スタッフレポート

スタッフによるレポートを掲載しています。

「気になっていた疑問を解決!」について、勉強会で発表して

Q.フロスがうまく使えない患者さんで、歯間ブラシも入らない方はどうしたらよいでしょうか?

A.歯間到達性の高い歯ブラシで対応するのも一つの方法です。

  まずは、患者さんがフロスなどの歯間清掃用具を上手に使えない原因をしっかりと追究することが

  重要です。原因は患者さんによってさまざまですが、歯間部への挿入方法を工夫したり、フロスの

  柄のタイプを変えることで、使えるようになる患者さんもいます。 一方で、これらの工夫を行って

  もフロスや歯間ブラシの使用が困難な場合には、フロスや歯間ブラシにこだわらずに、歯間到達性

  の高い歯ブラシで対応することも一つの方法です。ヘッドの幅が狭く、毛の細い歯ブラシの方が、

  歯間部への到達性が高くなります。また、タフト(毛束)も細い方がより歯間部への到達性が高く

  なります。歯ブラシの毛先を、歯冠方向に45~60度程度の角度で歯面に当てるようにして、

  チャーターズ法に近い磨き方にすることで、歯間部に歯ブラシの毛先が届きやすくなります。

  このように、いろいろと支援の形を考えてみて、その中から個々の患者さんにもっとも適した

  ソリューションを選択し対応していくことが大切です。

 

 Q.歯磨剤を使いたがらない方へ、根面う蝕の予防や進行抑制のためにどうアプローチすればよい

  ですか?

A. 無理強いはせず、効果のある洗口液での洗口やプロケアなどできることで対応しましょう。

  大切なことは、患者さんとよく話し合って、なぜ歯磨剤を使う習慣がないのか、あるいは使いたく

  ないのか、その理由を知ることだと思います。味が嫌い、臭いが嫌い、泡が出て長く磨けない、

  アレルギーがある、過去に「使わない方がいい」と指導されたことがあるなどが考えられます。

  フッ化物配合歯磨剤は、根面う蝕の予防と進行抑制に必須というわけではありません。根面う蝕

  の“進行抑制”に効果があるというエビデンスがあるものとしては、フッ化ナトリウム配合洗口剤に

  よる洗口があり、販売されています。ですから、リスクに応じて洗口液を勧めてみる、プロフェッ

  ショナルケア(フッ化物局所塗布も含む)の間隔を調整する、飲食指導や患者教育に努めるなど、

  できることで対応しましょう。

 

Q.ショルダーバッグの持ち方は、本当に口腔内にも悪影響を及ぼすのでしょうか?

A.顔や口腔周囲の筋肉の緊張が起こり、歯列や歯を動かす力になります。 顔と体はひとつの体の中

  で、みんな繋がっています。人は縦に立っているので体のバランスが崩しやすく、体のバランスが

  崩れると、その歪みを補うために、顔や口腔周囲の筋肉にも緊張が起こります。その筋肉の緊張

  が、歯列や歯を動かす力になるのです。 例えば、体が左に傾いたり、左を向くと、下顎が左にずれ

  て、左側臼歯部同士が強く当たります。そうすると、右側臼歯部が離開します。いつも同じ方向に

  ショルダーバッグをかけ、肩のラインが大きく歪むと、体の偏位が下顎の偏位を起こし、顔貌の

  歪みまで起こすことは、確かだと考えます。 逆もまた同じです。咬合平面が左上がりになると、

  肩のラインが右上がりになり、腰は左上がりになります。それにつれて背骨もねじれます。下顎は

  中顔面にぶら下がっており、体のバランサーの役割をしているため、ある程度体のバランスを保つ

  ことは口腔にとって非常に大事です。

 

〈感想・まとめ〉

どのケースの患者さんに対しても、まずは患者さんの話を聞くことが大切だと思いました。その中で、

最も理想的な方法でなくても、患者さんに「できそうかも」と思っていただける最適な方法を提案

できるよう努力したいです。

                                  衛生士 関口

  2019/05/26   ふくだ歯科

「さまざまな原因で起こる歯に痛み」について、勉強会で発表して

非歯原性歯痛

非歯原性歯痛の原因は、8種類に分類されている。(日本口腔顔面痛学会のガイドライン)

非歯原性歯痛とは、歯や歯周組織に異常が見られないにも関わらず、歯に痛みを感じる状態をいう。

歯の痛みを訴えて受診した人の約3%が、非歯原性歯痛だといわれている。

 

