スタッフレポート

スタッフによるレポートを掲載しています。

「化学的な歯肉縁上プラークコントロールにはどんな効果があるの?」について、勉強会で発表して

良好なプラークコントロールがう蝕や歯周病の予防と治療に最重要であることは周知の事実です。

プラークコントロールは、機械的プラークコントロールと化学的プラークコントロールに大別

されます。化学的プラークコントロールのなかでも、歯肉縁上に対しては洗口剤が用いられます。

1.洗口剤について ・国内で販売されている主な洗口剤は以下のとおりである。

製品名  発売元  有効成分 区分

*グルコン酸クロルヘキシジン(CHG) 

コンクールF :ウエルテック  グルコン酸クロルヘキシジン、グリチルリチン酸モノアンモニウム 

       医薬部外品

バトラーCHX洗口液 :サンスター グルコン酸クロルヘキシジン、グリチルリチン酸モノアンモニウム

          医薬部外品

*塩化セチルピリジウム(CPC)

モンダミン ナイトクリア: アース製薬  セチルピリジニウム塩化物水和物、グリチルリチン酸ジ

             カリウム  医薬部外品

モンダミン プレミアムケア :アース製薬 セチルピリジニウム塩化物水和物、グリチルリチン酸ジ 

              カリウム、トラネキサム酸  医薬部外品

ガム・ナイトケアリンス  [ナイトハーブタイプ] :サンスター  塩化セチルピリジニウム、トラネキ

                       サム酸  医薬部外品

Systema SP-T メディカルガーグループ: ライオン歯科材 セチルピリジニウム塩化物水和物、グリチル

                リチン酸ジカリウム、ℓ-メントール、チョウジ油  指定医薬部外品

クリアクリーン デンタルリンス ソフトミント: 花王  塩化セチルピリジニウム  医薬部外品

*塩化ベンゼトニウム(BTC)

ベンゼトニウム塩化物 うがい液0.2%「KYS」: 昭和薬品化工  ベンゼトニウム塩化物  医療用医薬品

*ポビドンヨード(PI)

イソジンガーグル液7% :塩野義製薬  ポビドンヨード  医療用医薬品、 第3類医薬品

*エッセンシャルオイル(EO)

薬用リステリン®︎オリジナル :ジョンソン・エンド・ジョンソン  1、8-シネオール、チモール、サリチ

              ル酸メチル、ℓ-メントール  医薬部外品

アセス®︎液 :佐藤製薬  カミツレチンキ、ラタニアチンキ、ミルラチンキ  第3類医薬品

アセス®︎メディクリーン :佐藤製薬  カミツレチンキ、ラタニアチンキ、ミルラチンキ  第3類医薬品

・洗口剤の種類は主に歯面やバイオフィルム表面に付着して作用する薬剤(イオン系抗菌剤)とバイオ

 フィルム深部へ浸透して作用する薬剤(非イオン系抗菌剤)に分けられる。

・洗口剤の効果は継続的な使用で初めて効果として現れる場合が多いことから、長期間にわたる

 プラークコントロールのプログラムを作成し、その中で計画的に使用していくことが必要である。

2.歯面やバイオフィルム表面に付着して作用する薬剤(イオン系抗菌剤)

・水溶液中で強いイオン性を有し陽イオンを生じる薬品は、表面が負に帯電しているバイオフィルムや

 細菌、さらに歯面や粘膜面に付着することで殺菌作用を発揮する。

・また、歯面等に吸着することでプラークの再形成を抑制する効果が期待される。

・グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)、塩化セチルピリジウム(CPC)、塩化ベンゼトニウム(BTC)

 などが該当する。

3.バイオフィルム深部へ浸透して作用する薬剤(非イオン系抗菌剤)

・非イオン性を示し、歯面やバイオフィルム表面への吸着は弱い。

・バイオフィルム内に浸透し、短時間に殺菌性を示す。

・ポビドンヨード(Pl)、エッセンシャルオイル(EO)、トリクロサン(TC)などが該当する。 

4.グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)

・グラム陽性菌や陰性菌を含め広い抗菌性を有する。

・歯面に吸着してプラークの再付着を抑制することが知られており、海外では洗口剤として広く応用

 されている。

・グルコン酸クロルヘキシジンの歯周治療への応用に関しては多くの研究があるが、その濃度は0.12~

 0.2%である。

・本邦ではグルコン酸クロルヘキシジンによるアナフィラキシーショック例が報告されたことから、

 洗口液のグルコン酸クロルへキシジンは原液濃度で0.05%までに規制されている。実際にはこれを

 希釈して使用するため、0.01%程度の濃度で応用されることが多い。

5.塩化セチルピリジウム(CPC)

・低濃度でも菌体に静電気的に結合することで効果があり、毒性や刺激は少ない。

・グルコン酸クロルヘキシジン同様に歯面に吸着してプラークの再形成を抑制し、歯肉炎の予防に効果

 があることが報告されている。

6.エッセンシャルオイル(EO)

