生士 赤木

  2018/10/31   ふくだ歯科
タグ:摂食嚥下

「機能する細菌(歯肉縁上)」について、勉強会で発表して

最近の研究によって“病原菌”単独の働きによるものではなく、口腔常在菌の“協力(チームワーク)”によ

って、う蝕や歯周病が引き起こされることが分かってきました。プラークをお口の中の生態系と捉え、

細菌たちの“チームワーク”でう蝕や歯周病が起こるメカニズムを解説します。(生態学的プラーク説)

 

① プラーク中はどんな環境?

  歯肉縁上は常に唾液で覆われ、酸素も浸透しやすい環境です。食事の時には、糖などの栄養素が多量

 に供給されます。特に糖は細菌の栄養源として優れており、歯肉縁上には糖を利用してエネルギーを

 得て生きている多くの通性嫌気性細菌が生息しています。

② う蝕を引き起こすまで

  細菌たちが代謝すると環境に変化が起きる 

 歯肉縁上プラークにStreptococcusやAccinomycesといった細菌はすべて糖を代謝し酸を産生します。

 また、細菌の代謝にともなって環境中の酸素が消費されてしまうので、プラーク中は嫌気的になり

 やすくなります。

  頻繁に糖が摂取されるorブラッシングが行われないと、疾患が発症する

  糖を頻繁に摂取すると歯肉縁上プラークPHの回復が遅れ、PHの低い状態が続くようになります。

 これによって歯表面の脱灰も起きやすくなりますが、同時に細菌の酸生産機能を増強させることに

 なります。ただし、細菌が自ら創り出した酸性環境が細菌にとっても好ましい環境ではありません。

 酸性環境では重要な代謝酵素や遺伝子が変性し、死(酸性死)に至ることになるため、細菌は様々な

 対抗策を打ち出します。その結果、細菌たちは自ら創り出した酸性環境で生き延びることができると

 ともに、糖から酸を産生する機能が増強し、う蝕誘発能が高まることになります。このように酸性

 環境に応じて酸生産能の増強することを「酸適応」といい、酸適応によって酸生産能が増強すると、

 やがて脱灰が再石灰化を上回り、初期う蝕病巣が生じると考えられます。

  変化した環境で生き残る細菌が疾患を進行する

  一度う蝕病巣が確立すると、酸性環境はより持続するようになります。酸適応には限度があり、

 やがて酸性環境に弱い細菌から順番に、増強が阻害され、代謝が阻害され、酸性死に至ります。

 その結果、厳しい酸性環境でも増強し酸を産生し続ける細菌が生き残ることになります。酸性環境に

 耐える性質のことを「耐酸性能」といい、酸性環境が細菌の耐酸性能を応じて細菌を選択することを

 「酸選択」といいます。耐酸性能が高く、酸選択で生き残る代表的な細菌がMS菌やLactobacillas

 (乳酸桿菌)です。

  う蝕は多くの細菌が機能した結果

 う蝕は歯肉縁上という環境における細菌たちみんなの機能によって生ずること、すなわち、細菌の

 機能が環境を変え、それに細菌が適応する(酸適応)とともに環境をさらに変え、やがて環境によって

 生息できる細菌が選択される(酸選択)ことでう蝕が進行します。このう蝕プロセスでは、歯肉縁上

 プラークに生息するどの酸性生菌であってもう蝕発症に関わると考えられ、言い換えると、細菌の

 種類ではなく、細菌の機能が重要であることが分かります。

 

〈まとめ〉

  う蝕を初期段階で食い止める方法の一つとしてプラーク内の酸性環境が持続しないようにすることが

 大切です。1日に数回の食事で一時的に酸性環境になることは避けられませんが、間食の食べ方や

 ブラッシングに注意し、適切にフッ化物を用いることで、う蝕の予防は可能です。

                               衛生士  関口

  2018/10/24   ふくだ歯科
タグ:虫歯予防

「みんなでつくる働きたい労働環境」セミナーに参加して

マイチャレンジ~「できた」が見つかる職場~    健康プロモーター・看護師 中島千尋

入職のきっかけ

 前職は病棟看護師→適応障害で辞めてしまう

 それでも「医療系で働きたい」

  …きっかけは幼少時の眼科通院時、出会った看護師さん

   →「私も誰かの為に働きたい」という思い

 健康プロモーターとは

 ・健康の大切さ、歯を虫歯や歯周病から守ることの大切さを患者様に伝えて欲しい

   業務 ・診療補助 

      ・初診カウンセリング、TC(トリートメントコーディネーター)