①筋・筋膜性歯痛

    筋・筋膜性歯痛は、食べ物をかむときに使う筋肉(咀嚼筋)や首の筋肉と、これらの筋肉を覆う筋膜

 の痛みが原因で起こる関連痛。関連痛とは、痛みの原因から離れた場所が痛くなることをいう。

②神経障害性歯痛

 神経障害性歯痛は、神経障害性の疼痛が原因で起こる歯の痛みで、主に2つのタイプに分けられる。

  発作性…三叉神経の痛みが原因で起こる激痛。

  持続性…代表的な原因として帯状疱疹や帯状疱疹の後遺症による神経痛。

  神経周囲の炎症や腫瘍、骨折によって神経が障害されることが原因となる場合もある。

③神経血管性歯痛

 頭痛の関連痛として起こる歯の痛み。

④上顎洞性歯痛

 上顎の骨の中にある副鼻腔の空洞に、炎症や腫瘍があって起こる関連痛。

⑤心臓性歯痛

 狭心症や心筋梗塞、心膜炎などの心臓の病気が原因で起こる関連痛。

⑥精神疾患または心理社会的要因による歯痛

 不安や気分が落ち込む抑うつといった心理社会的要因が背景にあって起こる歯の痛み。

⑦特発性歯痛

 さまざまな検査をしても原因がわからない歯の痛み。

⑧そのほかのさまざまな疾患により生じる歯痛

 巨細胞性動脈炎や悪性リンパ腫、肺がんなど、病気が原因で起こる歯の痛み。

 

非歯原性歯痛の検査と診断

 非歯原性歯痛の診断をするには、まず、虫歯や歯周病などの問題がないかを、問診や視診、エックス

 線検査などで調べる。歯や歯周組織に問題がない場合は、8つの原因にあてはまる症状がないか、

 詳しい問診や触診、場合によってはCTやMRIなどの検査をして鑑別。

非歯原性歯痛~筋・筋膜性歯痛の治療~

 一般の歯科で治療できる「筋・筋膜性歯痛」

 筋・筋膜性歯痛

  非歯原性歯痛の8つの原因の中で、一般の歯科で治療が可能なのは「筋・筋膜性歯痛」の場合。

  これは、側頭筋や咬筋など、ものをかむそしゃく筋や、首の筋肉、さらに、その筋膜の痛みが原因

  で起こる関連痛。そのほかの原因の場合は、各分野の専門知識が必要となるため、一般の歯科から

  大学病院の歯科口腔外科や各分野の専門医を紹介することが多い。

  筋・筋膜性歯痛の治療

  病気について正しく理解

   筋・筋膜性歯痛の多くは、ストレスや歯を食いしばるなど、筋肉の緊張状態が原因。

   病気についての正しい理解が治療の第一歩である。

  悪い習慣の自覚と改善

   ストレスや緊張状態を生み出す日常生活の悪い習慣を自覚することも大切。歯ぎしりや食い

   しばり、上下の歯をずっとくっつけている、頬の内側をかむ、硬いものやガムを長時間かむ

   など、無意識に行っているくせなどは、意識して直していく必要がある。最近は、長時間同じ

   姿勢でパソコン作業をしていることが原因で筋・筋膜性歯痛になる患者さんが多い。時間を

   決めて休憩をとったり深呼吸するなどして、緊張をやわらげる工夫をする。うつ伏せであごを

   つけて寝る姿勢も、あごや筋肉に負担がかかるため、控えるべき。

  薬による治療 

   痛みを抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬などの鎮痛薬を使ったり補助的に筋弛緩薬を使う

   こともある。また、トリガーポイントに局所麻酔薬や炎症を抑えるためのステロイドを注射する

   こともある。

   理学療法

   痛みの軽減には、理学療法も効果が期待できる。痛みがある部分の筋肉に、ホットパックを

   使って温めて血流を良くしたり、指で軽くもみほぐしたりする。予防的に、口を開けたり閉じ

   たりを繰り返すストレッチなども効果的だが、痛みが強い場合は無理に行なわない。

 