・殺菌作用の他に、抗炎症作用を示す。

・エッセンシャルオイルを主成分とした洗口剤にリステリン®があり、リステリン®︎のバイオフィルム

 内浸透速度を調べた研究では、グルコン酸クロルヘキシジンよりも4.89倍早かったことが報告されて

 いる。

まとめ

洗口剤にはプラークの形成を抑制する作用や、歯肉の炎症を抑制する作用があることはわかっています

が、あくまでも機械的なプラークコントロールの補助として考えるべきであることを留意して

おきましょう。 もっとも大事なのは機械的なブラッシングによってプラークを除去することです。

そのうえで、洗口剤を併用することでさらなる良好な口腔衛生状態を得ることができ、患者さんに

よってはそのおかげで歯肉炎を予防することができます。 また、グルコン酸クロルへキンジンに関して

は、日本で扱えるものは海外で効果があるとされているものよりも濃度がかなり低いため、同様の効果

は得られにくいことも忘れてはいけません。 以上の点を患者さんにも十分理解してもらってから、

適切な場面で適切な洗口剤を選択することで洗口剤の効果を最大限に引き出せるよう、エビデンスに

基づいた説明を行いましょう。

感想

患者さんから洗口剤について聞かれる事はよくあります。ふくだ歯科ではコンクールFを取り扱って

いるのでオススメする事が多いですが、患者さんに「市販の〇〇を使っているんだけど効果は無いのか

しら?」と質問される事もあり、はっきり回答出来なかった事もありました。 こちらから市販のものを

勧めることはあまり無いですが、患者さんが市販のものを使っている場合でもそれを否定せずにTBIや

アドバイスできるように効果や成分など理解しておきたいと思いました。

                               衛生士 星島

  2024/02/14   ふくだ歯科

仕上げ磨きについて、勉強会で発表して

子供たちにおいて、保護者による仕上げ磨きは不可欠ですがさまざまな理由によって受け入れて

もらえないことも多いのも事実です。プラークをきちんと落とすことにこだわりすぎず、まずは

仕上げ磨きを習慣にする事の方が重要です。

仕上げ磨きを嫌がる理由として

① 痛い、呼吸が苦しい

→力を入れすぎていたり子供が動くことで意図しない場所に歯ブラシが当たることで痛がります。

 また口の中にずっと歯ブラシが入ったままだと子どもはいつ呼吸をしていいのか分からず苦しくて

 嫌がります。自分で磨くのは好きだが、仕上げ磨きを嫌がる場合はこの原因が考えられます。

② 仕上げ磨きをやるタイミングではない

→遊んでいる途中などその子にとって仕上げ磨きをやるタイミングでない時があります。食事の

 まえにいただきますを言うように寝る前に歯を磨くという習慣をつけましょう。

③ 自分だけやられているのが嫌になる

→本人磨きは自分から進んでやるものの仕上げ磨きになると嫌がる場合は、自分だけ一方的に

 やられるのが嫌に思っている場合もあります。

④ 「イーして」「アーして」の繰り返しが嫌になる

→まずはイーして唇側を終わらせ次にアーして舌・口蓋側を終わらせ最後に咬合面をササっと

 磨けば早く終われます。

⑤ 楽しくない

→親子のスキンシップの時間としてお互い楽しくしましょう。日によって磨き始める場所を

 変えてみたりしてみてもいいでしょう。

感想

こどもが仕上げ磨きを嫌がる理由として初めて知るものもありました。 仕上げ磨きを嫌がるこどもは

多いと思うので今後相談があった時には保護者の方に寄り添いながら仕上げ磨きのコツや情報を伝えて

いけたらと思います。                               

                         衛生士 岡崎

  2024/01/24   ふくだ歯科

う蝕予防のセルフケアについて、勉強会で発表して

① セルフケアの目的

<発酵性糖質とプラークを除去し、ディスバイオーシスを防ぐ>

う蝕・・口腔細菌叢のバランスの変化(ディスバイオーシス)によって引き起こされる疾患

    ディスバイオーシス:発酵性糖質の頻繁な摂取や唾液量の減少などにより酸性に弱い善玉菌の

              数が減少し酸に強い悪玉菌が大多数を占める状態

セルフケアの第一の目的・・毎日のブラッシングで悪玉菌のエサになる発酵性糖質を除去すると

             ともに、悪玉菌が増えかけたプラークを除去し、善玉菌主体の菌叢に戻す

<再石灰化を促進させる>

脱灰と再石灰化のバランスの乱れ→初期う蝕からう窩形成への進行

カルシウムイオン、リン酸イオン、フッ化物イオン→エナメル質の再石灰化を進める

② フッ化物+αで再石灰化をさらに促進する

<フッ化物の特徴、使用法>

◎モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)

特徴

・エナメル質表面のカルシウムとの反応が遅いので、脱灰部深くに浸透(すすぎ過ぎ厳禁)

・初期う蝕の再石灰化にピッタリ

使用法

歯磨剤で用いる(500~1450ppm)

◎フッ化ナトリウム(NaF)

特徴

・カルシウムとの親和性が高い。

 エナメル質表面のカルシウムと素早く反応してフッ化カルシウム(CaF2)となる

使用法

・歯面塗布で用いる(9000ppm)歯科医院で使用

・歯磨剤で用いる(500~1450ppm)毎日家庭で使用することで、高濃度フッ素減少を補う

・洗口剤で用いる(毎日法:225~250ppm,週1回法:900ppm)

