スタッフレポート

2019年9月

歯周病と糖尿病について、勉強会で発表して

日本における糖尿病患者は4人に1人となり、歯科医院でも糖尿病を抱えた患者を診る機会が増えて

きています。歯周病は糖尿病第6の合併症といわれており、歯周病治療を担当する歯科衛生士にとって

糖尿病を理解することは重要です。

 

糖尿病とは

インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖(血糖)が増えてしまう病気。インス

リンは膵臓からでるホルモンであり、血糖を一定の範囲におさめる働きを担っています。

 

1型糖尿病

・膵臓でインスリンを作るB細胞が壊れてしまうため、インスリンが膵臓からほとんど出なくなり、

 血糖値が高くなる

・若い人に多い

・やせ型の方が多い

 

2型糖尿病

・生活習慣や遺伝的な影響により、インスリンが出にくくなったり、インスリンが効きにくくなったり

 して血糖値が高くなる

・中高年に多い

・肥満の方が多いが、やせ型の方もいる

 

糖尿病の自覚症状

・喉が渇く、水をよく飲む

・尿の回数が増える

・体重が減る

・疲れやすくなる  など

 

糖尿病の合併症

・毛細血管を中心に生じる細小血管障害  

 糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害

・比較的太い血管に起こる大血管障害  

 心筋梗塞、脳梗塞などの原因となる動脈硬化

 

合併症予防 HbA1c7.0%未満

 

歯周病との関係

糖尿病は歯周病を悪化させる

糖尿病の患者さんは、唾液の分泌が少なく、プラークがつきやすくなることがよくあります。そのため

歯周病の発症リスクは健常な人の2〜3倍といわれます。免疫機能の低下で、細菌に対する抵抗力が

低く、歯周病が悪化しやすくなっています。

歯周病は糖尿病を悪化させる  

糖尿病の患者さんが、風邪などの感染症にかかると、一時的にインスリンの作用が弱くなり、血糖値が

高くなります。歯周病も感染症のため、血糖値を上げるように働きます。風邪などの一時的な病気とは

異なり、歯周病は慢性の感染症のため、その影響がずっと続き血糖コントロールを悪化させます。

歯周病により、歯茎が痛んだり歯がグラグラ揺れたりするような状況では食事の量が減ったり食べる物

が偏ったりして、食事療法や薬物療法を正しく行えないようになります。

糖尿病の人は歯周病が発症・進行しやすく、歯周病のために糖尿病の治療がうまくいかないこともあり

ます。反対に血糖をよくコントロールし適切に歯周病を治療すれば、双方に好影響を与える相乗効果を

生み出します。

PCRが下がるとHbA1cが下がる!

HbA1c1%改善に伴う合併症リスク低減効果

・糖尿病関連死 −21%

・心筋梗塞   −14%

・脳梗塞    −12%

 

感想

 糖尿病と歯周病は密接に関係していることがわかりました。歯周病治療をすることにより糖尿病の

 合併症のリスクも低減できるということで、私達歯科衛生士の役目はとても重大なものだと感じ

 ました。糖尿病についてはもちろん、糖尿病の患者さんが歯周治療になぜ通われているのか患者さん

 の気持ちもしっかりと考えていきたいです。       

                            衛生士 松本

  2019/09/29   ふくだ歯科

「初診時に響く!コミュニケーションのコツ」について、勉強会で発表して

患者さんを理解するにあたっては情報収集が不可欠です。

その手段として、問診表やカウンセリングシートがあります。これらを活用することで、口腔内に

関する訴えのみならず、歯科医院の最終受診歴、自院への来院理由、過去における体験などから、

さまざまな患者さんの行動パターンを読むことができます。そうして得られた情報をもとに、

さらに患者理解を深めるために、歯科医療コミュニケーションがなされます。

 

① 歯科医院の最終受診歴を把握する

 最後にいつ歯科医院を受診されたかという情報は、患者さんの口腔に対する意識を予測する情報の

 1つとなります。最終受診日だけでなく、その頃どのような目的で通院し終えたのか、歯科治療が

 最終受診となり、その後は歯周病予防で来院することはなかったのか、来院したとすれば、どの

 くらいの間隔で、どのような目的で通院されていたのか(治療だけなのか、メインテナンスで通って

 いたのかまで確認することができると、その患者さんの予防意識に関する情報がより深まります。

  問診票や患者さんへのインタビューから得られる情報をふまえて、患者さんの予防意識を2つの

 パターンに分けて考えることができます。1つは「メインテナンスの意義を十分理解していなかった

 ために、長い間歯科医院を受診することがなかった」パターン、もう1つは「メインテナンスの意義

 を十分に理解しているのにもかかわらず、受診を継続しなかった」パターンです。前者の場合、一方

 的な説明は控えながらも、患者さんにメインテナンスの重要性と意義に対して関心を示してもらう

 ようにアプローチしましょう。後者の場合、受診を継続できなかったことを理解・共感したうえで、

 少しでも行動変容に向かうようサポートの方法を考えていきましょう。

② 自院への来院理由を理解する

 患者さんが自院に来院することには必ず理由が存在します。それについて詳しく伺うことで、患者

 さんが自院に対しどのような印象を持っておられるのか、どのようなことを期待されているのかが

 見えてきます。 仮に他者からの紹介(口コミ)で来院した患者さんであれば、紹介者は患者さんにどの

 ような話をされ、患者さんはその内容の何に響いて来院しようとする意思決定がなされたのかを理解

 すると良いでしょう。その「何か」を医療者側が把握することで、患者さんのニーズが見えて

 きます。 広告やホームページを見て来院した患者さんも同様に、広告やホームページのどの内容に

 関心をもたれたかを把握することで、他の歯科医院ではなく、自院へ来院した患者さん独自の理由と

 なるのです。

③ 過去における体験を聴く

 主訴に加えて、初診の患者さんに確認しておきたいこととして、過去に歯科医院でどのような体験を

 したかという情報も重要です。特に、患者さんが転院を決定づけたエピソードなどの情報があれば、

 それをもとに自院でも対策につなげると良いでしょう。例えば、なかなか抜歯ができなかった状況

 で、歯科医師もスタッフも苛立っており、その雰囲気が伝わってとても怖かったという経験をもつ

 患者さんであれば、歯科治療時における声かけや、スタッフ間の言葉遣い、態度、接し方に関して、

 徹底的に配慮できるよう心掛けましょう。 また、患者さんから話を聴く際、患者さんは話している

 うちに過去の嫌な経験が想起され、当時の感情やマイナスイメージのある歯科医師、スタッフの顔・

 声・態度まで思い出して不快感が増幅した結果、話が脱線していくことがよくあります。そんな時

 は、患者さんの気持ちが落ち着いたところで、本題に戻すよう心掛けることも大切です。あくまでも

 情報収集を目的としていることを忘れてはいけません。

 

〈まとめ〉

今まで、患者さんとのコミュニケーションについては、ゆっくり時間を費やせば良いと思っていた部分

がありました。しかし、慌ただしい診療の中の限られた時間で、患者さんを理解するための適切な情報

収集と、患者さんが抱える問題に焦点を当て、解決に向けたコミュニケーションをとる事が大切だと

思いました。

                           衛生士 関口

  2019/09/04   ふくだ歯科