「オーダーメイドの口腔衛生指導」のセミナーに参加して
口腔衛生指導とは
プラークを除去することの意義・方法を患者に示し、口腔清掃の指導を行うこと。プラークの染色や
プラークコントロールレコードを利用して、プラークの存在とその病原性を患者に説明することで、
モチベーションを高めるとともに個々の患者に適したブラッシング法、歯間部清掃補助用具(デンタル
フロス、歯間ブラシ)などの指導を行うこと。 個々の患者さんに適した説明方法、ブラッシング指導、
歯ブラシの選択、補助的道具の選択を行うことが、オーダーメイドの口腔衛生指導と言える。
口腔衛生指導の鍵
→どのような相手にどのように伝えるか
1.患者さんはどのような方?
患者さんはどんな人?仕事は?いつ来れるの?治療に協力的?など患者さんに興味を持つことが大事
患者さんから得られること
一般的な確認事項…問診票から得られる情報(主訴・既往歴・服薬の確認・職業等)
→患者さんの口腔内を見る前に確認
職業…職種、就労時間(夜勤の有無)、就労内容→OHIの参考になる
生活背景と生活習慣…家族構成、子育て中、介護の有無、生活習慣、食生活、喫煙の有無
→生活背景や生活習慣を聞き個々に応じたOHIを行うヒントになる
患者さんがどのような相手か理解できれば説明方法が変わってくる
例えば…説明を聞きたい、説明と聞くより読んで理解したい、説明を聞くのが苦手 等
男性…結論を早く聞きたい 女性は過程を詳しく話したい、聞きたい
※どのような相手なのかを理解して説明方法を変えないと、どれだけ熱意を持って説明しても通じない
ことも…
2.相手にわかりやすい伝え方
相手にわかりやすい言葉を選ぶこと=言葉のキャッチボールが大事
伝えると伝えたつもりは違う
・専門用語を使っていないか?
・一方的に説明していないか?
・相手の反応を確認をしているか?
・自分の頭の中の言葉をそのまま話していないか?
・相手に無理難題のお願いをしていないか?
これらに気をつけながらコミュニケーションを取ることが大事
歯科衛生士として嬉しいこと
・口腔衛生指導により患者さんの口腔内がよくなること、よい状態が続くこと
・口腔内を通して健康観も高まり、患者さんの行動の変容がみられること
口腔内がよくなるためには患者さんのセルフケア、患者さんによる歯肉縁上のプラークコントロールが
大事 、こちら側のSRP、PMTCなども必要なこともあるが毎日のセルフケアに勝るものはない
→確実にプラークが落ちる磨き方を指導する必要がある
確実にプラークが落ちる磨き方=毛先磨き
→歯ブラシの毛先を磨きたい歯面に直角に当て、適切な力とストロークで毛先が動き、プラークが
落ちる
ナイロン毛の毛先の弾力でプラークをかきとること
毛先磨きに適しているブラシ
→毛先まで3列植毛+ラウンド毛+密植毛
※こちらの歯科ではプロスペックの歯ブラシを紹介されていました
※毛先磨きの基本的なこと…毛先を磨きたい歯面に直角に当てて動かす
これをどのように伝えるかが大事
伝え方のポイント
Q.指導範囲は狭い方がいいのか?
A.狭いと患者さんの負担も少ないため集中して磨ける、結果として歯肉の変化が起きやすい
Q.染色の目的は?
A.プラークの付着状況が一目瞭然、指導時に患者さんもねらいやすい
Q.写真は必要か?
A.患者さんにお見せするのはとても大事。こちら側の指導の振り返りのためや、経過を追う意味でも
必要不可欠
Q.見えにくい部位を指導するときは?
A.歯面に毛先が当たっているときの声かけや、プラークが落ちているときの声かけが大事
見えにくい部位は感覚が大事なので、繰り返し確認する
落ちた様子をすぐ画像でお見せする
Q.波及効果とは?
A.指導した磨き方を患者さん自ら他の部位にも応用して改善していること
1ヶ所を集中して練習することで指導効率も上がる
Q.患者さんのきちんと磨けるようになりたいという要求に応えるには
A.わずかなプラークでも確実に落とせることが出来るようなテクニックと歯ブラシが必要になる
Q.音波ブラシでの指導は?
A.患者さんが磨きたい歯ブラシでプラークがきちんと落ちるか確認する
音波ブラシが指導時になくても、手用歯ブラシで練習することで音波ブラシの使いこなしも上手に
なる
〈感想〉
今回のセミナーでは、他の歯科の衛生士さんがどのような口腔衛生指導をしているのか詳しく知れて
勉強になりました。普段はバス法メインですが、炎症が少なく全体的にプラークが多いような患者さん
には毛先磨きも効果的だと思うので患者さんに応じて使い分けてTBIできるようにしっかりポイントを
押さえておこうと思いました。 伝え方に関しても、あまり関心がなさそうな方には無理に多く説明
しないようにしていましたが、もしかすると説明の仕方によっては聞き入れてもらいやすい方法もある
かもしれないと感じたので取り入れていきたいと思います。
衛生士 星島