スタッフレポート

2019年10月

岡山大学歯学部同窓会セミナー2019に参加して

つまようじ法とは、つまようじのように歯ブラシの毛先を歯と歯の間に出し入れすることにより、

歯間部の歯肉のマッサージと歯垢除去をおこなうブラッシング方法です。つまようじ法を行うことに

より、歯周病の予防・治療や歯の歯周病予防に効果があることが示されています。

① 動揺度の改善

動揺歯を有する患者さん20人につまようじ法での術者磨きとブラッシング指導を行ったところ、初診時

に横から平均101gの力で押すと動揺し始めていた歯が、2週間後には141g、4週間後に147g、

8週間後には157gかけないと動かないくらいにしっかりしてきた。

② 口臭の改善

対象者の口にストローを入れて口臭の原因とされる揮発性硫黄化合物の濃度を測定。つまようじ法に

よる術者磨きを1人平均7回繰り返し、濃度の変化を調べました。その結果、13人の初診時の濃度は

平均で250.2ppb(1ppbは10憶分の1)でしたが、治療後には平均59.0ppbと約4分の1に

ダウン。全員がそばにいても口臭を感じない100ppb以下のレベルに下がり、中には1100ppbから

60ppb程度まで激減した例もありました。 厚生省が30歳以上の約25000人を対象に平成五年に行った

調査では、役3500人(約14%)が口臭問題を訴え、口臭に悩む人は年々増加中とのことです。 口臭の

原因は、虫歯や歯周病、消化器系などとされますが、今回の調査によって、口の中を清潔にすれば、

口臭が防げることが裏付けられ、つまようじ法を続けることで、長期的な口臭減少に繋がるものと

考えられています。

③ 歯周病を改善

つまようじ法を行うと歯肉からの出血は早く治ります。1週間で差が出るほどです。つまようじ法は、

バス法とフロスの併用による方法に比べて、臨床的にも有効であり、短時間で終わります。

《ブラッシングのマッサージ効果》

つまようじ法のマッサージ効果をイヌの歯肉を使って調べました。 イヌの歯肉の一方を毎日歯磨きし、

反対側の歯は徹底的に歯石・歯垢除去をしました。1週間後、ブラッシング側の細胞は歯石・歯垢除去

側に比べ2倍くらいたくさんの細胞が増殖していました。また、炎症性細胞の数も5週間で半分に減って

いました。このことから歯周病には歯石・歯垢除去よりもブラッシングによるマッサージが有効である

ことがわかりました。 また、つまようじ法によるブラッシングのマッサージ効果は約200gの力で10秒

から20秒行うことが一番効果が高いという結果も出ました。 (200g消しゴムで字を消すときと同じような力に相当します。)

《つまようじ法ブラッシングの気持ちよさがモチベーションに》

患者さんにつまようじ法をすると、「気持ちいい」、「いまから食事をするのがもったいないくらい」

などポジティブな感想が多くみられたそうです。 歯と歯の間に毛先を通すという感覚は非常に

インパクトが強く、驚きとともに爽快感を味わっていただけます。

◎ ブラッシングの感想

気持ちいい・・・76%

驚き・・・・・・33%

痛い・・・・・・10%

なんともない・・2%

その他・・・・・2%

《感想》

実際につまようじ法を受けた感想は、結構ガシガシされている感覚でしたが、してもらった後は

すっきりした感じはありました。家で自分でやってみましたが、なかなか難しく患者さんがセルフケア

を行うのには難しいかなと感じました。ですが爽快感があるため、それを求めまた来院してプロフェ

ッショナルケアを受けようというモチベーションに繋がるのかなと思いました。今後TBIを行う際には

参考にしていこうと思います。

                                                                                                            衛生士 藤元

  2019/10/22   ふくだ歯科

岡山大学歯学部同窓会セミナー2019に参加して

1.歯周病の長期継続管理と生涯に渡るむし歯予防

  日本人が歯を失う原因の第1位は歯周病、第2位はう蝕であるとされています。う蝕はフッ化物を公衆

 衛生的に応用することによってかなりの予防効果が期待できます。しかし、歯周病に対しては一対一

 の対応でなければ効果を挙げることは困難です。歯科医院に来院している患者さんは主訴の多くは

 歯牙に関するものですが、その8-9割は歯周病に罹患していると言われています。来院された患者

 さんの30年後、50年後の口腔内を考えて歯周病を見逃さずに対応することにより、長期にわたって

 より良い口腔内を保つことができます。

2.歯周病の治療や長期継続管理を行っていく上での術者磨きの目的

・爽快感による動機づけ・・・self care(自分でもやってみよう)

              professional care(また受診しよう)

・治癒効果・・・徹底的なプラーク除去、歯肉のマッサージ

・コミュニケーション

3.モチベーションを上げるためには

  楽しい、気持ちいい、健康になれるなどのポジティブなモチベーションの方が継続に効果があり

 ます。そのためには1日何回、何分磨いてくださいという指導はあまり行いません。

 説明では忘れてしまうので感覚で覚えてもらうと良いでしょう。

4.予防歯科

《むし歯予防と歯周病予防の違い》

•むし歯予防・・・1.フッ化物の利用(洗口・歯磨剤)

         2.糖分の摂取制限(回数・時間帯)

         3.規則正しい食生活

•歯周病予防・・・1.適切なブラッシング(歯垢の除去・歯肉のマッサージ)

         2.professional Tooth Cleaning

                         3.適切な食生活

                         4.喫煙を避ける

 

 まとめ

 今回の講演の中で、治療の為だけでなく痛くない時にも通える歯科医院を目指すというお話があり

 ました。TBIなどで患者さんと接する際にどうしても「ここが出来ていない」「ここが悪くなっている」

 などとネガティブな指導をしてしまいがちですが、予防を目的に自主的に歯科に来院してもらうため

 に、「気持ちいいから」、「健康になれるから」というポジティブなモチベーションを持っていただける

 ように意識しながら接していけたらと思いました。

                             衛生士  星島

  2019/10/09   ふくだ歯科
タグ:虫歯予防