「歯科金属アレルギーを治療しよう」
歯科金属アレルギーとは?
金属アレルギー
皮膚に直接接触している金属が汗などに溶け、皮膚を通して吸収される。吸収した金属に対してアレルギー
がある場合、金属に接触している部位に皮膚炎をおこす。このような接触皮膚炎を「金属アレルギー」という。
歯科金属アレルギー
症状は金属が直接接触している口腔内にはほとんど現れず、多くの場合遠隔の皮膚に発症する。
これは、口腔内金属が口腔粘膜や消化管から吸収され、血行性に全身に運ばれた部位で接触皮膚炎を
起こすためと考えられている。
これを「全身性接触皮膚炎」と呼ぶ。
歯科金属アレルギー治療の流れ
専門医での治療を受ける
↓
治療において難治性の場合、原因・悪化因子として歯科金属アレルギーを疑う
↓
アレルギー検査を行う(一般的にはパッチテストやリンパ球幼若化試験など)
↓
陽性の場合には原因と疑われる金属を除去する
↓
症状が改善すれば、歯科金属アレルギーが確定
*金属除去時、切削された金属粉を患者さんが吸引することにより、
その約1週間後に症状が一時的に悪化することがある
アレルギー検査に関係する代表的な金属
Hg 水銀 Ni ニッケル
Pd パラジウム Co コバルト
Ag 銀 Sn スズ
Au 金 In インジウム
使用歯科材料の検討
すべての歯科材料がアレルギーを起こす可能性がある。安全な歯科材料の検討は、症状が改善した後に
口腔内へ使用予定の材料を一定期間仮着または充填し、症状の悪化がないことを確認しながら行う。
歯科金属アレルギー治療時の留意点
歯科金属アレルギー治療は、症状の改善までテンポラリークラウン(TEK) の状態で長期間過ごすことが
必要になり、噛みにくい・使いづらくなる・口腔内の健康が保てないなどの状況が想定される。
このような場合、患者さんと相談のうえ、TEKの状態で経過観察を継続するか、症状の改善を待たずに
(安全な歯科材料検索が不十分な状態で)修復処置を進めるか決めなければならない。
コンプライアンス
患者さんが医師や薬剤師などから指示された治療法を、指示通りきちんと守る。
アドヒアランス
患者さんが積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けようという考え方。
この考え方は主流となっている。
TEKのままで経過観察を継続するか、修復処置へと進むかは、その症状の改善具合、TEKの不便さ、歯周病
やう蝕の程度などを考慮して、患者さんが積極的にその治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を
うける。
歯科金属アレルギー治療において、その成功の鍵は患者さんと歯科医療 者の相互関係・信頼関係の構築
を背景として、症状が改善するまでいかにして長期間TEKの状態で口腔内の健康状態を保ち、また患者さん
が我慢できるかにかかっている。成功の鍵は、歯科衛生士が握ることになる。
【感想】
全身性接触皮膚炎の他にも、口の中の金属は帯電しやすく、ガルバニ電流と呼ばれる微弱電流を生じて、
脳活動を混乱させたり、頭痛や関節痛を憎悪させたりすることもあるそうです。
口腔内の健康は全身の健康につながるのでDHの役割は大変重いと感じました。
衛生士 赤木