プロフェッショナルケアとセルフケアの双方でフッ化物を使うことによって、短期的な効果の両方が

カバーされ、万全の体制になる

③ 口腔内のpHをコントロールする

<唾液分泌低下によって失われた緩衝作用を補う>

唾液は多くの生理作用がありその分泌量が低下すると、洗浄作用、抗菌作用、緩衝作用が失われる

ため、う蝕のリスクも亢進する。高齢の方や唾液分泌障害の方においては、低下した緩衝作用を補完

する目的で口腔内pH中和剤(ピュリフレッシュ(ヨシダ)、カリフリースプレー(サントークコー

ポレーション)など)を食後に使用すると有効。

④ 咀嚼刺激によって唾液分泌を促進する

う蝕予防に言及した表示内容が認められている特保ガム

◎ポスカ  江崎グリコ(株)

成分・・リン酸化オリゴ糖カルシウム(POs-Ca)

    →水や唾液に溶けないカルシウムが非常に溶けやすい状態になっている

     カルシウムが通り抜けることができない初期う蝕の表層を通り抜けて、脱灰部位まで浸透し

     再石灰化に利用される

1日摂取目安量・・1回に2粒を20分噛み、1日3回を目安

◎キシリトールガム  (株)ロッテ

成分・・キシリトール、マルチトール、リン酸水素カルシウム、フクロノリ油出物(フノラン)

    キシリトール→細菌によって代謝され、酸がつくられる基質とはならない甘味料

1日摂取目安量・・1回に2粒を5分噛み、1日7回を目安

◎リカルデント  モンテリーズ・ジャパン(株)

成分・・CCP-ACP(Caとして)

    →カゼインホスホペプチド(CPP)が非晶質のリン酸カルシウム(ACP)の周りを取り囲む

     構造をした複合体。

     再石灰化に必要なリン酸イオンとカルシウムイオンを歯の表層に供給

    ※牛乳由来成分の為、牛乳や乳製品にアレルギーのある方は利用しない

1日摂取目安量・・2粒を同時に1日4回、1回あたり20分間を目安

感想

フッ化物の特徴や唾液の作用などについて再確認できました。むし歯のリスクの高い方にはフッ素塗布

をしていますが、合わせて毎日のブラッシングの大切さやキシリトールなどについてもお話ができれば

いいなと思いました。

                             衛生士 沼本

  2023/12/29   ふくだ歯科
タグ:虫歯予防

象牙質知覚過敏症について、勉強会で発表して

〈象牙質知覚過敏症の症状〉

→象牙質知覚過敏症とは、

①症状として象牙質痛を発生し、

②硬組織の欠損・疾患(う蝕・咬耗・楔状欠損など)が原因とならないものを指す

・露出した象牙質に口腔内への様々な刺激(冷水刺激・酸味刺激・甘味刺激などの誘発刺激) に伴って

   生じる誘発痛

・象牙質痛に該当する…エナメル質欠損を伴い、象牙質への刺激で生じる一次痛

※エナメル質とセメント質は神経が来ておらず、感覚そのものが発生しない。そのため、ブラッシング

 や歯面研磨、スケーリングでは歯肉が腫れているなどの 他の条件がない限り痛みは生じない

・一時的で鋭い(一過性の)痛みで一次痛を発生する

・時にその痛みは数分続くが、刺激の消失とともに、痛みは消失する

・「痛みのありか」がはっきりしない

・持続性の鈍痛や、拍動性疼痛、咬合時痛や咀嚼時痛は生じない

・打診痛に陰性を示す

〈象牙質知覚過敏症の対応〉

→対症療法を行う前に、①歯肉退縮がしやすいかと、②歯肉退縮の原因の見極めが必要

(歯肉退縮がしやすいか)

→歯肉の退縮のしやすさは歯槽骨の厚みと付着歯肉の厚みに大きく影響される

① 歯槽骨の厚みがあり、付着歯肉の厚さもある…歯肉退縮は起こらない

② 歯槽骨の厚みがあり、付着歯肉の厚さが不十分 または、歯槽骨の厚みが薄く、付着歯肉の厚さが

 ある…歯肉退縮は起こりにくい

③ 歯槽骨の厚みが薄く、付着歯肉の厚さも不十分…歯肉退縮が起こりやすい

(歯肉退縮の原因)

→再発を防ぐためには、対症療法の前に象牙質知覚過敏症を発生しやすい歯肉退縮の 原因を調べ、

 その原因を除去することが重要

① オーバーブラッシング

・根尖に向かって斜め45度の角度で当てていないか(バス法)

→歯頚部の丸みを意識して、歯ブラシを歯冠方向に向け、歯頚部に対し斜め90度で磨く

・歯ブラシを掌で握っていないか(パームグリップ)、歯ブラシの動かし方は大きくないか

→歯ブラシの持ち方を執筆状(ペングリップ)に、動かし方は小刻みに動かすように指導

・必要以上に同じ部位ばかりを磨いていないか

→歯ブラシの毛の硬さを1段階やわらかくしたり、ブラシが開いている可能性が 高いので新しいものに

 変えたりする

② 外傷性咬合

外傷性咬合の確定診断は歯科医師による咬合診査になる

→咬合調整やマウスピースなどで対処する

・安静時に上下の歯が接触していないか

・舌圧痕(舌が長時間歯に押し付けられることによって生じる舌側縁に生じる歯の圧痕)

