スタッフレポート

「垂直性歯根破折と歯周炎の鑑別診断に必要な知識」について、勉強会で発表して

◆垂直性歯根破折…歯根根尖側長軸方向への破折を特徴とする。

 原因…根管拡大・根管充填・ポスト形成時におけるオーバートリートメント・ブリッジ支台歯

   として不適切な選択をした場合など

        臨床症状…打診痛、歯の動揺、咬合痛、瘻孔の形成、限局的な深いポケット形成など

        エックス線写真上では…歯根膜腔の拡大、歯根根尖部もしくは歯根側方部での骨吸収像。

                                (ほとんどが失活歯や根管処置歯であるが、生活歯でも歯根破折は認められる。)

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歯根破折を診断する場合、複数の症状から総合的に判断する事が多く、確定的な診断を下すことは困難。

        歯周炎と歯根破折を間違えないためには、プロービングが重要な診査となる。

 

        歯周炎においては、プラークが蓄積しやすい隣接面や臼歯部を中心に緩慢な速度で歯周ポケットが形成

        されるのに対して、歯根破折した部位では破折線に沿った形で限局的な歯周ポケットが形成される。

        これにあわせて、臨床症状、エックス線写真像から総合的に診断する事が重要。

        歯根破折の初期段階は、症状に乏しく確定診断が難しい事もありえますが、SRP後3週間経過しても

        症状の改善が見られない場合は、歯周炎以外の原因を考える必要があるといえる。

 

         垂直性歯根破折と診断された症例

          ・60歳男性

          ・主訴→左上5番の歯肉の腫れ

           根尖及び遠心中央部湾曲付近に陰影が認められる。

           抜歯した歯の歯根には、破折線が観察された。

 

        【感想】

       歯根破折は、時々みる症例なので、この内容を参考に診断などに役立てていきたいと思います。

                                                      衛生士 千田 

 

  2013/01/06   ふくだ歯科
タグ:歯根破折