         患者様それぞれの個別の悩み

             ↓

         聴くことにより、治療を受けられる手助けをする

             ↓

         患者様の健康をサポートできる

 TC(トリートメントコーディネーター)とは

  ・ドクターと患者様の間に立ち、双方にとって満足のいく治療を進める為の 調整役を行う者

 TCで学んだこと

   50代男性患者様を担当

   →返事は「はい」のみで反応が鈍く、聞いているのかな?と思っていた

         「歯を抜きたくないですか?」をお尋ねした時に、

         「歯医者は嫌い。怖くて本当は来たくない」と本心を多く 語って下さった

         →反応が薄いのではなく、緊張されていたんだと分かった

   『相手の〈私〉の立場に立つ』

       →表情・声など非言語的なコミュニケーションがとれる=安心感に繋がる

           患者様が私にどうして欲しいのか、寄り添うことが大事

           患者様との絆づくりをしていく

            …そうしていくなら何かのきっかけで話し始める人もいる

            →表情を観察し、見逃さないこと

   『安心感を与える医療者になりたい』…患者様と医療者の架け橋になりたい

 

輝く歯科衛生士―笑顔あふれる歯科医院をめざして―     チーフ歯科衛生士 野村渚

    就職理由

    ・長年働く歯科衛生士がいること

    ・スタッフの数が多いこと

    就職すると…

    ・学校で習った以上に覚えることが多くて、戸惑う

    ・スタッフの顔と名前を一致させるのに苦労する

    ・新人の壁…予防業務→歯科衛生士としての業務が出来ないという悩み

    教えてくれた先輩の期待に応えたい

        少しずつ出来るようになる→楽しくなる→担当の患者様が出来る →やりがいが生まれる

    仕事に慣れた頃…注意を受ける

     「我が儘なところを直しなさい」「態度を改めなさい」→適当な自分を見直す

    2年目…先輩になる→教えることの難しさを知った

        後輩からの質問に答えられないことがあった

         …理解度が低いと人に教えられない

    5年目…チーフになる→指導してくれていたあの頃の先輩と同じ年になった

        もっと成長していかなければならないと感じている

    これからの自分

        自分の先輩像に近付けるようになること

        後輩にも、あの時の自分と同じように思ってもらえるように 『自分が輝く人』になる

     頑張れる要素

         常に前を歩き続けている先輩からの刺激がある…輝いている憧れの存在

     理想の自分…全てを楽しめる人、仕事もプライベートも充実している人になる

       『目標に向かい頑張る人』でありたい

 

ヨリタ歯科流 スーパードクターへの道     歯科医師 森山善行

    人に優しい働きやすい環境とは

        人が働く理由をいくつか挙げていくと…

        ・人間関係が良い ・成長をサポートしてくれる ・お給料が良い ・残業が少ない など

    そのなかでヨリタ歯科が際立っているのは…

        ・成長をサポート

               ◆勉強会参加費の補助

               ◆ルーペ購入費の補助

               ◆ヨリタ歯科クリニック研修プログラム

          ・人間関係が良い

                  院内活動の充実…球技大会、花見、研修旅行

                  OUR CREDO(アワクレド)…医院全体の信条 →皆で読むことで一体感

    スーパードクターになる為のヨリタ歯科流10のルール

     ①診療の流れについて…患者様の斜め前に座り、マスク・グローブを外す等

     ②身だしなみに気を付ける…清潔に

     ③言葉遣いは丁寧に…患者様へ『お声がけ』

                                         スタッフメンバーへ『節度ある敬語』

     ④診療器具等の取り扱い…器具は丁寧に扱う

     ⑤気付いたことは率先して行う…自主的に行動、判断する

     ⑥カルテ入力…診療の合間、時間を有効活用する

     ⑦患者様の立場に立った行動

         …確認の電話、自分の家に招き入れるように、少しでも快適であるように

     ⑧見学者への対応…先頭で挨拶、スマイルアンドコミュニケーション

     ⑨患者様が私達に期待するもの

        …「本当の理由」「大きな期待」「圧倒するおもてなし」を

     ⑩尊敬されるドクターを目指して…人間性を尊敬されるドクターに

   「○○先生以外で」から「絶対○○先生で」にしていく

    まとめ

        人に優しい環境なくしてスーパードクターは育たない

       『人間的成長なくして技術的成長はない』

 

【感想・考察】

今回の講演会では、先生を含めスタッフの方全員が、笑顔で楽しそうに講演される姿が大変印象的

でした。私達が医療者として患者さんに接する時の態度、スタッフ間の会話や指示する時の態度、

またその時の雰囲気や様子は、一番身近にいる患者さんが敏感に感じ取り、観察しているものだと

思います。講演の内容からも、常日頃からその点を意識し、スタッフ同士で感謝を述べあうことや

密接なコミュニケーションを取ることなどを実践していることに感銘を受けました。

                                                         衛生士  河本

  2018/09/24   ふくだ歯科
タグ:労働環境

「患者さんの心身をサポートするためのテクニック」について、勉強会で発表して

歯科治療における全身的偶発症の発生する場所でもっとも多いのは、診療室のデンタルチェアの上で、

偶発症でもっとも多いのは、脳貧血発作(血管迷走神経発作)。

他にも、過換気症候群(過呼吸症候群)、血管収縮薬過敏症(血管を収縮させて末梢血管抵抗性を増大

させる薬物により、何らかの症状が起きる)、局所麻酔薬のアレルギーなどがある。  

これらの偶発症は、局所麻酔施行時、歯科治療中、歯科治療終了後のタイミングで起きている。

患者さんの心身をサポートするには、どんなことに気をつけ、どんな声かけをすればよいのだろうか?