 頬粘膜圧痕(頬の筋肉が長時間収縮し、頬が歯に押し付けられることにより生じる頬粘膜に 認め

 られる線状の圧痕)がないか

・くいしばりや歯ぎしりはないか(咀嚼の約5倍大きくなる)

③ 非う蝕性歯頚部歯質欠損(NCCL: Noncarious Cervical Lesion)

 セメント‐エナメル境付近に認められる病的な歯質の欠損

④ 歯周治療による歯周ポケットの改善

 歯周基本治療により歯周ポケットが改善すると、歯肉の退縮も認められることがある

→・SRPの前にプラークコントロールをしっかりと行い歯肉の炎症をある程度消退させる

 ・歯肉や歯頚部のセメント質を必要以上に傷つけないためにも、SRPの前に 探針などを用いて歯石を

  探知したうえで、低侵襲なSRPを心がける

〈歯磨剤・抑制剤で象牙質知覚過敏症に対応する〉

① 鈍磨…感覚を鈍らせる

② 凝固…露出した象牙質表面に刺激が加わり、象牙細管内液が外向き移動するのを 凝固により防ぐ

③ 蓋…細管口を閉鎖する ※当院にあるMSコートはこれに該当する

〈感想〉

メインテナンス時のTBIでバス法をお勧めしてはいるが、Hysを訴えたり、ブラッシング圧が強かったり

する患者さんには別の方法のTBIを考える必要があると分かった。セルフケアの方法だけではなく、磨き

方や握り方も定期的に確認し、患者さん自身の手癖が付く前に修正していきたい。また、口腔内観察で

は歯だけを見るのではなく、頬粘膜や舌の状態もしっかり確認していきたい。      

                           衛生士 小鐵

  2023/11/22   ふくだ歯科

「歯周病の危険因子とメインナンス」について、勉強会で発表して

歯科衛生士に求められることは

① 歯周病を発症させない(一次予防)

② 早期発見・早期治療(二次予防) の2つ。

歯周病が発症しないように、歯肉が健康な若い時からメインテナンスを継続し、歯周病の発症を

患者さんの人生を通して予防することが理想である。

そのためには歯周病の危険因子についても知っておく必要がある。

○3つの危険因子 歯周病の原因は病因・宿主・環境がある。歯周病の発症・進行に関係があると考え

られる因子を危険因子(リスクファクター)と呼ぶ。危険因子があるから必ず歯周病になるわけでは

ない。Van Dyke&Sheileshは「危険因子に暴露することで歯周炎が起こる可能性が増加する。リスク

ファクターは原因の1つではあるが、それがあったとしても歯周炎が必ず発症するとは限らない。」と

定義している。

1. 病原性の高い歯周病菌

  病原性の高い歯周病菌が患者さんのバイオフィルムにいるかいないかはとても重要なことである。

  レッドコンプレックスの3種類の細菌は最も歯周病原性が高く歯周病の大きな危険因子である。

  レッドコンプレックス感染による歯周炎なのか、多量のバイオフィルム蓄積による不潔性歯周炎

  なのかを区別しながら患者さんの歯周治療方針を決めていくことも必要。

2. 宿主感受性

  歯周病は歯周病菌による感染症ですが、同じように感染を受けても発症する人・しない人、症状が

  重い人・軽い人がいる。免疫や歯周組織の抵抗性に影響を与える生活習慣も重要である。

  ストレスや不健康な生活は免疫力や抵抗力を弱め、歯周病への宿主感受性を高めてしまう。

3. 生活習慣に潜む危険因子

  毎日の生活習慣は宿主感受性に大きな影響を与える。代表的なものとして、肥満・喫煙・飲酒・

  ストレスがある。口腔衛生指導に加え、説得力のある生活習慣指導の力を身に付けることも大切

  である。

○メインテナンス  

 歯周病は発病しても自覚症状に乏しい病気で、歯周治療によって症状が改善しても、いつの間にか

 再発が起こる可能性がとても高い病気である。歯周病の症状を再発させず、健康な状態を維持して

 いくためには生涯を通した定期的なメインテナンスが不可欠である。

 ・目的

  歯周病の症状が治まっていても、歯肉退縮や骨吸収によってプラークコントロールが難しくなって

  しまった個所は残っているし、出血箇所や、浅くならないポケットなど、再発してもおかしくない

  部分がある場合もある。歯周病菌はそんな部位にバイオフィルムを蓄積させて成熟させようとして

  いる。なのでバイオフィルムが成熟する前に取り除くことが大事である。

  患者さんのセルフケアの状態を確認することも大きな目的である。症状がないことへの安心から

  口腔清掃へのモチベーションが下がってないか、加齢や疾患によってブラッシング技術や意欲が

  低下していないかを確認する。そして患者さんの生活環境や生活習慣の変化を把握して、歯周状態

  によくない因子の除去に努めることが大事である。

○感想  

歯周病のリスクファクターについて改めて学ぶことができた。口腔清掃指導はもちろん それぞれの患者

さんにあった指導を心掛けることが大事だと思うけど、毎日の生活習慣 も歯周病の原因になってしまう

恐れがあるので、患者さんの情報をしっかり把握し、生活習慣なども含めて指導していくことが大切だ

と思った。そのためにも、技術と適切な 指導ができるような知識や適応力を身に付けられるように努力

していきたいと思った。

                            衛生士 檜垣

  2023/10/29   ふくだ歯科
タグ:歯周病

令和4年度歯科医療安全研修会に参加して

-医療過誤などのトラブルについて-

医療過誤などによるトラブルは交通事故の3倍起こっている。

では、どのように対応していくべきか。

●クレームの本質

大事なことは患者の本当の『インタレスト:話し手や聴き手の「心の中に隠された本当の欲求」』を

探ること。

例:患者:「入れ歯が合わない」→歯科:ずっと入れ歯調整⇒×  

    患者:「入れ歯が合わない」→歯科:(なんでこの患者さんはずっと入れ歯が合わない?)

