「副作用別にわかる服用薬ガイド」について、勉強会で発表して
1. 出血しやすい薬
抗血小板薬 血小板を主体とした血栓(血小板血栓)の発症を予防するもの で、動脈血栓症
(脳梗塞、心筋梗塞、抹消動脈血栓症など)の 治療や予防に使用される
※この疾患の患者さんに注意 心筋梗塞、狭心症、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患など
抗凝固薬 凝固因子を主体とした(フィブリン血栓)の発症を予防するもの で、静脈血栓症
(深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症など)の治療や 予防、心房細動による脳卒中や
全身性塞栓症の予防に使用され る
※この疾患の患者さんに注意 心房細動、心原性脳塞栓症、機械弁置換後、
深部静脈血栓症など
※患者さんがこの薬を飲んでいたら・・・
処方医に原疾患の状態、抗血栓薬のコントロール状況について問い合 わせる
抜歯時だけでなく口腔ケアの際にも歯肉や口腔粘膜から持続的な出血 が観察されたら
抗血栓薬を服用していないか確認する
2. 口内炎・歯肉炎をきたしやすい薬
抗がん剤、抗リウマチ薬、バイオ製剤、免疫抑制剤などで代表薬は抗がん剤
薬が原因で起こる口内炎を「薬物性口内炎」と呼び、口腔粘膜や口唇のただ れの他、38度以上の
発熱、結膜充血、咽頭痛、体幹四肢の紅斑が主要徴候 としてみられる
※この疾患の患者さんに注意
悪性腫瘍、関節リウマチをはじめとする自己免疫疾患、高血圧など
※患者さんがこの薬を飲んでいたら・・・
口腔内の処置としては、粘膜が脆弱なため、最初は歯のみのプラーク除 去を目的に清掃を行う
粘膜清掃は洗浄のみにとどめ、積極的な擦過は行わず、二次感染の予防 を心がける
3. 口腔乾燥をきたしやすい薬
日本医薬品集に掲載されている薬剤全体の約四分の一である700種類以上 に口渇、口内乾燥、 唾液
分泌減少の副作用、また、高血糖、脱水といった結 果的に口腔乾燥症状を引き起こす可能性のある
副作用がみられる
口腔乾燥の副作用のする薬を複数服用している場合に口腔乾燥症が発現しやすいことが知られている
「抗コリン作用のある薬剤」と「利尿作用のあ る薬剤」など多くの薬剤が抗コリン作用を持ち合わせ
ており、副交感神経 を抑制するため、便秘、口渇、眠気、尿閉などさまざまな副作用がある
※この疾患の患者さんに注意
花粉症、パーキンソン病、喘息、統合失調症、過活動膀胱、悪性腫瘍など
※患者さんがこの薬を飲んでいたら・・・
唾液の分泌量を増やすよう唾液腺マッサージを指導
保湿剤の使用など 対症療法を行う
粘膜刺激の原因となっている歯や義歯がないかしっかりと確認
口腔清掃の現状についての把握
食事の状況を聴取する(口腔乾燥は味覚異常や摂食嚥下障害の誘因となっていることもあるため)
【感想】
薬を服用することは副作用のリスクも知って対応しなければならないということがわかります。
患者さんへの聞き取りや、お薬手帳の確認など丁寧におこなわなければならないと思いました。
衛生士 赤木