【感想・考察】  

 齲蝕など歯が直接の原因ではない歯の痛みを抱えて来院される患者さんは最近、とみに増えてきて

 いるように感じます。私としては、関連痛か咬合性外傷くらいしか思いつきませんでしたが、今回の

 レポートで様々な原因がある事に驚くと共に大変勉強になりました。 痛みもただ一つだけとは

 限らず、複合的なものもあると考えられますので、患者さんに寄り添いつつ、状況をしっかりと

 お尋ねしていけたらいいなと思いました。

                         衛生士  河本

  2019/05/12   ふくだ歯科
タグ:歯の痛み

「オーラルフレイル~人間の老化は口の中から始まる~」について、勉強会で発表して

オーラルフレイルとは、口から食べ物をこぼす、ものがうまく飲み込めない、滑舌が悪くなる等と

いった軽微な衰えを見逃した場合、全身的な機能低下が進むこと。そして、これを予防することこそ、

健康寿命を延ばすことに繋がる。  

下の図は口腔機能と身体機能の衰えの過程を示したものだが、口の中の健康への意識の低下が全身の

機能低下に繋がることがわかる。           ※フレイル・・・虚弱      

[第一段階]社会性/心のフレイル期   健康       

      口の健康への意識が低下する。

      健康に関する情報等を得ようとする気持ちがなくなり、口腔内環境が悪化。歯周病など

      により歯を失う。社会へ参加する気持ちも薄れ、うつ傾向がみられることも。      

[第二段階]栄養面のフレイル期        

        口の中の些細なトラブルが多発。      

      歯を失うことにより、滑舌の低下や食べこぼし、わずかなむせや嚙めない食品が増加し、

                      食欲が低下。食べられる食品が限られてくることもある。      

[第三段階]身体面のフレイル期   虚弱    

              口の機能が衰え生活機能も低下。      

      咬合力や舌の運動力の低下、食べる量の低下によって、低栄養や代謝量の低下を招く。

                      ロコモティヴシンドローム(運動器症候群)やサルコペ二ア(加齢や疾患で筋肉量が減少)

                      になる。      

[第四段階]重度フレイル期    要介護   

        食べる機能の障害が起き、介護が必要な状態に。    

        摂食嚥下障害や咀嚼機能不全になり、フレイルや要介護に。

自分の歯に合った磨き方を習慣に  

    健康寿命を延ばすには、正しい歯磨き習慣をつけること。歯並びや歯肉の状態は人それぞれ。特に、

    中高年になると、歯茎が下がりプラークがたまりやすくなる。

    自分の口腔内 の状に合った歯ブラシや歯間ブラシのサイズ、歯ブラシの当て方、動かし方などを、

    歯科医院で教わり、日々の習慣にすることが重要なのだ。

 

感想  

年配の方だけでなく、若い世代の方にも知って頂きたい内容だと思った。口の 衰えが身体の衰えに

繋がる事を知り、患者さんの口腔内や身体の観察、問題の把握、清掃 や会話など、大事にしていこう

と思った。                   

                         衛生士 岡本

  2019/04/21   ふくだ歯科

「患者さんに合う歯ブラシの選び方」について、勉強会で発表して

・TYPE1 う蝕リスクが高い・補綴物が多い→ラウンド毛がオススメ

 しっかりと歯面に当たる面積があり、プラーク除去できるラウンド毛がオススメです。硬さに

 ついては、やわらかめの場合、プラーク除去率が低下しやすくなります。特に、唾液の分泌量が

 少なかったり、口呼吸している場合はプラークが硬くなりがちです。したがって、普通の硬さの

 タイプを選ぶか、やわらかめの場合はブラッシング時間を長めにすることが必要です。

  (製品例) DENT.MAXIMA MS /ルシェロ歯ブラシB

 

・TYPE2 歯周病リスクが高い・歯肉が腫れやすい→テーパード毛がオススメ

 毛先が細くなっているテーパード毛であれば、歯周ポケットに入りやすく、ポケット内のプラーク

 除去に向いています。ただし、ブラッシング圧が強いがために歯周ポケットに毛先が入り込みすぎる

 と歯肉に痛みがでるケースもあるので、ブラッシング圧に注意が必要です。歯肉が腫れて痛みがある

 場合、硬さはやわらかめがお勧めです。症状が改善したら、やわらかめからふつうの硬さに変更

 しましょう。この他、ブラシの動かし方が大きい場合、歯ブラシの挿入角度を間違えている場合、

 歯周ポケットがあまりない場合(1~2mm程度)、テーパード毛は不向きです  

 (製品例) DENT.EX systema44M/ルシェロ歯ブラシP

 

・TYPE3 妊娠中のつわりや嘔吐反射が強い→ヘッドが薄いタイプがオススメ

  口腔内は非常にデリケートです。特に、つわりや嘔吐反射が強い患者さんの場合、無理して開口

 しようとすると嘔吐しやすくなるので、あまり開口せずに磨いてもらいましょう。ヘッドが薄い

 タイプのほうが奥まで入れやすくなります。頬側は口を開けずに噛んだまま磨くと磨きやすいで

 しょう。

  (製品例)DENT MAXIMA S

 

 ・TYPE4 歯列不正→ヘッドの幅が小さいタイプがオススメ

 たとえば同じ3列植毛でも、製品によって歯ブラシのヘッドの幅は異なります。歯列不正の患者さん

 の場合、1歯ずつ磨けるような指導も大切ですが、ヘッドの幅が大きいと歯面に当たりにくくなる

 ので、ヘッドの幅が小さいものがお勧めです。

  (製品例)DENT MAXIMA S  

 

こんなときはどうしたらいいの?

