スタッフレポート

加熱式タバコについて、勉強会で発表して

◎加熱式タバコには紙巻きタバコと同じタバコ葉が使用されている  

紙巻きタバコとの大きな違いは、煙ではなく「水蒸気(エアロゾル)」を吸うことです。タバコ葉に

含ませたグリセリン類によって蒸気を発生させて煙の代替とします。紙巻きタバコ同様、タバコ葉が

用いられますが、直接タバコ葉に火をつけるのではなく熱を加えてニコチンを発生させて吸引します。

燃焼させないため、タールの発生を抑えることができますが、タバコ葉を使用するため、ニコチンを

含む有害物質は発生します。  

一方、電子タバコは、タバコ葉ではなくニコチン等の入ったリキッド(溶液)を加熱してミスト化

(気化)させ、その蒸気を吸引するものです。  

日本では、ニコチンを含むリキッドは医薬品であり医薬品医療機器等法により販売をするためには許可

が必要となります。今現在許可されたリキッドは存在しないため日本国内で販売している電子タバコに

ニコチンは含まれていません。

 

◎加熱式タバコにも依存性を高めるニコチンが含まれている  

どの加熱式タバコにもニコチン依存症の本態であるニコチンが混入されています。加熱式タバコと

紙巻きタバコによるニコチン血中濃度の推移を示した報告によると、どちらもほぼ同じで変わりがない

ことがわかります。 紙巻きタバコから加熱式タバコへ切り替えたとしても、ニコチン依存症からの離脱

は阻害されます。むしろ、せっかく禁煙を志した時に加熱式タバコに切り替えることで、タバコによる

健康障害をなくす機会を逃してしまう可能性をもち、加熱式タバコによる新たなニコチン依存症を作り

出すことになると考えられます。

 

◎「有害性成分の量」=「有害性の程度」ではない  

加熱式タバコのパンフレットでは、有害成分の量に関して紙巻きタバコと比べ「約90%低減」と

謳われています。 しかしこれは、健康に及ぼす悪影響が小さくなる(リスクが減る)ことを意味する

ものではないことが各製品のパンフレットにも記載されています。 紙巻タバコの有害性はかなり強く、

環境汚染物質の基準と比べても数十倍〜100倍以上です。各メーカーが主張するように、加熱式

タバコの有害物質が1/10になっているとしても、環境基準を安全にクリアできるレベルにさえなって

いないのです。

 

◎口腔内や体への影響は紙巻きタバコと同程度と考えられる  

加熱式タバコが広く普及するようになってからまだ日が浅いこともあり、加熱式タバコに起因する健康

障害に関する長期のデータや口腔疾患、口腔ガンや歯周病に関するデータは揃っていません。  

虚血性心疾患のリスクは、紙巻きタバコの吸う本数が少なくても、受動喫煙であっても急激に上がり

喫煙に容量的なリスク低減効果のないことがわかっています。すなわち、たとえ有害物質が少なく

なっていても健康へのリスクが下がるわけではないのです。

 

◎肉眼で見えない煙が出ており、受動喫煙は起こる  

加熱式タバコを吸っているところを2次元レーザーで可視化すると、白いエアロゾル(液体の微小な

粒子とガスの混合物)が発生し3m先まで広がっている様子が鮮明になります。 

高温加熱式タバコ(アイコス、パルズ、グロー)では、特有の臭いが周囲に拡散しているのが明らか

です。 低温加熱式タバコ(プルームテック)では、アルコール系有機溶剤のエアロゾルが主成分である

ため、臭いが軽くなっています。

加熱式タバコユーザーは、ニコチンを含む有害物質などを吸引しますが、それらすべてを体内で吸引

せず呼気に含み、吐き出しています。その呼出煙を周囲が吸い込むことで、受動喫煙が起こる仕組みは

紙巻きタバコと全く変わりありません。

 

感想  

最近流行している加熱式タバコも従来の紙巻きタバコと同等の有害性があることがわかりました。自分

の周りにも加熱式タバコを吸っている人がいるので加熱式タバコにも依存性があることなど少しずつ

伝えていきたいと思います。また、患者さんなどから加熱式タバコについて質問があった時に正しく

答えられるように覚えておきたいです。

                               衛生士 松本

  2020/12/16   ふくだ歯科