                  →患者:(嫁に無駄遣いと言われたから、返金して欲しい)⇒本当のインタレスト

〇事故の際に患者さんは何を考えるか

・第1段階:健康被害による心理的ダメージから回復したい

・第2段階:なぜこうなったのか、真相を知りたい(誠意のある説明)

   →患者さんはどうして私だけ?と考えることが多い

・第3段階:謝罪をして欲しい

   →謝罪をしても裁判で弱くなることはなく、落ち度があったことについてはきちんと謝る。

      また、何について謝るのか明確化する。一番多い原因は説明不足である。

  ★本当に謝ることがないかちゃんと考えることが大切である。

・第4段階:2度と同じ被害がないように、再発防止をして欲しい

    →だから患者さんはクレームを言う。

・第5段階:あの歯科医師を懲らしめたい

    →1~4でしっかり対応し、満足できないと第5段階に進んで、お金が絡んでくるようになる。

〇苦情に対する対応

苦情の原因は、医療事故そのものが原因ではなく、その後の説明のまずさが原因である。 時間無制限できちんと説明することが大切。これをしないと余計に膨大な時間や労力が起こる。

〇怒りに対する対応

共感がもっとも効果的である。怒りという強力な感情は伝染するので、こちら側がもたないように気を

つける。正当化は不要で、受容のみで良い。肯定的に理解する。 共感とは、答えをいうのではなく、

オウム返しで理解することである。

〇苦情対応する際に

言語コミュニケーション25% 非言語コミュニケーション75% で判断されると言われている

→人は見た目で評価する!なので…

服装/あいづち/悪いクセに気をつける。具体的には、

・姿勢:患者に不快感を与えない姿勢/態度であったか

・アイコンタクト:患者さんと適度にアイコンタクトをとる。カルテばかりみてないか。

・うなずき:反応をして、安心感を与える。気持ちの変化に合わせてうなずきを変える

                     →共感に繋がる ・あいづち:適切に自然に行う

・沈黙:患者さんに決断してもらうときに必要になるので、穏やかな表情で次の言葉を待つ。

              最低10秒は待つ。

●エラーの段階

1.ミステイク:意図的(故意)に誤った行為をした結果エラーのこと。

※故意とは事故を意図的に発生させたではなく、誤った行為を意図的に行った場合のこと。

例:治療部位をカルテで確認しなかった。

2ラプス:短期的な記憶違いでの行為段階でエラーのこと。

例:痛み止めだすと言ったが、処方箋を書き忘れた。

3スリップ:目的は正しいが、行為段階で誤ったエラーのこと。

⇒どの段階でのエラーかを見分けることが大事である。

●感想

処置前にきちんと説明をして、医療過誤などによるトラブルは起こさないのが一番であるが、医療関係

者も人なので、時にはトラブルを起こしてしまう。では、起こしてしまった時にはどう対応するべきか

を学ぶことができた。人対人の仕事なので、理系な考えで説明をするのではなく共感をして、患者さん

に寄り添って対応していくことが大事だと感じた。 普段から、患者さんの本当のインタレストを探り

ながら、これからも接していきたいと思った。

                         衛生士 福田

  2023/09/24   ふくだ歯科

「副作用別にわかる服用薬ガイド」について、勉強会で発表して

1. 出血しやすい薬

 抗血小板薬 血小板を主体とした血栓(血小板血栓)の発症を予防するもの で、動脈血栓症

      (脳梗塞、心筋梗塞、抹消動脈血栓症など)の 治療や予防に使用される

      ※この疾患の患者さんに注意   心筋梗塞、狭心症、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患など