 

治療前  

全ての患者さんに体調を聞いておく。 例 「体調はお変わりないですか?」  

緊張が強く顔がこわばっているような患者さんには、「緊張しますよね」 「昨夜は眠れましたか?」

「ご飯は食べてきましたか?」など、患者さんが不安を打ち明けるきっかけを作り、普段通りの生活が

送れているかを確認。

脳貧血発作を予防するためには、患者さんのストレスをいかに取り除くかがポイント。  

治療前に患者さんの不安を聞き出しておけば、対処法を考えることができる。

適切な対処で患者さんに安心感を与えることができれば、患者さんとの信頼関係の確立にも繋がる。

 

局所麻酔時  

眉間にしわが寄っている、手のひらを握りしめたまま力が入っている、全身に力が入りすぎている

など、緊張で体が固まっている患者さんには、「体や顔の力を抜きましょう」と声をかけ、全身の力みを

解く。緊張をほぐすために、ゆっくり深呼吸を続けてもらう。麻酔が終わったら、ユニットを起こして

一休憩設けたり、「気分が悪くはありませんか?」と体調を確認してから処置へ。

 

治療中  

患者さんの全身を観察。患者さんの体に動きがないか、額や鼻に汗が出ていないか、口唇の血色が悪く

ないか、顔面が蒼白になっていないかを確認。痛みがあれば、手を強く握るなど、体を動かす場合が

あるので、「痛いですか?」と確認。気分が悪くなっている可能性があれば、ユニットをしばらく水平位

に保ち血圧の急激な低下を防ぐ。

 

治療後  

患者さんの全身の観察を続ける。

治療が終わってすぐに脳貧血発作を起こすこともあるため、注意が必要。

 

患者さんの気分がよくなさそうだったら  

「気分が悪い」「目の前が暗くなってきた」などといった場合は、脳貧血発作が疑われるため、すぐに

ユニットを水平位にする。意識があることを確認してから、すぐに歯科医師に報告。

また、衣服に締め付けるものがないかを見る。ベルトが締まっていれば、ゆるめる。

血圧が一時的に低下しているので、血圧がある程度回復する(最高血圧90㎜Hg以上)まで待つ。

落ち着いてきたら受け答えがきちんとできるかを確認。

一人で帰る場合は待合室などでしばらく休んでからお帰りいただく。

治療が終わっても、油断せずに患者さんの様子を観察しておくことが大切。

 