1. かための歯ブラシで歯肉が傷ついている場合

 患者さんの中には、「かため」の歯ブラシがお好きで、どうしてもそれで磨きたいと言われることも

 あります。特に男性に多く、歯肉が退縮してエナメル質がすり減っている方もいらっしゃいます。

 できれば「ふつう」や「やわらかめ」の硬さに変更していただきたいのですが、どうしてもご理解いた

 だけない場合は、持ち方はペングリップにし、歯ブラシの動かし方が大きいと歯肉に傷が付きやすい

 ので、大きく動かさない、力を入れすぎないといった説明をしましょう。また、力の緩和が期待

 できるカーブネックの歯ブラシもお勧めです。

2. 大きい歯ブラシを使用したがる患者さん

  歯ブラシは、口を磨くわけではなく、歯を磨くものです。たとえ体格が大きいからといって、歯も

 大きいわけではありません。舌で下顎前歯部の一歯を触っていただき、歯の小ささを理解していた

 だきます。その小さな歯を1本ずつきれいに磨くわけですから、大きな歯ブラシでは小回りが利かず

 磨き残しが増えることをお伝えしましょう。

3. 市販の格安歯ブラシは効果はあるのか?

  安い物の中にも良いものはあるかとは思いますが、探し出すのは困難です。歯科専売品に比べて、

 耐久性や素材の質、毛先の形状などが大きく異なります。安価なものの多くは、毛先が乱れるのが

 早く、ラウンド毛やテーパード毛のように毛先がきれいにカットされていないものが多い傾向に

 あります。つまり磨いているのに磨けていない、歯肉にダメージを与える可能性がでてきます。

 ただし、患者さんがそれを気に入って使用している場合は、交換時期を1~2週間で交換するなど

 提案してみましょう。

※歯ブラシの交換目安は1ヶ月

 歯ブラシの使用日数が経過すると、毛先が広がり弾力性もなくなっていきます。当然、プラーク

 除去率が悪くなります。また。歯ブラシの毛や植毛部に細菌が繁殖し、菌のコントロールが困難に

 なってきます。劣化した歯ブラシを使い続けると、取り残したプラークがう蝕や歯周病の原因と

 なるだけでなく、毛先やヘッドに付着した細菌が繁殖するため、衛生上の観点からも良いとは

 言えません。

 

まとめ

 世間には、市販品・歯科専売品を問わずさまざまな歯ブラシが販売されており、その中から一般の方

 が自分に合ったものを探すことは難しいです。私たちは専門職として、それぞれの患者さんに合う

 歯ブラシを提案することが重要です。患者さんの口腔内や環境、性格などを考慮し提案出来るよう

 に、タイプ別のポイントを頭に入れておこうと思います。

                        衛生士 星島

  2019/04/07   ふくだ歯科
タグ:歯ブラシ

「乳酸菌タブレットとキシリトールとの違い」について、勉強会で発表して

◎乳酸菌は、ミュータンス菌の増殖を抑制し、キシリトールは、酸を作るなどのミュータンス菌の活動

   を弱めるという違いがあります

 

キシリトール・・・ミュータンス菌が分解できないため、摂ることで菌による酸の産生が抑え

         られます。栄養源にもならないため、ミュータンス菌自体の活動も弱められます

乳酸菌・・・酸やバクテリオシン(類縁菌に対して抗菌活性をもつタンパク質やペプチド)を産生する

      ことによってミュータンス菌の増殖を抑制し、う蝕になりにくい口腔環境を作ると考えら

      れています。

 

乳酸菌タブレットの効果

① 風邪予防効果

  シールド乳酸菌(外部からの細菌を防御してくれる森永乳業が保有する乳酸菌)が入ったタブレット

  を摂ることで風邪予防効果があるタブレット。

② 歯周病や虫歯予防効果

  乳酸菌LS1の入ったタブレット。

  口の中の善玉菌や悪玉菌に働きかける事で、歯周病予防や虫歯予防に効果があります。

     乳酸菌LS1・・・口腔内の細菌に働きかける乳酸菌

     口腔内には100億を超える無数の細菌が住み着いています。

     この細菌は腸内フローラ同様、口腔内フローラを形成しています。口腔内にも善玉菌と悪玉菌が

     あり、悪玉菌が歯周病や虫歯を引き起こす原因になります。乳酸菌LS1はこの口腔内悪玉菌に働き

     かける事で悪玉菌を減少させ、善玉菌を優位にする乳酸菌です。

③ 口臭予防効果

     乳酸菌TI2711の入ったタブレット

     口腔内にいる悪玉菌の働きを抑え、悪玉菌が放つ有害物質を防ぐ効果があります。

 

 就寝前のブラッシング後に食べてもう蝕にならない?