 抗凝固薬 凝固因子を主体とした(フィブリン血栓)の発症を予防するもの で、静脈血栓症

      (深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症など)の治療や 予防、心房細動による脳卒中や

      全身性塞栓症の予防に使用され る  

     ※この疾患の患者さんに注意   心房細動、心原性脳塞栓症、機械弁置換後、

                     深部静脈血栓症など    

                  ※患者さんがこの薬を飲んでいたら・・・      

                      処方医に原疾患の状態、抗血栓薬のコントロール状況について問い合 わせる

                      抜歯時だけでなく口腔ケアの際にも歯肉や口腔粘膜から持続的な出血 が観察されたら

                      抗血栓薬を服用していないか確認する

2. 口内炎・歯肉炎をきたしやすい薬

 抗がん剤、抗リウマチ薬、バイオ製剤、免疫抑制剤などで代表薬は抗がん剤

 薬が原因で起こる口内炎を「薬物性口内炎」と呼び、口腔粘膜や口唇のただ れの他、38度以上の

    発熱、結膜充血、咽頭痛、体幹四肢の紅斑が主要徴候 としてみられる  

    ※この疾患の患者さんに注意

   悪性腫瘍、関節リウマチをはじめとする自己免疫疾患、高血圧など    

    ※患者さんがこの薬を飲んでいたら・・・   

     口腔内の処置としては、粘膜が脆弱なため、最初は歯のみのプラーク除 去を目的に清掃を行う

          粘膜清掃は洗浄のみにとどめ、積極的な擦過は行わず、二次感染の予防 を心がける      

3. 口腔乾燥をきたしやすい薬

 日本医薬品集に掲載されている薬剤全体の約四分の一である700種類以上 に口渇、口内乾燥、 唾液

    分泌減少の副作用、また、高血糖、脱水といった結 果的に口腔乾燥症状を引き起こす可能性のある

    副作用がみられる

    口腔乾燥の副作用のする薬を複数服用している場合に口腔乾燥症が発現しやすいことが知られている

  「抗コリン作用のある薬剤」と「利尿作用のあ る薬剤」など多くの薬剤が抗コリン作用を持ち合わせ

    ており、副交感神経 を抑制するため、便秘、口渇、眠気、尿閉などさまざまな副作用がある    

    ※この疾患の患者さんに注意   

  花粉症、パーキンソン病、喘息、統合失調症、過活動膀胱、悪性腫瘍など    

    ※患者さんがこの薬を飲んでいたら・・・   

  唾液の分泌量を増やすよう唾液腺マッサージを指導   

  保湿剤の使用など 対症療法を行う   

  粘膜刺激の原因となっている歯や義歯がないかしっかりと確認   

  口腔清掃の現状についての把握   

  食事の状況を聴取する(口腔乾燥は味覚異常や摂食嚥下障害の誘因となっていることもあるため)

【感想】   

薬を服用することは副作用のリスクも知って対応しなければならないということがわかります。

患者さんへの聞き取りや、お薬手帳の確認など丁寧におこなわなければならないと思いました。       

                                                                                             衛生士 赤木

  2023/08/30   ふくだ歯科
タグ:服用薬

「オーダーメイドの口腔衛生指導」のセミナーに参加して

口腔衛生指導とは

プラークを除去することの意義・方法を患者に示し、口腔清掃の指導を行うこと。プラークの染色や

プラークコントロールレコードを利用して、プラークの存在とその病原性を患者に説明することで、

モチベーションを高めるとともに個々の患者に適したブラッシング法、歯間部清掃補助用具(デンタル

フロス、歯間ブラシ)などの指導を行うこと。 個々の患者さんに適した説明方法、ブラッシング指導、

歯ブラシの選択、補助的道具の選択を行うことが、オーダーメイドの口腔衛生指導と言える。

口腔衛生指導の鍵

→どのような相手にどのように伝えるか

1.患者さんはどのような方?

患者さんはどんな人?仕事は?いつ来れるの?治療に協力的?など患者さんに興味を持つことが大事

患者さんから得られること

一般的な確認事項…問診票から得られる情報(主訴・既往歴・服薬の確認・職業等)

→患者さんの口腔内を見る前に確認

職業…職種、就労時間(夜勤の有無)、就労内容→OHIの参考になる

生活背景と生活習慣…家族構成、子育て中、介護の有無、生活習慣、食生活、喫煙の有無

→生活背景や生活習慣を聞き個々に応じたOHIを行うヒントになる

患者さんがどのような相手か理解できれば説明方法が変わってくる

例えば…説明を聞きたい、説明と聞くより読んで理解したい、説明を聞くのが苦手 等

男性…結論を早く聞きたい 女性は過程を詳しく話したい、聞きたい

※どのような相手なのかを理解して説明方法を変えないと、どれだけ熱意を持って説明しても通じない

 ことも…

2.相手にわかりやすい伝え方

相手にわかりやすい言葉を選ぶこと=言葉のキャッチボールが大事

伝えると伝えたつもりは違う

・専門用語を使っていないか?

・一方的に説明していないか?

・相手の反応を確認をしているか?

・自分の頭の中の言葉をそのまま話していないか?

・相手に無理難題のお願いをしていないか?

これらに気をつけながらコミュニケーションを取ることが大事 

 歯科衛生士として嬉しいこと

・口腔衛生指導により患者さんの口腔内がよくなること、よい状態が続くこと

・口腔内を通して健康観も高まり、患者さんの行動の変容がみられること

口腔内がよくなるためには患者さんのセルフケア、患者さんによる歯肉縁上のプラークコントロールが

大事 、こちら側のSRP、PMTCなども必要なこともあるが毎日のセルフケアに勝るものはない

→確実にプラークが落ちる磨き方を指導する必要がある

確実にプラークが落ちる磨き方=毛先磨き

→歯ブラシの毛先を磨きたい歯面に直角に当て、適切な力とストロークで毛先が動き、プラークが

 落ちる

 ナイロン毛の毛先の弾力でプラークをかきとること

 毛先磨きに適しているブラシ

 →毛先まで3列植毛+ラウンド毛+密植毛 

  ※こちらの歯科ではプロスペックの歯ブラシを紹介されていました

  ※毛先磨きの基本的なこと…毛先を磨きたい歯面に直角に当てて動かす  

  これをどのように伝えるかが大事

伝え方のポイント

Q.指導範囲は狭い方がいいのか?