感想・・・

普段の診療では、患者さんの口腔内に集中してしまいがちだが、もっと広い視野で、顔色や体の動き

にも目を向けなければいけないと思った。

脳貧血発作などに直面したときは、上記の内容にあるように、すぐに対応していきたい。

                                                                                                  衛生士 岡本

  2018/09/12   ふくだ歯科
タグ:サポート

「私がこのプロフェッショナルケアを選んだ理由」を読んで

症例1:誤った行動変容により患者が磨かない

患者情報:26歳、女性/病歴:特になし、喫煙習慣もなし/性格:控えめでまじめ、心配性

初診時のセルフケア

•朝昼晩の3回のブラッシング習慣、歯間部清掃なし

•複数の歯科医院で口腔衛生指導の経験があり、すべての医院にて“オーバーブラッシング”を指摘

  された。

問題点

“歯磨きをすれば歯肉が痩せてしまう”という誤った認識を持っており、初診時には炎症はわずか

でしたが、2年後の再来院時には自然出血するほど辺縁歯肉に炎症がありました。再来院時の強い

炎症を持った歯肉は、複数の専門家が単純に“磨きすぎ”情報のみを伝えてしまい、患者さんが“怖くて

磨けない”という誤った行動変容に至ってしまった結果、招いたものだと思います。

何を伝える

口腔内の2大疾患である歯周病とう蝕いずれもバイオフィルム感染症であることを説明し、その対策

には歯面に付着しているプラークの除去が必須であることを伝えました。現状のセルフケアはむしろ

“アンダーブラッシング”であり、このままでは将来的に歯周病による付着の喪失に伴い、さらなる

広範な歯肉退縮を招いてしまう可能性があることも伝えました。

Point

何をみる?→患者さんの歯肉はもともと薄い

歯磨きの方法や歯ブラシの選択は、患者さん固有の歯周組織環境の違いにより異なります。患者さんは

歯肉がもともと薄く、許容できるブラッシング圧の範囲(ストライクゾーン)が狭いことが問題であると

考えました。

どうするケア?→適切な範囲の存在をわかりやすく伝える

この患者さんは歯肉がもともと薄いことから、ストライクゾーンが狭く、オーバーやアンダーになり

やすいことを添え、担当歯科衛生士として患者さんのストライクゾーンを的確に把握し、組織の安定に

導くことを約束して信頼関係を築きました。歯ブラシを処方する際も「なぜその歯ブラシを選ぶのか」

「歯ブラシの特徴」について説明を行うなど、何事にも理由を添えて、専門家が処方した清掃用具で

あることを強調しました。

今後のプロフェッショナルケア計画

もともとオーバーブラッシングとアンダーブラッシングを繰り返している方なので、歯肉に傷がない

か、プラークの厚み、炎症の有無など、そのときどきの歯磨きのクセを観察しています。

 

症例2:多量のプラークがあるが、セルフケアに興味がない

患者情報:59歳、男性/病歴:特になし/性格:せっかち、何事にもきっちり

初診時のセルフケア

•デンタルIQは低い

•1回/日、硬めの歯ブラシ、多量の歯磨剤使用し、大きなストロークで行なっている

•子供のころから親に歯磨きをしなさいなんて言われたことがない

•年を取ったら、歯なくなっていくのは仕方がないと思っている

問題点

多くの歯石とプラークが存在しますが、これまでの習慣で何も問題がなかったことから、セルフケアに

ついてあまり興味がありません。この年齢まで歯周病が進行しなかったのは、この患者さんのバイオ

フィルムが低病原性であり、不潔性の歯周炎と思われます。

何を伝える

歯周治療を行うためには、患者さんに歯周病について理解してもらい、セルフケア徹底してもらうのが

基本です。セルフケアに興味がなさそうであっても「今どうなっているのか」「どのようにすれば問題

を解決できるのか」を伝え、患者教育を行います。

Point

何をみる?→モチベーションがない、磨けていない

多くのプラークや歯石があることから、まずはプラークコントロールの大切さ理解してもらうことが

重要です。しかし、モチベーションのない患者さんに対して厳しく指導すると逆効果になることも

あり、来院途絶えるのは避けたいと考えました。

どうするケア?→ゆっくりと伝えていく

このような患者さんには、患者教育の後一度セルフケアの説明行ったら、プラークコントロール多少

悪くてもSRPをはじめ、歯石が取れると「こんなにすっきりするんだ」という感覚を体験してもらい

ます。それから、歯周病の病因論、セルフケアとプロフェッショナルケア、メインテナンスなどを少し

ずつ伝えていき、ゆっくりと行動変容が起こるのを待つことにします。

口腔衛生指導としては、まずは磨けていないことをわかってもらうことが大切です。そのため、染め

出しもちろんですが、舌で歯を舐めてもらい、ツルツル(磨けている)とヌルヌル(磨けていない)を感じる

ことができるかを練習してもらいました。また、歯磨き回数を増やしてみることを提案しました。

ただし、セルフケアのテクニックについて指導はしません。歯肉を傷つけたり、磨きにくい部位を自分

で感じるようになったら、テクニック指導のタイミングで、補助清掃用具の追加などもこのときに

行います。

今後のプロフェッショナルケア計画

仕事が忙しくなった際に生活習慣が乱れ、それに伴ってセルフケア意識が低くなってしまう傾向がある

ので、来院時には情報収集に努めますが、健康であれば急速に歯周病が進行することはないか考えて

います。むしろ加齢に伴い、全身疾患を有したときに注意が必要だと予測しています。そして治療が

必要になった場合、スムースに移行・協力していただけるように、信頼関係の維持、患者教育も欠かせ

ません。

 

まとめ

今回の症例はどれも患者さんの健康管理のために長期にわたって寄り添っており、う蝕や歯周病の予防

のみだけでなく患者さんの全体のリスクを考慮してケアの計画を立てていました。

プロフェッショナルケアではすべての患者さんに同一のケアを行うのでなく個々の患者さんに合わせた

ケアを考えて行っていくことが必要だと改めて考えさせられました。

                                                                                                                  衛生士 星島

  2018/08/29   ふくだ歯科
タグ:歯周病

「歯周病と関節リウマチ」について、勉強会で発表して

◎関節リウマチについて

 関節リウマチとは、免疫異常により関節に腫れや痛みをともなう炎症が起こる病気です。

   30~50歳代の女性に多く認められます。

 (症状)

 起床時における関節のこわばりや関節の痛み・腫れがあり、進行すると関節の変形や手足の運動が

    制限され、機能障害が起きます。

 