 ブラッシングが十分にできていれば、就寝前のブラッシング後に乳酸菌タブレットを食べてもう蝕に

 ならないと考えられます。

 理由は、 

 ① 乳酸菌が作用するのは基本的にタブレットを舐めている間であり、長時間にわたって口腔内が酸性

   の状態にはならないから。

        デンタルプラーク形成過程で取り込まれた一部の乳酸菌は長くは生きられず、他の菌と相互作用

        しながら徐々に消滅していきます。すでに出来上がった口腔フローラに外から新たに乳酸菌が

        入ってきても、なかなか定着することはできません。

   ② 甘味料としてショ糖が使用されていないから

        ショ糖の代わりにキシリトールが使用されていることがほとんどです。

        そのため、就寝中にミュータンス菌や乳酸菌による酸産生が促進されることはありません。

     *ただし、乳酸菌タブレットのう蝕予防効果とう蝕発生リスクに関する研究はキシリトールに比べて

         歴史が浅く、症例数も多くありません。特に唾液緩衝能が低い症例における影響については、

         さらなる研究が必要と思われます

 

<感想>

乳酸菌タブレットの効果について詳しく知ることができました。

最近では乳酸菌に注目されたタブレットやサプリなどが販売されています。患者さんから聞かれること

もあるかもしれないので、最低限のことには答えられるように積極的に身の回りの情報について触れて

いきたいと思います。

                             衛生士 松本

  2019/03/27   ふくだ歯科

子供の間食・食事について、勉強会で発表して

子供にお菓子を与えていいのは何歳から?

う蝕予防やおやつの目的、味覚の形成などの点も考えると3才以降が望ましい。

 

子供にお菓子を与える目的

・栄養とエネルギーの補給 幼児は消化機能が未熟で1回の食事で食べられる量が少なく1日3回の食事

 だけでは必要なエネルギー量を満たすことが難しいため。

  →3才を過ぎると1日の必須エネルギーが大人の三分の二にもなるので第4の食事としておやつが

   欠かせない。

・休息と喜びを与える。親や家族、友達とのふれあいの場になるといった広い視野からの考えもある。

 

味覚

 味覚は離乳食が始まる5か月から10歳頃までの食経験により育まれていきこの時期に与えられた

 食べ物によって味覚の好みが出てきます。

 得に離乳食スタートから3才頃までは重要な時期!

 その時期に甘いお菓子ばかり与えていると味覚への欲求がエスカレートしやすくなり野菜などの素材

 の味を「おいしい」と思えなくなり、好き嫌いが多い子どもになる可能性が高まる。

 →親がコントロールできる間に正しい食習慣を身につけることが子供の将来の健康につながる

 

市販のおやつ

1 甘みが強く、う蝕や味覚形成への影響のほか、エネルギーの過剰摂取や血糖値の急激な上昇の

  つながる

2 塩分が強く、味覚形成への影響だけではなく将来の高血圧につながる

3 油分が多く肥満の原因となる

4 体に悪影響を及ぼし発がん性の問題などもある着色料や保存料が含まれる。

 

おすすめの間食

ポイント

1 家であるもので簡単に作れるもの

2 1日3食で取り切れなかった栄養素がとれるもの

3 次の食事に影響しない量を意識する

  おにぎり(しらす、ごま、わかめなど普段の食事にあまり使わない具材)

  野菜など具沢山のサンドウィッチ 果物 蒸かしたイモ類 トウモロコシ 無糖ヨーグルト

  (ドライフルーツ、手作りジャムなどを加えるのも可)

 1日3回の食事と1~2回の間食は時間を決めることで生活リズムを整えることができます。

 運動量や体格の個人差もあるが1日に必要なエネルギー量の10%から15%が目安

 1~2歳100~150カロリー程

 3~5歳150~200カロリー程

 遅い時間や食事の直前は避ける(食事や翌日の食欲低下を招くため)

 単なる菓子類ではなく乳製品、炭水化物、果物類などを組み合わせると良い

 子供は知らず知らずのうちに親の真似をするので間食の取り方、食習慣、歯磨きの習慣など両親自身

 の生活習慣にも目を向けてみると効果的。

 

