「なんとかしたい!口内炎」について、勉強会で発表して
食事、歯磨き、会話など、生活の質を下げる嫌な「口内炎」。口内炎は身近な存在で、NHKネット
クラブアンケートによると全女性回答者の7割が年に数回発症しており「ほぼ毎月」という方も少なく
ないとのこと。また、数日で治ることが多いため深刻に捉えられにくいものの「口内炎と思っていたら
ガンに移行しかねない怖い病気だった」ということもある。
口内炎はなぜ出来る?
口内炎とは「口の粘膜に起きた炎症」のこと。そして炎症を起こす原因はもともと口内にいる「細菌」
にある。この細菌は、健康なときは唾液が洗い流すなどして過剰な繁殖を防いでいるが、疲れや
ストレス、栄養不良などをキッカケに唾液量が減少したり免疫力が低下、口内炎が発症しやすくなる。
同時にこうした疲れやストレスは粘膜が荒れるキッカケになるほか、口内をかんでしまうことにより
粘膜に傷が発生。そこから細菌が侵入しようとすることで粘膜に炎症が発生。口内炎に至る。こうした
細菌が原因の白い口内炎を「アフタ性口内炎」といい、もっとも一般的な口内炎である。
アフタ性口内炎の予防法と対策
★唾液線マッサージ
あごの骨の裏と、耳たぶの前当たりを一緒にもむことで唾液の分泌を促す。
緊張時やストレスがあるとき、また眠る前などに行うとよい。
★うがい
予防なら水道水でのうがいを一日数回。
★水分補給
水やお茶をこまめに飲む。口内が乾燥すると細菌が増えやすくなるため。
★栄養と睡眠
口内炎は体調のバロメーター。出来たら休息を。
栄養はビタミンBが重要だがバランスよく食事から摂取を心がける。
口内炎薬の使い方
★薬の形状による使い分け
●口内炎が複数または広範囲→軟こうまたはスプレーがお勧め。
●一個または限定的→パッチ(貼る薬)がお勧め。
●口の奥のほうなど手で軟こうやパッチがつけにくいもの。→スプレーがお勧め。
●また痛くて触れない患部→スプレーがお勧め。
使いやすい形状を薬局の薬剤師と相談するとよい。
★塗り薬の塗り方
(1)口の中をすすぐ。
(2)患部周辺を拭いて水分をとる。拭くのは患部は痛いのでその周辺を拭く。
ティッシュは固いので脱脂綿がお勧め。
(3)綿棒に薬剤をとり、患部の周りから塗る。最後に覆うように白い部分も塗る。
(4)出来たら30分は飲食しない。眠る前などがお勧め。
口内炎と思ったら怖い病気だった!
数日で治る口内炎と思っていたら、もっと怖い病気だったということもあり得る。
●口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)
症状は赤い腫れ、ただれ。網状の白い模様が特徴。 出血や痛みも伴う。
原因はアレルギー、遺伝、自己免疫疾患、ストレスなどが関係すると考えられている。40~70代
の女性に多く発症し、ごくまれにガン化することがあるので早期発見し経過観察が必要。
●白板症(はくばんしょう)
症状は、口内の粘膜や舌が白くなります。
原因は喫煙やアルコール、物理的刺激など。
5~10%がガン化。 治療は小さい場合は切除。大きな場合は薬物治療が基本。
●紅板症(こうばんしょう)
症状は口内が赤く腫れる。
原因は白板症と同じ。50代以上に多い。
半数がガン化。 治療は小さい場合は切除。大きな場合は薬物治療が基本。
口角炎対策
●口角炎 ★主な原因は細菌、真菌、ウイルス。
★対策は保湿のためにワセリンを患部に塗り、体調を整え栄養をバランスよくとる。
★改善しない場合は医師を受診して原因に応じた薬を処方してもらう。
細菌・・・抗生物質
真菌・・・抗真菌薬
ウイルス・・・抗ウイルス薬
口角炎の意外な原因
●歯磨き粉、口紅、リップクリーム
★原因は含まれる成分に対するアレルギー反応。
★口紅やリップについては、長年使用してきたものが原因になることもある。
●対策は、
★歯磨き粉
歯磨き後の口のすすぎをしっかりやり、口角に拭き残しがないか確認する。
★口紅、リップクリーム
いつも使用しているものをやめてみる。
それで改善するようならその口紅やリップが原因の可能性がある。
【感想・考察】
私自身もたびたび口内炎に悩まされてきた為、大変参考になりました。確かに日々診療していく中で、
口内炎を患う患者さんは多く、「どうすれば良いですか」といった相談を受けることもあります。
免疫力と塗り薬のお話をさせて頂くことが多いですが、今回、うがいや水分補給で予防できることを
初めて知り、是非お伝えしていきたいなと思いました。また、口角炎に関しても、口紅など長年使用
してきたものが原因になることもあると知り、ただ疲れているんだとか乾燥しているんだなどと甘く
見ることがないよう、様々な可能性を考慮しながら診療に当たっていきたいと思いました。
衛生士 河本