◎歯周病と関節リウマチの関連

 関節リウマチ患者はより歯周病(歯周炎)にかかりやすく、特に口の中を不潔にしているリウマチ

    患者は、歯周病が重症化します。

 関節リウマチと歯周病には双方向性の関係が示されています。

    関節リウマチがあると歯周病がさらに進行する理由は、手指関節の障害による不十分な歯磨き

 (プラークコントロール)、リウマチ薬により感染しやすくなることなどが考えられます。

    歯周病があると関節リウマチがより進行する理由は、Pg菌のもつ酵素(シトルリン化変換酵素)に

    より、リウマチに関連する自己抗体(シトルリン化タンパク)が増えるためと推定されています。

 

◎歯周病・関節リウマチ患者さんに対する歯科医師・歯科衛生士の役割  両疾患が併発している患者

   さんに対して、リウマチ治療ばかりでなく歯周治療・口腔ケアを行うことが重要です。

   臨床現場において歯科医師が行うことは、

   ① リウマチ専門医と相談して、リウマチの状態や使用薬物等を把握する

   ② リウマチと歯周病の関係と通院の必要性を患者さんに説明し、両疾患の原因・リスク因子をできる

        限り排除する

   ③ リウマチ症状により口腔清掃が不十分な場合は、電動・音波歯ブラシや洗口剤の使用を行う

   歯科衛生士は

   ① 患者一人ひとりに合わせた、無理のない口腔衛生指導を行う

   ② 両疾患のリスク因子おもに生活習慣指導を本人および可能なら家族とも連絡を取って根気強く

        指導する

   ③ リウマチの特徴的な関節症状や心理状況(孤独感・疲労感)を配慮して精神的サポートを行う

   歯周病・関節リウマチ患者に対する歯科医師・歯科衛生士の役割

   1. 口腔衛生指導 口腔清掃の指導、洗口剤の導入

   2. 口腔乾燥症対策 保湿剤の導入、唾液腺・咀嚼の刺激

   3. 生活指導  歯周病リスクの排除  リウマチリスクの排除

 

<感想>

今まで歯周病と糖尿病の関連については勉強してきましたが、今回関節リウマチとの関連について

学ぶことができました。実際に、関節リウマチの患者さんが「手が痛くて歯ブラシを持つのも辛い」

と言われていました。関節リウマチの症状をきちんと理解し、無理のない指導をしながらしっかり

とサポートしていかなければならないと思いました。

                                                                                                       衛生士 松本

  2018/08/22   ふくだ歯科

「口腔がんから患者さんを守れ!」について、勉強会で発表して

口腔がんは早期発見されれば治療もしやすく、その後の傷害も少なく済み、生存率も高くなります。

 

日本は“がん大国”

日本人の死亡原因1位は「がん」です。こうした背景もあり、がんの早期発見早期治療に関しては急速

に研究が進められているため、日本の医療レベルは世界最先端と言ってもよいと思います。

しかし、口腔がんについて言えば、日本は必ずしも先進国とは言えないのが現状です。

 

口腔がんって?

口腔がんには、舌がん、口腔底がん、歯肉がん、頬粘膜がん、口蓋がん、口唇がんなどがあります。

つまり、そのほとんどが口腔粘膜に生じるということです。日本における口腔がんの多くは舌がんで、

次に口腔底がん、歯肉がんの順で多くみられます。上記に挙げたがんに加えて、喉の奥にできる咽頭

がんも含まれることがあります。

 

放置された口腔内の問題もがんの要因に

口腔がんの発症原因はタバコ、だけじゃない

がんになる要因には外的要因と内的要因があります。外的要因としては、発がん性物質(タバコなど)、

放射線、紫外線、ウイルス(HPV:ヒトパピローマウイルスなど)、細菌(ピロリ菌など)、慢性刺激が、

内的要因としては遺伝的素因が挙げられます。

口腔がんの原因について見ると、まず挙げられるのがタバコです。しかし、実は口腔がんの発症原因

には、それ以上に重大なものがあります。それが慢性刺激です。通常、口腔がんが短期間で急に発症

することはあまりありません。たいていの場合、最低10年の期間を経てがん化すると言われています。

つまり舌や歯肉、頬粘膜などに外部からの刺激が慢性的に加えられると、数年後、数十年後にがん化

するということです。

“口腔がん=喫煙者、高齢者のがん”はもう古い!

これまで、日本における口腔がん罹患患者の平均年齢が割と高齢だったことから、「口腔がん=高齢者

のがん」といわれてきましたが、最近では10代、20代の事例も頻発し始めています。

30歳以下の若い口腔がん、特に舌がんの患者さんのほとんどに認められた口腔内所見が、臼歯の舌側

傾斜や鋭利な咬頭でした。彼らが小学生ぐらいの頃、つまり臼歯が萌出した頃から、10年、20年に

わたって毎日その歯が舌を傷つけることで、慢性刺激となり、がんが発生していると推測できます。

慢性刺激となる口腔内の問題を抱えている人は要注意

・歯列不正     ・詰め物や被せ物不適

・義歯不適     ・舌小帯付着異常

・舌や頬の圧痕   ・アマルガム

・咬傷       ・口内炎 ・う蝕        など

・歯周病

年齢や性別、喫煙の有無にかかわりなく、このような問題を抱えている口腔内である場合、口腔がんの

発症につながる可能性があることを意味します。

 