感想

子供の虫歯予防、歯周病予防は歯磨きだけではなく普段からの食習慣も大きく関係しています。子供の

口腔内の事を気にされている患者様も多いのでブラッシング、フッ素の重要性以外の面でもしっかりと

伝えていけるようにしていこうと思いました。

                              衛生士 加藤

  2019/03/17   ふくだ歯科
タグ:間食

「ココがもっと知りたい」を解決!について、勉強会で発表して

Q1.磨きやすいはずの部位に磨き残しがある患者さんへの指導に悩んでいます。

A.磨きにくい部位への指導と同じように、ブラッシング時に意識してもらえるような声かけを

  しましょう。

  このような患者さんへの指導は、2つの方法が考えられます。1つ目は、「磨きにくいところ

  ですね」と声をかけることです。一般的には磨きやすいところでも、その患者さんにとっては

  磨きにくいところと考えて、同じ流れで指導します。さらに、患者さん自身に“磨きにくいところ

  なのだ”と認識してもらうことで、磨き忘れのないように注意を向けることもできます。

   また、利き手側の犬歯部など、磨きやすいはずなのに磨けていない部位は、患者さん自身は

  磨いてるつもりでも飛ばしてしまい、磨き忘れてることがあります。こういった部位では、

  2つ目の方法として「磨き忘れしやすいところですよね」「みなさん同じところをよく忘れる

  んですよ」と声をかけます。続けて、「まずここから磨くと、磨き忘れを防げますよ」や

  「全部磨き終わった後にもう一度ここを磨くようにするといいですよ」とアドバイスします。

     「ここから磨く」「もう一度磨く」というフレーズは下顎臼歯部舌側のように、磨きにくく、

  かつ磨き残しが多い箇所にも応用できます。

 

Q2.高齢患者さんへの指導時に「年のせいだから」と言われてしまい、指導に行き詰まっています。

 A.心を開いてもらうためにも、相手を認め、褒めることからはじめましょう。

   診療室に通えるお元気な方でも、その日の気分が意欲に大きく影響する可能性があります。

  どんなに素晴らしい指導も、相手に心を開いていただかない限り効果はありません。

  「年のせいだから」とおっしゃられる時には「今日はあまり気が乗らないのだ」と理解し、

  指導は控え、気分がいい時に行うようにしましょう。また、「長年こうしてきたから」と

  おっしゃる方には、「とてもきれいなお口を維持されていますね」とまずは現状を認めて

  褒めましょう。その声かけが相手の心を開くきっかけになると思います。

   声かけにおいて、もっとも意識する点は、「ゆっくり&はっきり」話すこと。言葉の理解が

  遅くなりがちな高齢患者さんに自分の言葉をしっかりと伝えましょう。

  また、お話しながら口腔機能を評価できる声かけをして、「毎日食事はおいしく召し上がって

  いらっしゃいますか?」(咀嚼機能の評価)「大好きな食べ物は何ですか?」(飲食できる食品の硬さ

  などの評価&咀嚼機能の評価)「おしゃべりがしにくいことなどありませんか?」(唾液量の評価)

  などがあります。プラークコントロールの評価にとどまらず、口腔全体の把握・評価・アドバイス

  ができるようになれば、患者さんにとっての健康サポーターになることができるでしょう。

 

Q3.開口量の少ない患者さんや嘔吐反射の強い患者さんの口腔内撮影は、どのようにしていますか?

A.原因を和らげる対応に加え、無理のない範囲で素早く撮影するようにしています。

   お口が大きく開けられない方の場合、生まれつき口角が進展できない場合と、顎関節症で開け

  られない場合に大きく分けられます。

   進展できない場合は、口角にワセリンなどの保湿剤を塗布後、スモールサイズのミラーを使用

  します。顎関節症の場合、顎二腹筋マッサージを行っています。顎二腹筋は舌骨と密接な関係に

  あり、マッサージにより舌や下顎の動きを和らげ、口を開けやすくします。どちらにせよ、無理の

  ない範囲で、できるだけ素早く撮影するようにしています。

  嘔吐反射の強い方に対しては、表面麻酔を塗布しています。また、「5分以内で素早く撮影する」

  のもポイントです。嘔吐反射の原因は、口蓋から出る粘稠性の唾液で、これは患者さん自身の

  「口の奥に何かを入れられたら気持ち悪い」という想像により分泌されます。一度イメージして

  しまうとたびたび出てきますので、想像する時間をできるだけ短くするためにも時間をかけずに

  撮影しましょう。それでも嘔吐反射が止まらない場合は、洗口液などで、一度口腔内の粘稠性唾液

  をリセットするとよいでしょう。

 

〈感想〉

最後の口腔内写真については印象採得にも応用できると思い、レポートにしました。どれも一度は

悩んだことがある内容ですが、今までは患者さんに不快感を与えないようどうにか対応してきました。

これからはレポートを参考に、なぜこう伝えるのか、なぜこれを行うのかを理解しながら患者さんと

接していきたいです。

                          衛生士 関口

  2019/02/27   ふくだ歯科

「歯科の感染対策非常識」について、勉強会で発表して

歯科でよくみられる感染対策の非常識

1.なんでもアルコールで拭く

2.どこでもグローブで触る

3.グローブやマスクを繰り返し使用している

4. 清潔域、不潔域の区別が曖昧

5.器具の滅菌・消毒が不十分

 

