歯科医療安全研修会に参加して
歯科診療時に知っておきたいHIV感染症の知識
1.後天性免疫不全症候群
類型:五類感染症、全数把握
病原体:ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
BSL:BSL3(biosafety level 3)
伝搬様式:HIV感染者との性的接触、血液感染、母子感染
無症候期:数年〜10年〜
治療・予防:HIV感染が成立した際の治療(ART:antiretroviral therapy)
主に就業時にHIV曝露した際の予防(PEP:Postexposure prophylaxis)
HIV陰性者が内服する予防(PrEP:Preexposure prophylaxis)
妊娠時の抗HIV薬服用による母子感染予防 ※HIV感染症は疾患名であって、AIDSとは免疫が著しく低下した状態のこと
2.急性HIV感染症の症状、身体所見の頻度
3.血液曝露後の対応
肝炎ウイルスを怖がらずにHIV"を気にするとしたら…
針刺し:HIVというウイルスの場合
○針に含まれる血液量は医科で使用する18~20Gの針で1μℓ前後。歯科の針だと27~30Gで細いのでもっと
少ない
○HIV RNAが20コピー/㎖なら1μℓ中に0.02個 ※HIV RNAが10万コピー/㎖(治療していない人のレベル)で
あっても1μℓ中に100個
○感染能力のあるHIVウイルス粒子は1000個中1個
↓そのため
治療によって数値のコントロールが出来ている患者の場合、1回の針刺し事故で曝露する感染性粒子数
は、HIV RNAが20コピー/㎖なら0.00002個。HIV RNAが10万コピー/㎖あったとしても0.1個
標準予防策を取ること、安全器具をとること、PEP
これらを行うことで、日本国内では職業状のHIV感染例は0件!
対策をきちんとしていれば医科も歯科も感染は起きていません。
・標準予防策(Standard Precautions:SP)
・感染経路の特徴と主な原因微生物
・ 抗HIV薬の曝露後予防内服(PEP)
PEPとは、曝露後予防(Post exposure prophylaxis)の略語です。HIVに感染したかもしれない行為の後
(曝露後)72時間以内に、抗HIV薬(HIVに対する治療薬)の内服を開始して、HIVに感染するリスクを低下
させる予防策のことをいいます。PEPが開始された場合、1日1回か2回(選択された組み合わせにより
異なります)の内服を28日間続ける必要があります。
〈感想〉
今回の研修で、万が一針刺し事故が起きても感染するリスクはとても低いというのが驚きでした。
和田先生が、HIVの患者さんも服薬していれば健康な人と同じような生活ができるので、皆と同じ
ように歯科に行きたいと思っている方もたくさんいると言われていました。もちろん、普段から感染
対策には気を付けていますし、針刺しにも引き続き注意が必要ですが、必要以上に不安がるのは患者
さんに伝わって不快な思いをさせてしまうかもしれないので、正しい知識を身につけて、自分も守り
ながら患者さんにも安心して治療を受けていただけるようにしたいと思いました。
衛生士 星島