口腔がんから患者さんを守るために歯科医院にできること

口腔がんの発症を予防する

・口腔内の環境を整えて刺激源を除去する

 口腔がんの原因には慢性刺激が挙げられますので、歯科医院で口腔内環境を整えて刺激源を除去する

   ことが重要です。例えば、鋭利な歯や補綴物を研磨したり、歯列不正があれば矯正を行ったり、義歯

   が合っていなければ調整するなど、日頃から行っている歯科治療が口腔がん予防にも大きく貢献して

   いるのです。

・卒煙を支える

・口腔粘膜を診る習慣をつける

異常を見つけたら、専門機関へつなぐ

・安易に経過観察を続けない

 異変に気づいた場合は、口腔外科などしかるべき機関へ紹介し、精査してもらってください。特に、

    2週間経っても口内炎や舌痛などが改善されない場合、がん化している状態かもしれません。

・安易に治療や抜歯を行わない

   口腔内の異常が継続している場合、安易に根管治療や抜歯を行わないようにしましょう。

 

〈まとめ〉

患者さんの口腔内を診る機会が一番多いのは、メインテナンスなどを行う歯科衛生士だと思います。

歯と歯肉だけではなく、舌や舌の裏、頬粘膜など、口腔内全体をチェックする習慣をつけ、口腔がん

の早期発見に努めたいです。

                                                  衛生士  関口

  2018/07/25   ふくだ歯科
タグ:口腔がん

お薬手帳について、勉強会で発表して

●「出すとソン」から「出すとお得」に

 2014年の診療報酬改定で薬局の薬剤服用歴管理指導料が 「手帳あり」41点 「なし」34点に

 設定され、「あり」が20円(3割負担の場合)負担高となった。    

  2016年度診療報酬改定による薬歴管理料の変更で  「手帳あり」38点 「なし」50点

 「手帳なし」の場合に3割負担で40円高くなるように改められた。      

 *初回時は「ある」「なし」に関係なくすべて50点で、次回(6ヶ月以内)来局時 からしか適応

  されないなど、38点になるにはいくつかの条件がある。

 

●阪神大震災の教訓から生まれたお薬手帳

 ・元々 お薬手帳は一部地域の薬局が試行的にはじめた。

 ・1995年 阪神淡路大震災で医師や薬剤師の支援活動に支障が出たケースが多々あり、災害時にも

   安全に服薬を継続できるようにと、一部医療機関や薬局がサービスの一 環としてお薬手帳の配付

        を始めた。  

 ・2011年「薬剤情報提供料」として調剤報酬に盛り込まれた。

 

●180度の方向転換の理由  

   お薬手帳は患者、医療関係者にとって重要な情報源       

     ↓   

   お薬手帳の普及を図るため、「出したほうが得になる」点数設定に変えた。

 2016年度改定では、患者の服用薬を一元的・継続的に一カ所の薬局で管理する「かかりつけ薬剤師」

    制度を新設した。      

 

●「電子お薬手帳」もスタート  

 2016年度の改定で、電子お薬手帳も紙媒体と同様に認められた。

 電子お薬手帳の概要

  主なメリット

  ・災害時などでもクラウド上にデータが残されており、紛失リスクが防げる

  ・携帯性が高く、持参忘れを防げる

  ・紙のお薬手帳に比べ、情報量が圧倒的に多い

  ・双方向のやり取りが可能である

  主なデメリット

  ・閲覧に充電や電波が必要

  ・高齢者など、スマートフォンを使えない患者さんも少なくなく、普及に課題

  ・患者情報のセキュリティ対策への懸念

 

●歯科医院でもお薬手帳の確認を

   歯科医院でも「他にどんな治療を受けているか、どんな薬を飲んでいるか」を 聞き出すことが重要

   です。

   また、お薬手帳も必ず持参してもらい、他の服用薬の 有無をチェックする。

 

最後に、今回お薬手帳の成り立ちや重要性が理解でき良かったと思います。

患者さんはお薬手帳の他にも病気や状態に特化した手帳をお持ちの場合もあるので、確認をしていく

ことも忘れてはいけないと思いました。  

                               衛生士 赤木

  2018/07/16   ふくだ歯科
タグ:お薬手帳

歯科医療安全研修会(H.30.2.18 開催)に参加して

複雑化する有病者歯科治療の現状 ~観血的処置において問題となる薬剤を中心に~

安心・安全な歯科医院とは?