1.なんでもアルコールで拭く  

  アルコールは中水準消毒液であり、即効性があって消毒効果が得られるが、 タンパク質を固着

     させ、洗浄効果が期待できないといった欠点もある。

   接触感染の恐れのある場所の清掃方法  

 ・多量の血液による汚染がある場合→アルコールを使ってはいけない   

  まずはそれらをペーパータオル等で拭き取り、そのあと次亜塩素酸ナトリウム などの中水準消毒液

       で清拭すると効果的です。タンパク質が固着してしまうの で、アルコールの使用は不適切。

  ・血液等を拭き取ったあとの場合→アルコールを使ったほうがよい   

   アルコール等の消毒液による清拭が推奨されます。また、術者の手が触れる 箇所は、ラッピング

        を行う方法がより衛生的。  

  ・パソコンや机、手すりなど血液による汚染のない場合→アルコールを使う必要ない    

   人が手を触れる部分を意識して、環境用クロス(第4級アンモニウム塩、塩化 ベンザルコニ

         ウム)や界面活性剤などでの清掃で細菌数を減らすことが大切で す。アルコールを使わなくても

         十分。

   *一時的な拭き取りにのみアルコールを使用

 

2.どこでもグローブで触る

   感染経路の一つは医療従事者の手指。処置に使用したグローブを着用したまま不用 意に動き回った

      り、無意識に周辺環境に触れない。

   *「ユニットを離れたらグローブを外す」をルールに

 

3.グローブやマスクを繰り返し使用している

  グローブ:1患者ごとに交換し、外した際には再装着しない。グローブをする 前と後は必ず手指

                       消毒を行う。

     マスク:基本午前1枚、午後1枚で使い、外したら捨てる。  

  *一度外したグローブは再装着しないよう徹底

 

4. 清潔域、不潔域の区別が曖昧

   清潔域と不潔域を区別することで汚染リスクを回避することができる。

   *動線と器材の流れを考えてゾーニング

   *器材整理には清潔にしやすい材質を選択する

 

5.器具の滅菌・消毒が不十分

  標準予防策の原則に従って感染対策を行うことが必要。

     器具・器械の管理方法

    基本は⇒耐熱性のある器具:オートクレーブで滅菌   

    次は ⇒ディスポーザブル製品:ディスポーザブル製品がある場合はできるだけ ディスポー

                        ザブル製品を選択する

    どちらも無理なら⇒耐熱性のない器具:プラズマ滅菌                     

                                                                           薬液消毒(次亜塩素酸ナトリウムなど)

      *来院者数に応じて確実に滅菌を行う     

 