A.狭いと患者さんの負担も少ないため集中して磨ける、結果として歯肉の変化が起きやすい

Q.染色の目的は?

A.プラークの付着状況が一目瞭然、指導時に患者さんもねらいやすい

Q.写真は必要か?

A.患者さんにお見せするのはとても大事。こちら側の指導の振り返りのためや、経過を追う意味でも

 必要不可欠

Q.見えにくい部位を指導するときは?

A.歯面に毛先が当たっているときの声かけや、プラークが落ちているときの声かけが大事

   見えにくい部位は感覚が大事なので、繰り返し確認する

   落ちた様子をすぐ画像でお見せする

Q.波及効果とは?

A.指導した磨き方を患者さん自ら他の部位にも応用して改善していること

  1ヶ所を集中して練習することで指導効率も上がる

Q.患者さんのきちんと磨けるようになりたいという要求に応えるには

A.わずかなプラークでも確実に落とせることが出来るようなテクニックと歯ブラシが必要になる  

Q.音波ブラシでの指導は?

A.患者さんが磨きたい歯ブラシでプラークがきちんと落ちるか確認する

  音波ブラシが指導時になくても、手用歯ブラシで練習することで音波ブラシの使いこなしも上手に

     なる

〈感想〉

今回のセミナーでは、他の歯科の衛生士さんがどのような口腔衛生指導をしているのか詳しく知れて

勉強になりました。普段はバス法メインですが、炎症が少なく全体的にプラークが多いような患者さん

には毛先磨きも効果的だと思うので患者さんに応じて使い分けてTBIできるようにしっかりポイントを

押さえておこうと思いました。 伝え方に関しても、あまり関心がなさそうな方には無理に多く説明

しないようにしていましたが、もしかすると説明の仕方によっては聞き入れてもらいやすい方法もある

かもしれないと感じたので取り入れていきたいと思います。

                            衛生士 星島

  2023/08/11   ふくだ歯科

「令和のカリオロジーアップデート講座」を読んで

う蝕原因菌に関するQ&A

Q1 う蝕原因菌はミュータンス連鎖球菌だけ?  

→× う蝕原因菌の種類は非常に多い

 昭和の常識 う蝕原因菌はミュータンス連鎖球菌とラクトバチラスだけとされていました。

 令和の常識 ミュータンス連鎖球菌とラクトバチラスが最強のう蝕原因菌だが、この2つの菌種

       ほど強い酸を出さない菌種もう蝕原因菌のリストに加えられました。

Q2  歯肉縁上と歯肉縁下のプラーク細菌の種類は同じ?

→× 歯肉縁上にはう蝕原因菌が、歯肉縁下には歯周病原性菌が住む。

 昭和の常識  プラーク細菌叢の解析は細菌培養法でしたが、実際には培養できない細菌種の方が

        はるかに多い状況でした。特に歯肉縁下には空気中では培養できない嫌気性菌 (酸素

                          を嫌う菌) が多く生息していたため、歯肉縁上と縁下の細菌叢の違いについてよく

                          わかっていませんでした。

   令和の常識 プラーク細菌のDNA (デオキシリボ核酸)やRNA (リボ核酸)の塩基配列をすばやく判別

                        する画期的な細菌検査法の登場により、プラーク細菌叢の解析が一気に進みました。

                        その結果、歯肉縁上と縁下では性質の異なる細菌種が生息していることがわかり

                        ました。

Q3 う蝕の原因は砂糖だけ?

→× う蝕の原因は砂糖だけでなく発酵性糖質。 

 昭和の常識 う蝕の原因は砂糖と考えられていました。  

 令和の常識 う蝕原因菌は発酵性糖質(ショ糖、ブドウ糖、果糖、調理でんぷん)を摂取して酸を

                         産生します。

Q4 う蝕原因菌の母子伝播は絶対に避けるべき?  

→× それほど神経質にならなくてもよい。

   昭和の常識 う蝕原因菌は感染の窓と呼ばれる生後19か月~31か月の期間に両親から伝播すると

                         言われていました。  

   令和の常識 う蝕を発症させるすべての細菌種の伝播を防ぐのは難しい。食事指導やフッ化物の

                         使用、適切なブラッシングで発症が予防できるため、それほど神経質になる必要はない

                         という考えが広がっています。

Q5 口腔細菌叢はつねに一定?

→× 種は変わらないが、菌量が増える細菌種と減る細菌種がいる。

 昭和の常識 口腔細菌叢は長い時間の流れの中で絶えずゆっくりと変化し続けると考えられていま

                         した。

 令和の常識 菌量の比は頻繫に変化します。

Q6 落としやすいプラークと落としにくいプラークに違いはある?  

→〇 プラークの粘着性はう蝕原性に関係あり。

 昭和の常識 すぐ落ちるプラークとなかなか落ちないプラークの違いまでは分かりませんでした。

 令和の常識 バイオフィルムのマトリックス(基質)として、微生物を包み込み、歯面に固く付着

       し、酸を内包します。なかなか落ちないプラークは歯面に強固に付着できるマトリック

       スで出来ているという違いがあることが分かりました。

Q7 ブラッシングは食後30分後が歯に優しい?  

