スタッフレポート

小児

「歯医者さんが怖い子がニコニコ通えるように」について、勉強会で発表して

子どもが歯科診療を受け入れられない理由

 歯科治療の必要性を理解できる年齢ではないから

   (コミュニケーションがとれるようになるのは3歳頃から)。

   過去に嫌な思いをしたから、など。  

これ以上怖いイメージを抱かせないために

・明るく挨拶し、コミュニケーションをとる。

・「今日はお話とお口の中を診るだけだからね」とその日に行うことを約束する。

・保護者の表情や言動に大きく影響を受けるので、保護者も安心できる雰囲気や環境、

   人間関係の構築が大切。

 保護者に協力してもらいながら、患児とラポール(信頼関係)の形成を行う。 

信頼関係をつくる基本姿勢

1、 約束を守る

2、 嘘をつかない

3、 無痛的処置を心がける

4、 短時間で処置を終える

5、 できたことは小さいことであっても褒める  

行動変容法  

・TSD(Tell-Show-Do)法・・・わかりやすい言葉(Tell)で、実物を示しながら(Show)伝え、

                                            体験させる(Do)。  

・カウント法・・・「10秒間だけやってみよう」などと時間を区切る方法。  

・オペラント条件づけ法・・・子どもが治療に協力的であれば褒める。

                                             非協力的な時は、行動の制止や禁止を言葉や態度で示す方法。

                                             タイミングよく行うことにより、好ましい行動を強め、好ましくない

                                             行動が消去される効果がある。  

・モデリング法・・・自分以外の人の行動や行動の結果を観察することによって新しい行動様式を

                               獲得させたり、反応パターンを変容させたりする方法。

                               他の患者さんの治療を見学させることにより、理解を早め、それを模倣させる

                               ことにより、適応行動を引き出す。  

☆複数の方法を併用して行うと効果が高いといわれている。  

 

感想・・・小さなお子様が来院された時に、参考にしたい内容だった。恐怖心があると、チェアに

            座る事でも回数がかかるかもしれないが、しっかりと向き合い対応していきたい。

                                                                                                                           衛生士 岡本

  2018/06/17   ふくだ歯科
タグ:小児

「乳歯ー無理に抜かないで」について、勉強会で発表して

6歳前後になると、乳歯が抜けて永久歯が生え替わり始める。20本の乳歯が生え替わり、新たな

永久歯も加えて計32本になるのは17~18歳頃と、歯の生え替わりは長期間に及ぶ。

人によっては、親知らずの歯が生えずに、計28本の場合もある。

乳歯の抜ける仕組み

  歯茎の内部で永久歯の成長が始まると、乳歯の根っこが縮むように消失していき、最終的に抜け

 落ちる。

歯が生え替わる時期に注意すべきこと

 ・グラグラする歯でも、根っこが残っている可能性もあり、その状態で無理に引き抜くと、歯茎を

  傷付けたり、歯が割れたりする恐れもある。無理に抜こうとせず、歯科医に相談するとよい。

  ・歯がぐらついている間は歯茎に炎症が起きやすく、出血することもある。仕上げ磨きの際、痛がる

   場合は、ブラシが強く当たらないよう配慮する。

    ・歯科でのフッ素塗布や、フッ素入りの歯磨き粉などを上手に使い、虫歯を予防する。

    ・歯の生え替わりの時期には個人差がある。他人と比べない。

このような場合には…

    ・ぐらつく歯が気になって触ってしまう低年齢の子。

        →触るなと言っても難しいので、口に雑菌が入らないように、触る場合には手を清潔にしてからと

            教えてあげると良い。

    ・乳歯が抜ける前に永久歯が出てきてしまった。

        →永久歯が斜めに生えないように処置が必要となる場合もある為、気付いたら早めに受診する。

生え始めの永久歯―必ず仕上げ磨き

   生え始めの歯は汚れが付着しやすく、虫歯に注意が必要となる。特に6歳臼歯は手前の歯の陰に

   なって見えづらく、磨きにくい。歯の生え替わる時期は、口の中の状態が大きく変わる為、8歳

   ぐらいまでは親が仕上げ磨きをしながら、口の中をチェックしてあげるのが良い。12歳臼歯が

   生え始める時期は、子供に磨き方をよく教える。デンタルフロスを使用するのもオススメ。生え

   始めの低い歯は、歯ブラシを斜め横から入れて、細かく動かして磨くと良い。 生えた歯が成熟し、

   安定するには5年程かかるとされており、虫歯予防の為にも、歯科でフッ素塗布をしてもらうのも

   有効である。

【感想・考察】

 歯の生え替わりの時期は、親や子供も歯に関して何かと気にかける一方で、子供本人に全て歯磨きを

   任せてしまうケースも多いように感じられます。私達としても何を、また、どのように伝えるか悩む

   ことも多かったので、今回の内容から指針となる情報を得ることが出来て良かったです。参考にして

   いけたらと思います。

                                 衛生士 河本

  2016/05/05   ふくだ歯科
タグ:小児

「小児の歯科保健指導に役立つ・生かす15の食育知識」について、勉強会で発表して

①食育は知育・徳育・体育の基礎

食育は、知育・徳育・体育のいずれにもつながるものであり、それらの基礎をなすというとらえ方が正しい。

 

②幼児期の食育 7つの目標

(1)食事のときにお腹がすくリズムになっている子ども

(2)食べたいもの、好きなものが徐々に増えている子ども

(3)上手に噛むことができる子ども

(4)親や周りの大人と一緒に食べたいと思える子ども

(5)食事づくり、準備にかかわる子ども

(6)食べ物を話題にする子ども

(7)年齢相応の食具が使え、食事のマナーが身についている子ども

 

