スタッフレポート

う蝕予防のセルフケアについて、勉強会で発表して

① セルフケアの目的

<発酵性糖質とプラークを除去し、ディスバイオーシスを防ぐ>

う蝕・・口腔細菌叢のバランスの変化(ディスバイオーシス)によって引き起こされる疾患

    ディスバイオーシス:発酵性糖質の頻繁な摂取や唾液量の減少などにより酸性に弱い善玉菌の

              数が減少し酸に強い悪玉菌が大多数を占める状態

セルフケアの第一の目的・・毎日のブラッシングで悪玉菌のエサになる発酵性糖質を除去すると

             ともに、悪玉菌が増えかけたプラークを除去し、善玉菌主体の菌叢に戻す

<再石灰化を促進させる>

脱灰と再石灰化のバランスの乱れ→初期う蝕からう窩形成への進行

カルシウムイオン、リン酸イオン、フッ化物イオン→エナメル質の再石灰化を進める

② フッ化物+αで再石灰化をさらに促進する

<フッ化物の特徴、使用法>

◎モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)

特徴

・エナメル質表面のカルシウムとの反応が遅いので、脱灰部深くに浸透(すすぎ過ぎ厳禁)

・初期う蝕の再石灰化にピッタリ

使用法

歯磨剤で用いる(500~1450ppm)

◎フッ化ナトリウム(NaF)

特徴

・カルシウムとの親和性が高い。

 エナメル質表面のカルシウムと素早く反応してフッ化カルシウム(CaF2)となる

使用法

・歯面塗布で用いる(9000ppm)歯科医院で使用

・歯磨剤で用いる(500~1450ppm)毎日家庭で使用することで、高濃度フッ素減少を補う

・洗口剤で用いる(毎日法:225~250ppm,週1回法:900ppm)

プロフェッショナルケアとセルフケアの双方でフッ化物を使うことによって、短期的な効果の両方が

カバーされ、万全の体制になる

③ 口腔内のpHをコントロールする

<唾液分泌低下によって失われた緩衝作用を補う>

唾液は多くの生理作用がありその分泌量が低下すると、洗浄作用、抗菌作用、緩衝作用が失われる

ため、う蝕のリスクも亢進する。高齢の方や唾液分泌障害の方においては、低下した緩衝作用を補完

する目的で口腔内pH中和剤(ピュリフレッシュ(ヨシダ)、カリフリースプレー(サントークコー

ポレーション)など)を食後に使用すると有効。

④ 咀嚼刺激によって唾液分泌を促進する

う蝕予防に言及した表示内容が認められている特保ガム

◎ポスカ  江崎グリコ(株)

成分・・リン酸化オリゴ糖カルシウム(POs-Ca)

    →水や唾液に溶けないカルシウムが非常に溶けやすい状態になっている

     カルシウムが通り抜けることができない初期う蝕の表層を通り抜けて、脱灰部位まで浸透し

     再石灰化に利用される

1日摂取目安量・・1回に2粒を20分噛み、1日3回を目安

◎キシリトールガム  (株)ロッテ

成分・・キシリトール、マルチトール、リン酸水素カルシウム、フクロノリ油出物(フノラン)

    キシリトール→細菌によって代謝され、酸がつくられる基質とはならない甘味料

1日摂取目安量・・1回に2粒を5分噛み、1日7回を目安

◎リカルデント  モンテリーズ・ジャパン(株)

成分・・CCP-ACP(Caとして)

    →カゼインホスホペプチド(CPP)が非晶質のリン酸カルシウム(ACP)の周りを取り囲む

     構造をした複合体。

     再石灰化に必要なリン酸イオンとカルシウムイオンを歯の表層に供給

    ※牛乳由来成分の為、牛乳や乳製品にアレルギーのある方は利用しない

1日摂取目安量・・2粒を同時に1日4回、1回あたり20分間を目安

感想

フッ化物の特徴や唾液の作用などについて再確認できました。むし歯のリスクの高い方にはフッ素塗布

をしていますが、合わせて毎日のブラッシングの大切さやキシリトールなどについてもお話ができれば

いいなと思いました。

                             衛生士 沼本

  2023/12/29   ふくだ歯科
タグ:虫歯予防