令和4年度歯科医療安全研修会に参加して
-医療過誤などのトラブルについて-
医療過誤などによるトラブルは交通事故の3倍起こっている。
では、どのように対応していくべきか。
●クレームの本質
大事なことは患者の本当の『インタレスト:話し手や聴き手の「心の中に隠された本当の欲求」』を
探ること。
例:患者:「入れ歯が合わない」→歯科:ずっと入れ歯調整⇒×
患者:「入れ歯が合わない」→歯科:(なんでこの患者さんはずっと入れ歯が合わない?)
→患者:(嫁に無駄遣いと言われたから、返金して欲しい)⇒本当のインタレスト
〇事故の際に患者さんは何を考えるか
・第1段階:健康被害による心理的ダメージから回復したい
・第2段階:なぜこうなったのか、真相を知りたい(誠意のある説明)
→患者さんはどうして私だけ?と考えることが多い
・第3段階:謝罪をして欲しい
→謝罪をしても裁判で弱くなることはなく、落ち度があったことについてはきちんと謝る。
また、何について謝るのか明確化する。一番多い原因は説明不足である。
★本当に謝ることがないかちゃんと考えることが大切である。
・第4段階:2度と同じ被害がないように、再発防止をして欲しい
→だから患者さんはクレームを言う。
・第5段階:あの歯科医師を懲らしめたい
→1~4でしっかり対応し、満足できないと第5段階に進んで、お金が絡んでくるようになる。
〇苦情に対する対応
苦情の原因は、医療事故そのものが原因ではなく、その後の説明のまずさが原因である。 時間無制限できちんと説明することが大切。これをしないと余計に膨大な時間や労力が起こる。
〇怒りに対する対応
共感がもっとも効果的である。怒りという強力な感情は伝染するので、こちら側がもたないように気を
つける。正当化は不要で、受容のみで良い。肯定的に理解する。 共感とは、答えをいうのではなく、
オウム返しで理解することである。
〇苦情対応する際に
言語コミュニケーション25% 非言語コミュニケーション75% で判断されると言われている
→人は見た目で評価する!なので…
服装/あいづち/悪いクセに気をつける。具体的には、
・姿勢:患者に不快感を与えない姿勢/態度であったか
・アイコンタクト:患者さんと適度にアイコンタクトをとる。カルテばかりみてないか。
・うなずき:反応をして、安心感を与える。気持ちの変化に合わせてうなずきを変える
→共感に繋がる ・あいづち:適切に自然に行う
・沈黙:患者さんに決断してもらうときに必要になるので、穏やかな表情で次の言葉を待つ。
最低10秒は待つ。
●エラーの段階
1.ミステイク:意図的(故意)に誤った行為をした結果エラーのこと。
※故意とは事故を意図的に発生させたではなく、誤った行為を意図的に行った場合のこと。
例:治療部位をカルテで確認しなかった。
2ラプス:短期的な記憶違いでの行為段階でエラーのこと。
例:痛み止めだすと言ったが、処方箋を書き忘れた。
3スリップ:目的は正しいが、行為段階で誤ったエラーのこと。
⇒どの段階でのエラーかを見分けることが大事である。
●感想
処置前にきちんと説明をして、医療過誤などによるトラブルは起こさないのが一番であるが、医療関係
者も人なので、時にはトラブルを起こしてしまう。では、起こしてしまった時にはどう対応するべきか
を学ぶことができた。人対人の仕事なので、理系な考えで説明をするのではなく共感をして、患者さん
に寄り添って対応していくことが大事だと感じた。 普段から、患者さんの本当のインタレストを探り
ながら、これからも接していきたいと思った。
衛生士 福田