「歯周病の危険因子とメインナンス」について、勉強会で発表して
歯科衛生士に求められることは
① 歯周病を発症させない(一次予防)
② 早期発見・早期治療(二次予防) の2つ。
歯周病が発症しないように、歯肉が健康な若い時からメインテナンスを継続し、歯周病の発症を
患者さんの人生を通して予防することが理想である。
そのためには歯周病の危険因子についても知っておく必要がある。
○3つの危険因子 歯周病の原因は病因・宿主・環境がある。歯周病の発症・進行に関係があると考え
られる因子を危険因子(リスクファクター)と呼ぶ。危険因子があるから必ず歯周病になるわけでは
ない。Van Dyke&Sheileshは「危険因子に暴露することで歯周炎が起こる可能性が増加する。リスク
ファクターは原因の1つではあるが、それがあったとしても歯周炎が必ず発症するとは限らない。」と
定義している。
1. 病原性の高い歯周病菌
病原性の高い歯周病菌が患者さんのバイオフィルムにいるかいないかはとても重要なことである。
レッドコンプレックスの3種類の細菌は最も歯周病原性が高く歯周病の大きな危険因子である。
レッドコンプレックス感染による歯周炎なのか、多量のバイオフィルム蓄積による不潔性歯周炎
なのかを区別しながら患者さんの歯周治療方針を決めていくことも必要。
2. 宿主感受性
歯周病は歯周病菌による感染症ですが、同じように感染を受けても発症する人・しない人、症状が
重い人・軽い人がいる。免疫や歯周組織の抵抗性に影響を与える生活習慣も重要である。
ストレスや不健康な生活は免疫力や抵抗力を弱め、歯周病への宿主感受性を高めてしまう。
3. 生活習慣に潜む危険因子
毎日の生活習慣は宿主感受性に大きな影響を与える。代表的なものとして、肥満・喫煙・飲酒・
ストレスがある。口腔衛生指導に加え、説得力のある生活習慣指導の力を身に付けることも大切
である。
○メインテナンス
歯周病は発病しても自覚症状に乏しい病気で、歯周治療によって症状が改善しても、いつの間にか
再発が起こる可能性がとても高い病気である。歯周病の症状を再発させず、健康な状態を維持して
いくためには生涯を通した定期的なメインテナンスが不可欠である。
・目的
歯周病の症状が治まっていても、歯肉退縮や骨吸収によってプラークコントロールが難しくなって
しまった個所は残っているし、出血箇所や、浅くならないポケットなど、再発してもおかしくない
部分がある場合もある。歯周病菌はそんな部位にバイオフィルムを蓄積させて成熟させようとして
いる。なのでバイオフィルムが成熟する前に取り除くことが大事である。
患者さんのセルフケアの状態を確認することも大きな目的である。症状がないことへの安心から
口腔清掃へのモチベーションが下がってないか、加齢や疾患によってブラッシング技術や意欲が
低下していないかを確認する。そして患者さんの生活環境や生活習慣の変化を把握して、歯周状態
によくない因子の除去に努めることが大事である。
○感想
歯周病のリスクファクターについて改めて学ぶことができた。口腔清掃指導はもちろん それぞれの患者
さんにあった指導を心掛けることが大事だと思うけど、毎日の生活習慣 も歯周病の原因になってしまう
恐れがあるので、患者さんの情報をしっかり把握し、生活習慣なども含めて指導していくことが大切だ
と思った。そのためにも、技術と適切な 指導ができるような知識や適応力を身に付けられるように努力
していきたいと思った。
衛生士 檜垣