→× ブラッシングは食後すぐがいい。  

 昭和の常識 ブラッシングは1日3回、食後3分以内に、3分間磨くでした。  

 令和の常識 平成では、食後すぐに歯を磨くと食事中に表層脱灰されたエナメル質を傷付けるため、

       唾液による再石灰化で表層脱灰が修復される時間を置いた方がいいとされてましたが、

       これは酸蝕症に関する話でした。う蝕予防の目的は、酸を産生する細菌のエサとなる

       発酵性糖質を取り除いて、酸を出させないようにすることのためブラッシングはすぐに

       するほうがいいとされています。

Q8 ブラッシング後に口はすすがなくてもいい?  

→〇 フッ化物入りの歯磨剤を使った後はすすがない。  

 昭和の常識 よくうがいして歯磨剤は口腔内に残さないのが当たり前でした。  

 令和の常識 日本歯科医師会は歯磨剤に含まれたフッ化物の効果を最大限に発揮させるため、少量の

       水で1回だけのすすぎをすすめています。

感想

学生時代に学んだことも医療は日々進化していくため、古い情報を患者さんに誤って伝えないよう更新

していく情報をこれからも取り入れ伝えていこうと思いました。      

                        衛生士 岡崎

  2023/07/17   ふくだ歯科

「頑張っている歯科衛生士への応援メッセージ」に参加して

1.奥山洋実 歯科衛生士

(歯科衛生士としての目標)

・患者さんに情報を伝えて歯の健康に目覚めてもらい、行動変容を促す

(奥山さんの過去)

・1986年の歯科医院→先生が削って、衛生士が埋める

↳・歯周病は歯がグラグラになってから来院(抜歯になることも多い)

  ・全てにおいて痛みなどの症状が出てから来院

  ・助手もスケーリングをしていた→歯科衛生士は先生の“お手伝いさん”

・患者さんによくなって欲しい気持ちが先走り、意見を押し付けてしまう…

 ↳逆に不快感を与えてしまい、治療中断になる事も経験した

(患者さんとの信頼関係の築き方)

・初診を任せてもらう、担当歯科衛生士になるには…?

↳・生活背景、家族背景、職業や役職を会話の中から聞き取り、患者さんへの心に響く 情報提供をして

     健康意識を上げる  

  ・一人一人を啓蒙者に「なるほど!他の人にも教えてあげたい」と思う指導を心がける

 ※啓蒙…知らない人を教え導く

 ・歯科衛生士として結果を示す

  ①臨床の成果

   症例発表;・資料の規格性

        ・患者さんへの健康意識を高める

        ・歯周基本治療の施術力

  ②経営的成果

   アポイント管理;・キャンセル率・継続率

(奥山さんが思う歯科衛生士の課題)

自分の指導が正しければ、患者さんがもっと美味しく食事ができて、健康で生き生きとした毎日を

送っていたかもしれない。近年、国民は歯の不具合が無くても、定期的に歯科医院を通うようになって

きた。その分、多くの国民は生涯、自分の歯で食事をしたいと望んでいるのではないか。歯を守るべき

私たち歯科衛生士は、その国民の切なる願いに応えられているだろうか。メインテナンスは快適になる

ためのお掃除だけではない。保険のSPT(歯周病安定期治療)をこなすことでもない。どうか歯の健康

を守る歯科衛生士としての予防歯科医療をするべきだ。一人一人が結果を出して、歯の健康を守ると

いう本来の使命を全うし、歯科衛生士の価値を上げていく必要がある。

2.安藤千晃 歯科衛生士

(安藤さんが考える歯科衛生士が抱える責任)

・担当の責任性

↳・患者の未来が変わる

・100点の答えを出さないといけない

↳結果ばかりをみて、患者の意見に応えることができない

・伝わる話し方

↳焦って言葉に詰まり、本来伝えたいことが伝えられない

(OHIにより行動変容できた例)

・生涯、歯科医院に関わってもらうベースを作る

↳一回一回の来院を大切にする

・気持ちの汲み取りを上達させる

↳知識が増え、リスクをより深く考察できる

 ↳患者さんの口腔清掃に対する意識の変化

・SRPが上達、自信がつく→患者さんの信頼を得ることに繋がる

(若い人の世代に危機感を持ってもらうためには)

・これから年を重ねていく上でどのような人になりたいか?

・どう年を重ねていきたいか?

(例)「自分の歯を失うことを想像できますか?」

   ↳今が、早い時から健康を作っていく、大切な時期であることを気づかせる

(安藤さんが歯科衛生士になって身についたスキル)

★時には人に頼る

★患者さんの本当の感情に気づいて受け止める

★人間性を磨く→心が上達すると、自然と技術もついてくる

3.感想

歯科医院によっては自分が担当する施術や対応が違うのを利用し、積極的に他の医院の方針と自分が

思う歯科衛生士像を照らし合わせて頑張っている奥山さんの姿に感心しました。

自分ができることや技術を磨き、TBIのバリエーションを増やしていきたいと思いました。

目の前のことをこなすだけではなく、患者さんをどのように改善させていきたいのか、しっかり寄り

添った歯科予防をしていきたいです。                                   

                       歯科衛生士 小鐵 

  2023/07/12   ふくだ歯科