「舌を見て100%危ない病気を見抜く法」について勉強会で発表して
ためしてガッテン2012年04月18日放送より参照
健康状態を反映する鏡と言われる「舌」。
そこで、街の人の舌をチェックしてみると・・・
「地図のような模様がある舌」「溝が刻まれた舌」「毛の生えた舌」などさまざま。
一体、どれが病気のシグナルとなる舌なのでしょうか!?
舌を見て病気がどこまでわかるのか?
→舌はわずか10秒で色が変わってしまうほど繊細な場所。
…舌の状態を見るだけでは、病気かどうか判断するのはかなり難しい。
死を招く!?キケンな低位舌
見分けるために使ったのは「牛乳」。
牛乳を舌と上あごの間に閉じ込めるテストをやってみると、もれ出す人が続出した。
このテストで牛乳がもれる人は、なぜか肺炎や歯周病になったり、交通事故や二重アゴになる危険性が高いという。
牛乳がもれる人の特徴、それは、舌の位置が下がっている「低位舌」がある。
実は舌は厚さ5センチもある巨大な筋肉の塊で、本来であれば、安静時は上あごに接しているもの。
しかし、舌が自らの重みを支えきれなくなると、下がってしまう。
つまり、低位舌は舌の筋力低下の証拠。
低位舌はなぜ危険?
舌が下がると、空気の通り道である気管が圧迫されて狭くなり苦しくなる→睡眠時無呼吸症候群になりやすくなる→
→昼間に激しい睡魔に襲われ、事故などを引き起こす可能性も高くなる。
また、息が苦しいので口呼吸をする人が多いのも特徴→口呼吸をすると、唾液が乾燥し、歯周病を起こしやすくなる。
他にも、舌が下がるので、二重アゴにもつながる。
さらに、実は舌を上あごにくっつけることは、物を飲み込むためのスイッチにもなっており、舌をうまく上あごに押し付けられないと誤えんが発生し、誤えん性肺炎を起こす危険が増す。
低位舌かどうか見分けるポイント
それは「舌のふちがガタガタで白っぽい」こと。
本来上あごにおさまるべき舌が下あごに落ちていることで、下の歯の歯形がついてガタガタに見える。
さらに、上あごとこすれることで舌の表面についた汚れが落ちるはずが、低位舌では上あごに接していないため、
汚れが残り、白く見える。(ただし、舌が白くてガタガタでも、牛乳テストができる人は問題ありません。)
「赤くてツルッ」が危険!平滑舌とは?
舌の表面には、糸状乳頭と呼ばれる粘膜上皮の細かい突起が無数に存在し、これが舌のザラザラした感じのもとになっている。これには、触覚を鋭敏にしてくれるありがたい働きがある。
舌に激痛をもつ患者さんの舌を見せていただくと、きれいな赤色でツヤツヤしていて、一見健康そうに見える。
しかし、舌の表面を拡大して見てみると、白いザラザラがなくなって表面がツルッとし、下の血管がじかに透けて見える為、赤く見えている。…これは「平滑舌」と呼ばれている。
平滑舌に潜む病気とは?
平滑舌はどんな病気によって起こるのか?
一番多いのはドライマウス。唾液がなくなると、ザラザラがこすれてなくなってしまう。
他にも、鉄欠乏性貧血(重度の貧血)や、亜鉛などのミネラル不足によって平滑舌が起こることもある。
平滑舌になると、ザラザラが消失することで、舌を保護する粘膜もなくなり、痛みが生じる。
普通にしていても舌に違和感を感じるようであれば、口の中の健康の専門医である「歯科」を受診したほうが良い。
治療法は、ドライマウスであれば、唾液を出す薬を処方するなどの治療を行う。
舌の表面は再生能力の高い細胞でできているので、適切な処置を行えば、多くの場合、2週間ほどで再生する。
※再生までの期間には個人差があります。
低位舌を見分ける「牛乳テスト」
用意するもの
牛乳 7ml(小さじ約1杯半)
※水など、他の飲み物でも代用可。
(1)牛乳を口に含み、舌と上あごとの間にこぼれないように閉じ込める。
(2)そのまま「イーッ」の顔をして、唇を閉じずに飲み込む。
最後まで、牛乳がもれなければ成功。
※幼児、高齢者、持病をお持ちの方は行わない。また、誤えんには十分ご注意を。
低位舌改善!カンタン舌体操
「べろはたから」という単語を1日20回繰り返してください。(声は出しても出さなくてもOK)
ひとつひとつの文字にはちゃんと意味があります。
「べ」は思いっきり舌を真下に突き出して発音。
出したり戻したりすることで、舌の位置を高く持ちあげる筋肉を鍛えられる。
「ろ」と「ら」は舌をなめらかに動かすための訓練。
「た」と「か」は舌先そして舌の奥を強く上あごに押し付けて発音するため。食べ物をのどの奥に送る筋肉を鍛える。
早ければ数日で、トレーニングの効果が実感できるようになる。
【感想】
テレビ番組で「ためしてガッテン」を見ている人は意外と多いように感じます。
これを見た患者さんも、もしかしたらいらっしゃるのではないかと思い、今回テーマとして取り上げてみました。
「低位舌」については今まであまり聞き覚えが無く、今回、その影響と危険性とを知って、改めて舌の役割や重要性とを学ぶことが出来ました。患者さんにとって、口腔内をじっくり観察する機会というものはあまり無いように思いますので、何か問題があっても、痛みが出てから初めて気付くというパターンが多いかも知れません。あるいは気になってはいてもなかなか聞けなくて…という方も、その番組ではおられたようでした。ですので、少しでも患者さんの不安を敏感に察知し、汲み取っていけたらいいなと思いました。また、口腔内の僅かな変化にも気付けるような観察力を身に付けていきたいと感じました。
衛生士 河本 麻見