【感想】  

感染対策についてよく考えることができました。消毒用エタノールなどは過信して 使用していた点も

あったと思います。もういちどよく確認しながら対応していきた いです。

                             衛生士 赤木

  2019/02/11   ふくだ歯科
タグ:感染予防

「笑顔・口元・息すっきり・オーラルレシピ」について、勉強会で発表して

1. カルシウムとビタミンDで歯を強化する

 歯や歯を支える骨を丈夫にするために欠かせないのがカルシウム。しかし、カルシウムは比較的体内

 に吸収されにくい栄養素で、これを手助けするのがビタミンD。ビタミンDは、日光を浴びることで

 体内で合成される。上手に組み合わせてカルシウムの吸収率を高める工夫を。

 カルシウムたっぷりの大豆食品。ビタミンDは魚や卵、干した食材に多く含む。 豆腐、干し椎茸を

 使ったスープ。鶏ガラスープの素で煮て、煮立ったら、溶きほぐした卵を流し入れる。

2. 良く嚙んで歯と歯肉をきたえる

 噛みごたえののあるものを食べることで歯肉を刺激し、あごの筋肉がきたえられ、健康な歯をキープ

 することにつながる。また、太りにくい体づくりにも役立つ。

 良く嚙む魚介のおかず、たこ(いか)を使ってガーリック、パセリを振って炒める。歯ごたえのよい

 きのこは食物繊維も豊富。きのこの味噌汁。

3. たんぱく質、ビタミンC、鉄、亜鉛で丈夫な歯肉をつくる

 歯周病を予防し、丈夫な歯を保つためには、しっかりした歯肉をつくることが大切。血色のよい歯肉

 をつくる材料となるのが、たんぱく質。良質たんぱく質、そして歯肉を丈夫にするうえで欠かせない

 ビタミンC、鉄、亜鉛などのビタミンやミネラルもしっかり補給しよう。

 肉、魚介(たんぱく質)をトマト味のスープに(酸味成分が胃液の分泌を促し、たんぱく質などの消化を

 助ける)。 彩り豊かなパプリカ、ピーマンは熱に強いビタミンCを豊富に含む。それらを熱湯にくぐ

 らせ、冷水につける。ひよこ豆、カッテージチーズ、ドレッシングと合わせ、サラダに。 鶏レバー

 (鉄)を生姜で煮る。かきご飯(亜鉛)。

4. 酸味で唾液の分泌を促し口内環境をよくする

 唾液には汚れや細菌などの繁殖を抑える抗菌作用があるために、虫歯や歯周病、そして口臭を防ぎ、

 歯や粘膜を保護する働きもある。酸味のきいた一品をプラスしよう。

 梅干し(疲労回復や食欲増進作用あり)を使ったおかず。梅干しを細かく刻み、たれの材料と混ぜ

 合わせて使う。酢の物。レモンの絞り汁。ヨーグルトを使ってサラダに。

5. ビタミンAで歯のエナメル質を強化する。

 ビタミンAは、歯のエナメル質や歯肉、舌などの粘膜をつくるために必要な栄養素。口は、雑菌が

 入りやすい部分なので、対策には粘膜を強化しておくことが大切。

 ビタミンAたっぷりのクレソン、にんじん。じゃこも加えてきんぴらに。かぼちゃを使ったカレー。

6. 歯によい砂糖控えめの嚙むおやつ

 糖分の多い食べ物や飲み物をよくとり、だらだら食べると、歯のエナメル質を溶かしやすくし、虫歯

 の原因となる。また、歯周病の原因菌のえさにもなる。歯の健康に気をつかうなら、甘さ控えめの

 手作りおやつがおすすめ。

 薄切りしたかぼちゃ、さつまいも、れんこん、ごぼうをぱりっと揚げて塩をまぶしたチップス。

  抹茶、緑茶を使ったおやつ。お茶には殺菌作用や、口臭予防の効果がある。

 

感想

 健康的な口腔内を保つためには、毎日の丁寧な歯磨きが欠かせませんが、それに加えて、歯や歯肉、

 体によい食生活を心がけていきたいと思いました。なんでも嚙めて、おいしく食べることも健康や

 笑顔につながるのだと感じました。食習慣についてお話しして下さる患者さんもおられるので、参考

 にしたいで す。

                          衛生士 岡本

  2019/01/27   ふくだ歯科
タグ:噛む

「肺炎ー高齢者は口腔ケアで予防」について、勉強会で発表して

肺炎とは…

症状は、発熱や咳、息苦しさなど。

死亡原因として、がん、心臓病、脳卒中に次いで四番目に多い。

2010年には約12万人が亡くなっており、この内65歳以上の高齢者が97%を占める。

高齢者の肺炎の約6割が、誤って気管に飲み込むことによる「誤嚥性肺炎」といわれている。

感覚が鈍くなっている高齢者は自覚症状が少なく、発見が遅れがちになりやすい。一見、肺炎とは

分かりにくい症状(食欲不振やだるさ、意識がもうろうとするなど)を示すこともある為、普段から

むせる姿が目立つ人は誤嚥性肺炎を疑うべき。

寝ている時など気付かないうちに感染し、肺炎を起こす「不顕性肺炎」には特に注意が必要。原因は、

寝ている間に細菌を含む唾液などが気管に流れ込むことによって起きる。肺炎を繰り返す高齢者の口内

を調べると食べかすが取り除けていないなど衛生状態が十分に保たれていないことが多い。

 

口腔ケアのポイント

◆毎食後と就寝前に歯磨き

 歯ブラシや歯間ブラシで、歯や隙間に付着している細菌の塊を落とすことが大切。

◆洗口液を過信しない

 口に含んで吐き出す洗口液は、細菌の付着は防げるが汚れを落とすことはできない。

 歯磨き剤は必ずしも必要ではなく、量も少なめで良い。

◆入れ歯は、外してブラシで汚れを落とす

 入れ歯洗浄剤は過信せず、一日一回は入れ歯を外して、ブラシを使って食べかすを落とし、水で

 洗い流す。

◆舌や頬、歯茎の粘膜には専用のブラシ(舌ブラシ・スポンジブラシなど)を使う

  粘膜を傷つけないよう、口の中全体をきれいにする。

◇介護が必要な高齢者は、ブラシで落とした汚れを誤嚥してしまう恐れがある。

  口腔用のウエットティッシュで拭き取ったり、吸引ブラシで吸引することが必要。

 ※口の中で落とした汚れは確実に口の外に出すことが重要である。

 

【感想・考察】

今回のレポートを通じて、日ごろから口腔内を清潔に保つことで多くの病気が予防できるのだと、

口腔ケアの大切さを改めて考えさせられました。高齢化社会である今、肺炎のリスクはとても

高くなっていると思いますので、患者さんだけでなく、家族や友人など身近な存在から少しずつ

伝えることができればいいなと思いました。

                        衛生士  河本

  2019/01/14   ふくだ歯科
タグ:肺炎