スタッフレポート

「思春期の痩身傾向」について、勉強会で発表して

 

【過剰なまでの痩身願望】

 

現代の若い女性の多くに痩身願望がみられることが、多数の研究で明らか

になっている。

 

   女子高生を対象とした調査61.6%の女子高生の、

 

    理想の身長…2.5㎝高い

 

→算出すると、BMI18.5未満(痩せ型)

 

    理想の体重…4.6㎏低い

 

普通体型の30%以上が、自分が肥満体型だと感じている。

 

また、痩せ型であるにもかかわらず自分を肥満だと感じている学生

 

が少数ではあるが存在する。

 

 

【口腔に与える影響】

 

  ダイエットは食事の量を減らすことや、回数を減らすことで実施されること

 が多い。

 

→咀嚼の回数が減る

 

◆口腔周囲筋の運動量の減少…

 

◆唾液の分泌の減少    … が起こる

 

◆脳への咀嚼刺激の減少  …

 

  

 

☆顎骨や咀嚼の発育が抑制される

 

     思春期は骨格や筋肉の発達が著しい時期である。咀嚼による適度な運動

   刺激が、顎骨(歯槽骨)や咀嚼に関わる筋肉の発育を促す。このような

   顎骨や咀嚼筋の発育は、全身の姿勢の保持や運動能力にも関係してくる

   重要なものである。

 

 

 

☆唾液分泌減少による口腔疾患の発生・進行

 

咀嚼回数の減少による唾液分泌の減少

 

     ↓

 

・口腔内の自浄性の低下→う蝕・歯肉炎のリスクが高まる

 

・食渣の口腔内停滞→口臭が生じやすくなる

 

 

 

    朝食の欠食は、特に口腔内の環境の悪化を招く可能性がある。朝食を

 

    食べないと唾液の分泌がほとんどなくなるため口腔内で繁殖した口腔

 

 

    細菌がそのまま日中まで口腔内で保たれることになり、歯肉炎の

 

    発生・進行などに関与する可能性が高くなる。

 

 

 

☆脳への咀嚼刺激の減少による食欲不振など

 

咀嚼刺激による脳の活性化の機会を減少させる

 

         = 味覚をはじめとした五感からの刺激が減少することにより、

        そのような刺激を受け止めて食欲へと繋げるシステムが

        うまく働かなくなる。

 

→ 食欲不振

 

五感を使った味わいのある食事が摂れなくなる

 

 

 

☆酸蝕症の発症

 

無理に嘔吐するというダイエット方法

 

        この場合、一度胃まで送られた食べ物を吐くと、食べ物と一緒に

     胃液も出てくる。胃液は酸性のため、頻繁な嘔吐が起こると口腔内

     は長時間酸性に保たれることになり、歯の表面からCaなどが流出

     しやすくなる。特に舌側の歯面はエナメル質が全体的に消失し、

     びらん状態になる。

 

 

【感想・まとめ】

 思春期の痩身傾向は口腔だけでなく全身、将来の妊娠や胎児の発育に重大な

 影響を与えます。これまで痩身傾向と口腔の関係性について考えたことが

 ありませんでしたが、担当の患者さんの中には思春期の方もおられるので、

 今回レポートした知識を活かしていきたいと思います。また、私自身も

 ダイエットしようと食事の量を減らすことがあるので、今後は将来を

 見据えた食生活を送りたいと思いました。

                           衛生士 関口

 

  2012/12/18   ふくだ歯科
タグ:歯と健康