ホワイトニングについて、勉強会で発表して
<歯のホワイトニングとは>
ホワイトニングは広義では歯を白くする処置の総称ですが、狭義では歯の漂白(ブリーチ)をさし
ます。歯の漂白は、歯質を全く切削することなく化学的に色を改善できる低侵襲な治療方法です。
<歯の色>
1. ヒトの歯の色
歯の色調は、照明により異なりますが通常は比較的透明なエナメル質を透過して、不透明で淡黄色
の象牙質が見えることにより知覚されます。歯冠の部位によってエナメル質や象牙質の厚さは異
な ります。さらに、色調も歯頸部、歯冠体部、切縁で異なっています。
*象牙質の厚い犬歯は黄色っぽく見える
2. 歯の測色における留意点
ホワイトニングを行う前の歯の色とホワイトニング後の色を記録することは、臨床でのトラブルを
防ぐ方法のひとつです。 測色計により色調を測定すること、術前と術後の口腔内写真を撮影する
こと、シェードガイドと歯と術前と術後に患者と一緒に観察し、記録を残すことは歯の色を記録
する基本的な要件になります。
*乾燥すると白く見えるためシェードガイドで見る時は短時間で湿潤した状態で行う
<ホワイトニングのメカニズム>
1. ホワイトニング材の成分
ホワイトニング材として臨床応用されているのは
オフィスホワイトニング・・・各種濃度の過酸化水素
ホームホワイトニング・・・10%過酸化尿素
ウォーキングブリーチ・・・過ホウ酸ナトリウム
2. ホワイトニング材の歯面への作用
ホワイトニング材はエナメル質表面に作用させます。ホワイトニング終了後には、直後の着色飲
食物や酸性飲料の摂取、喫煙は避けるよう指示します。これは、ホワイトニング材は歯の表面を
保護している有機性の皮膜であるペリクル(獲得皮膜)を除去する作用があるからです。
<ホワイトニングの問題点>
1. 象牙質知覚過敏症
知覚過敏が生じた場合は、ただちにホワイトニングを中止(または中止するよう指示)します。
◎知覚過敏に対する処置
・フッ化物配合ジェルを使用する
・硝酸カリウム配合歯磨材を使用する
・ホワイトニングの間隔、時間を調整する
・象牙質知覚過敏抑制剤を塗布する
2. 後戻り
オフィスホワイトニングの施術後24時間、またはホームホワイトニングの実施期間中は、着色
しやすい飲食物(カレー、ワインなど)の摂取は控えるように指導します。ホワイトニング後
は、2週間くらいの間に多少の後戻りがありますが、その後は比較的安定します。しかし、患者
の生活習慣や嗜好品、セルフケア状況によりますが、明度が徐々に低下していきます。
そのため、後戻りの防止策として適切なセルフケアを行い、付着するプラーク量をできるだけ
少なくする必要があります。 1ヶ月から3ヶ月に1回程度のPMTCを促し、必要に応じて
タッチアップホワイトニングを行うことも重要です。
<感想>
日々の診療の中でホワイトニングの相談を受けることもあります。患者さんが気になっていることなど
を聞き、特徴や使用方法をしっかりと伝えていきたいです。また、ホワイトニングを行う患者さんには
安全に使用してもらうことはもちろん、終了後の後戻りを防ぐためのメンテナンスも大切だと思いま
した。
歯科衛生士 松本