超音波スケーラーを安全に正しく使用するために
感染対策をきちんとしよう
1)エアロゾルの問題
人の口腔内には、細菌(好気性菌、嫌気性菌など)、ウイルス、血液、唾液の存在、その他の多くの
気づかぬ患者さんの疾病があります。それらが、超音波スケーラーの施術により、エアロゾルとなり
汚染環境をつくってしまいます。
注意点1患者さんと術者の防護が重要
注意点2障壁の保護
隣の患者さんとの壁をつくるなど、チェアサイドの環境も大切です。
注意点3部屋全体の空調の管理
注意点4操作
エアロゾルの飛散を防ぐ(適正なパワーの選択、水量のコントロール)ことが重要です。
注意点5チップの保管
チップは滅菌パックに入れることが望ましいです。
2)生体を不必要に傷つけないために
適正なパワー、チップ、水量で施術を行わないと、患者さんに対して、疼痛、知覚過敏、歯石の取り
残し、歯根面への損傷など与えることになってしまいます。その目的に応じた「適正なチップ、適正
なパワー・水量」を選択することが基本です。そして、禁忌症の患者さんには使用しないことと、
注意事項を守って施術することが欠かせません。
超音波スケーラーの「基本のき」を知っておこう
STEP1歯石の探知
術前にエックス線写真で確認しながら歯石を探知しておかなくてはなりません。特に歯肉縁下
に対しては、器械での操作のため常に探知が欠かせません。歯石が取れていることに気づかず
強いパワーで続けていると根面を傷つけるばかりでなく、知覚過敏を起こす原因にもなって
しまいます。
STEP2操作
当て方)
◎チップの使用角度は、刃のあるものは歯面に対して20度で傾斜させます。縁下に対しては、限り
なく0度に近い角度にし、15度以上根面からひらいてはいけません。
◎刃先がある場合、当てる位置は歯石の上でも下でも取ることができます。歯石の上からプッシュ
するよう刃先を当てるという方法は、超音波スケーラー独特のものです。 力のかけ方)
◎操作のポイントは術者がいかに「力」を抜いた施術ができるかです。ハンドピースは、軽く保持して
微妙な回転を加えることで、チップのスムーズな動きとより細やかな部位への到達を可能に
します。
動かし方)
◎メインテナンスではほとんど歯石が付いていない状態なので、なめらかな動きの方が効果的で
す。ゆっくり(1mmくらい)細かく常にチップを動かし続けること(スウィーピングストロング)。
◎動的治療の場合は短いストローク(タッピングストローク)が好ましいです。
◎急性症状を起こしたり、腫れている歯肉には慎重に施術します。いきなり超音波スケーラーを
使わず、できれば避けること、敗血症を起こす危険があることを考慮します。
《感想》
歯科衛生士として、ハンドスケーラーとの違いや、超音波スケーラーならではの正しい使い方をきちん
と把握したうえで使用していきたいと思います。
衛生士 関口