・説明がしっかりとなされ、患者の疑問や質問にも丁寧に答えてくれる

・基本的技術や考え方がしっかりしている

・待たせない、痛がらせない、外れない

・全身状態に気を配りながら治療してもらえる(外来診療環境体制が整っている)

・感染対策がしっかり行われている

・医療安全対策がしっかり行われている    …等々

歯科・口腔外科的治療の特殊性

・歯科、口腔外科的治療の術野は気道や食堂と重なるため非常に危険な領域である。

   これまでにも偶発事故による多くの死亡例が報告されている。

・歯や補綴物の誤飲や誤嚥などの偶発事故も多い。

・非常に細菌数の多い領域であり、高齢者や多数の薬剤を服用している患者さんへの出血を伴う

    処置も多い。

・歯科医療も多様化。 デンタルインプラントなど外科的処置も増えて治療内容も複雑になってきた。

この10~20年間の大きな変化

1.疾病構造の大きな変化―超高齢化

2.心筋梗塞や脳卒中で死亡することが少なくなった

       病状悪化や再発防止の理由から抗凝固薬(ワルファリンカリウムetc.)や 抗血小板薬

    (アスピリンetc.)は休薬しない

3.がん患者の急増

       BP製剤や分子標的薬など歯科医師の頭を悩ませる薬剤の登場 昔ほど病気を放置してコントロール

      不良な状態で受診することは少なくなったと思われるが、病状を薬剤でコントロールしている

      ため、副作用対策や併用禁忌・注意薬などに関する知識も必要になった。

抜歯時、ワルファリンを中断した場合、どのような合併症が起こるか?

    ワルファリンは心房細動患者において脳卒中のリスクを70%減少させることが知られている。従来、

    ワルファリン服用患者においてはワルファリン投与を数日間中断し、血液凝固機能を回復させてから

    抜歯が行われていた。しかし、論文で出された1%程度の患者において抜歯のためのワルファリン

    中断により、血栓塞栓症が発症し得るという事実を、極めて重大に受け止めるべきである。

    そのような事実に基づいて歯科の立場としては、ワルファリン継続下での抜歯を行うべきである。

    しかし、ワルファリンを休薬することに怖さを感じる一方で、ワルファリン継続下での抜歯にも危険

    が伴う。

    一例:歯科医院で歯肉腫瘍切開を受けた患者さんは再受診の際、大量に吐血し、救急搬送された。

              …傷口からずっと出血し続け、それを飲み続けて胃で固まっていたものを吐いたと思われる。

               そのため、確実な止血縫合処置が重要である。

    圧迫ガーゼの当て方             

    ガーゼを丸めてピンポイントに当てる                    

    抜歯窩に当たっていないのは、適切ではない

止血困難症例に遭遇した際の全身的対応

・通常ならアドナ(止血剤)、トランサミン(止血剤)内服処方あるいは点滴投与。

   しかし、抗血栓療法を受けている場合トランサミンの使用はふさわしくない。

・ワルファリンに関しては循環器主治医に対診して、休薬ならびにビタミンK投与の可否を検討して

    頂く。

・新抗凝固薬(ビタミンKに影響を受けない)に関しても、休薬の可否を循環器主治医に打診。

※緊急の場合は2次医療機関へ紹介する。

    処置だけでなく全身状態の管理が重要になる。

骨吸収抑制薬関連顎骨壊死

   BRONJ → ARONJ

   原因薬剤はビスホスホネート系に限るものではなくなったため、名称が変更となった。

   総合的名称としては、MRONJ(薬剤関連性顎骨壊死)となる。

骨粗鬆症とは

    血液中のCa濃度が低下→破骨細胞が活発…骨からCaを取り出すよう働く。

                                                      ↓

    骨吸収が生じる→骨芽細胞が活発になる…Caを骨に蓄えるため

    様々な要因によりこのバランスがうまく保たれなければ骨粗鬆症になります。

骨粗鬆症治療薬(ビスホスホネート製剤)

    作用…服用すると骨にくっつき、骨を壊す破骨細胞が働きすぎるのを弱める。

    効き目…骨形成と骨吸収のバランスを保ち、骨を健康にして骨折を予防する。

ARONJとは

    発生の仕組みなど未だ不解明である。

    顎骨壊死になりやすい要因としては、抜歯・インプラントなどの傷口、虫歯、歯周病etc.

    ビスホスホネート製剤を服用中、抜歯などをきっかけに細菌に感染しやすくなり、感染してしまう

    と粘膜に穴が開き、壊死した顎骨が露出する。露出が起きると強い痛みで食事が難しくなり、歯が

    抜けたり、顎の皮膚に穴が開いて、骨が露出したりする。放置し悪化すると死亡例もあるという。

    口腔状態を清潔に保つことが求められるが、高齢者には限界があり、難しいと考えられる。

高齢者や循環疾患を有する患者さんへの歯科治療の基本

・ストレスを可能な限り少なくする。

・治療前・治療中・治療後の痛みを少なくする。

・データによるとストレスがかかる強さは…

   1.局所麻酔を使わない窩洞形成

   2.埋伏歯抜歯

   3.小手術

   4.局麻下での窩洞形成

   5.局麻のみ

   6.根治

   7.スケーリング      の順となっている

・歯科医師の予測と患者が感じるストレスの程度は一致しない

・重篤な循環器障害を持つ患者では、以前は午前中の診療が良いとされていたが、午後の方が安全

   である。また冬期に心臓疾患による突然死が多い。

 