③学童期・思春期の食育 5つの目標

■学童期~食の体験を深め、食の世界を広げよう~

(1)1日3回の食事や間食のリズムがもてる子ども

(2)食事のバランスや適量がわかる子ども

(3)家族や仲間と一緒に食事づくりや準備を楽しむ子ども

(4)自然と食べ物とのかかわり、地域と食べ物のかかわりに関心をもつ子ども

(5)自分の食生活を振り返り、評価し、改善できる子ども

■思春期~自分らしい食生活を実現し、健やかな食文化の担い手になろう~

(1)食べたい食事のイメージを描き、それを実現できる子ども

(2)一緒に食べる人を気遣い、楽しく食べることができる子ども

(3)食料の生産・流通から食卓までのプロセスがわかる子ども

(4)自分の身体の成長や体調の変化を知り、自分の身体を大切にする子ども

(5)食にかかわる活動を計画したり、積極的に参加したりすることができる子ども

 

④一番大切なのは楽しく食べる子どもを育てること

もっとも大切なことは、子どもたちが「がんばって食べる」ことで前述のような子ども像を実現させるということでなく、「楽しく食べる」ことで実現させるということ。

 

⑤食は五感すべてを同時に使う唯一の行為

食は5大栄養素(たんぱく質・脂質・糖質・ビタミン・ミネラル)という物質的なものだけでなく、五感に働きかける情報を与えてくれる。食からもたらされた五感情報を受け取った脳に、「心」「知識・スキル」「体の機能」のプログラムがつくられる。

 

⑥楽しく食べるために知っておきたい食欲の仕組み

子どもの食欲を決める最大の因子は、血液中ブドウ糖の濃度(血糖値)である。脳にある満腹中枢と摂食中枢が常にこの血糖値を測っていて、血糖値が下がってくると摂食中枢が感知して食欲をわかせる。食事をとって血糖値が上がると、満腹中枢が感知して食欲を抑制する。これが食欲の仕組みである。

 

⑦食事時に空腹になる血糖値のリズムをつくろう

 

⑧夕食を楽しく食べるためのおやつのとり方

子どもの血糖値を上げるのに必要なブドウ糖(デンプン)はほんの数グラムである。帰宅後(午後3時以降)の夕食前におやつを食べてしまうと、血糖値が上がり脳は食欲をなくしてしまう。

 

⑨「10分早起き・簡単お手伝い」で朝食が楽しくなる

朝、人は血糖値が低くなっているが、脳が目覚めていないと摂食中枢が働かないため食欲を感じない。起きてから朝食までの間に、脳が覚める働きかけが必要になる。そこで、10分だけ早起きをして子どもに食事づくりの手伝いをしてもらう。食事づくりは五感すべてを使うため、多くの刺激が脳に入り、脳は早く目覚める。こうすることで、朝食を食欲がある状態でおいしく食べることができる。

 

⑩早寝・早起き・楽しい朝ごはんで脳のエネルギーを

糖質は最大のエネルギー減でありながら、蓄えがきかないという特徴をもっている。そのため朝食をとらないと体を動かす元気がでず、思考力や集中力もなくなる。

 

⑪楽しく食べられる食事の時間は30

食欲が維持できるのは、食事を始めてからおよそ30分間である。「ゆっくり食べ」と「早食い」のどちらのケースでも、指導・改善は食べ始めの早い時間帯に具体的に行うのが効果的。適量の食事をよく噛んで、30分くらいで楽しくいただき満足する食習慣をつくっていく。

 

⑫食のプラス情報で食べ物が好きになる

子どもたちに好きな食べ物を増やしていくには、第1においしい食事を用意すること。色よく形よく、おいしく香りよく調理して、より上質の五感情報を子どもたちに与える食事をする。

第2に食事の雰囲気が大切である。子どもたちは食事をしながら、その場の雰囲気も目や耳から得て、五感情報に結びつけ一緒に記憶している。さらに、大人がおいしそうに食べることや、言葉かけ(おいしそう!など)もプラスの情報として重要である。

 

⑬楽しく食べて意欲的になる脳の仕組み

楽しく食べている子どもの脳では、脳内物質のβ-エンドロフィン(気持ちを楽しくしてくれる物質)とドーパミン(前向きな気持ちにしてくれる物質)が分泌される。食事を楽しく食べれば、その後、意欲的な時間を過ごすことができる。

 

⑭食のプロセスに関わることで食が好きになる

脳にある扁桃体という器官で、その食べ物が安心かどうかを判断基準として好き嫌いが判断されている。しかし、「子ども自身が生産から口に入るまでの食のプロセスに関わること」で扁桃体に安心情報が送られ、食べ物を受け入れることができるのである。

 

⑮口中調味を知って味の世界を広げる

日本では、ごはん、おかず、汁物を交互に食べる「三角食べ」が奨励されている「三角食べ」では、口の中で自分の好きな味をつくり出すことができ、これを「口中調味」という。ご飯にどんなおかずをどれくらい合わせるかによって、味の楽しみを無限に広げることができる。これも、食の楽しみの1つと言える。

 

《まとめ・感想》

朝食の欠食、栄養素摂取の偏り、肥満あるいは痩せの増加、上手に咀嚼できない子どもの増加など、子どもの食をめぐっては様々な問題があり、将来の健康への影響が心配されています。そこで、口腔の専門家である歯科衛生士には、口腔内だけでなく、口腔を通して子どもの健康な身体、心の成長に関わることが期待されています。今回のレポートをきっかけに、子どもの食育の基本的な考え方を学び、歯科衛生士としてできることから取り組んでいけたらなと思います。

                                                         衛生士 関口 

  2013/12/01   ふくだ歯科
タグ:小児