【感想・考察】

   今回の研修会では薬剤関連や症例などが多く、難しい内容であったと思います。特に、ARONJに

   ついては聞いたことがあってもよく理解出来なかったので、個人的に調べた内容も共にレポートに

   しています。話を聞く中で感じたのは、患者さん本人が、現在受けている治療と歯の治療との関連性

   を知らない可能性もある為、一つ間違うと大きな医療事故に繋がる恐れがあることを知り、患者さん

   の服薬状況をしっかりと問診する必要性を強く感じました。その為にも、より傾聴する姿勢と、患者

   さんとのコミュニケーションの重要性を改めて再確認できました。

                                             衛生士   河本

  2018/07/04   ふくだ歯科
タグ:医療安全

「第6回頑張っている歯科衛生士への応援メッセージ」講演会に参加して

1.SPTとメインテナンス

SPTあるいは移行するかの判断には、プロービング時の出血、PD、プラークの付着状況、歯の動揺、

歯槽骨の吸収、根分岐部病変検査による再評価が必要となる。

2.メインテナンスの分類

メインテナンス分類には、「予防的メインテナンス」「治療後メインテナンス」「試行的メインテ

ナンス」「妥協的メインテナンス」の4つがある。患者によって動的治療のゴールが異なる以上、

メインテナンス患者のリスクは千差万別であり、プログラムの内容やリコール間隔も異なってくる。

ここの患者に適したメインテナンスを行なううえで、メインテナンスの分類は1つの指標となる。

※動的治療には、非外科療法と外科療法があり、外科療法はさらに切除療法、組織付着療法、

再生療法、歯周形成外科療法に分かれる。

⑴予防的メインテナンス:歯周病菌の感染や組織の破壊がほとんど認められない患者のメインテナンスを

    いう。そのため、セルフケアのチェックと歯肉縁上を中心とした細菌バイオフィルム破壊、PMTCを

    行う。予防的メインテナンスはリスクが最も低いため、最も長くリコール間隔を設定することが可能

    であるが、あまり長くしすぎるとセルフケアレベルの維持ができないことがあるので注意が必要。

⑵治療後メインテナンス:初診時にあった高いリスクを外科療法を含めた動的治療で改善し、安定した

    後に行うメインテナンスをいう。ただし改善度によってメインテナンス移行時のリスクの程度は

    異なるため、メインテナンスプログラムは変わってくる。また、行われた動的治療によっても治癒

    形態は異なるため、それぞれに適したメインテナンスが必要となる。

⑶試行的メインテナンス:動的治療が微妙な結果で終わったためさまざまな不安を抱えたまま行なって

   いくメインテナンスをいう。メインテナンス時には深いポケットや骨欠損などが存在するため、

   ハイリスク部位を中心に監視する。さらに、新たな問題が発生しないように、ローリスク部位に

   目を配る。セルフケアには限界があるものの、プロフェッショナルケアが成功の必要条件である。

   SPTを継続して行う。

⑷妥協的メインテナンス:動的治療が妥協的ゴールで終わっている最もリスクの高いメインテナンスを

   いう。ハイリスク部位をたくさん抱えているため、メインテナンス時に悪化する可能性は高く、

   歯肉縁下の細菌バイオフィルム破壊を徹底的に行う必要がある。また、深いポケット内では細菌の

   後戻りが早いため、リコール間隔短い方が好ましい。

3.長期的な安定

歯周治療成功=メインテナンスの成功と言える。歯周治療を成功させ、長期的な安定を得るためには

患者教育が重要となる。

⑴患者教育

   患者教育では、歯磨き習慣を含めた生活習慣の見直しを行い、その改善を促す。さらに、正しい

   プラークコントロールの方法を身につけるためにTBIを行う。

 〈ポイント〉

   ・歯周病の回復にはセルフケアとプロケアの両方が必要である事を理解してもらう。

   ・歯肉や骨などの病態の説明を行う。

   ・TBIでは重要なポイントを絞ってあまり多くは伝えない。

   ・染め出しなども効果はあるが、歯面がツルツルしているなど舌感で自覚する方が良い。

 

感想

    今回の講演を聴いて、メインテナンスにも種類があるということを知れました。お話の中で、歯科衛

    生士は患者さんに寄り添い、ポジティブな意識をもたせることが歯周治療では重要になると言われて

    いました。一方的な伝え方にならないよう、患者さんが何を希望しているのかを把握して口腔内を

    より良い状況に持っていけるようにしたいと思いました。

                              衛生士  星島

  2018/06/27   ふくだ歯科