スタッフレポート

キシリトール

「乳酸菌タブレットとキシリトールとの違い」について、勉強会で発表して

◎乳酸菌は、ミュータンス菌の増殖を抑制し、キシリトールは、酸を作るなどのミュータンス菌の活動

   を弱めるという違いがあります

 

キシリトール・・・ミュータンス菌が分解できないため、摂ることで菌による酸の産生が抑え

         られます。栄養源にもならないため、ミュータンス菌自体の活動も弱められます

乳酸菌・・・酸やバクテリオシン(類縁菌に対して抗菌活性をもつタンパク質やペプチド)を産生する

      ことによってミュータンス菌の増殖を抑制し、う蝕になりにくい口腔環境を作ると考えら

      れています。

 

乳酸菌タブレットの効果

① 風邪予防効果

  シールド乳酸菌(外部からの細菌を防御してくれる森永乳業が保有する乳酸菌)が入ったタブレット

  を摂ることで風邪予防効果があるタブレット。

② 歯周病や虫歯予防効果

  乳酸菌LS1の入ったタブレット。

  口の中の善玉菌や悪玉菌に働きかける事で、歯周病予防や虫歯予防に効果があります。

     乳酸菌LS1・・・口腔内の細菌に働きかける乳酸菌

     口腔内には100億を超える無数の細菌が住み着いています。

     この細菌は腸内フローラ同様、口腔内フローラを形成しています。口腔内にも善玉菌と悪玉菌が

     あり、悪玉菌が歯周病や虫歯を引き起こす原因になります。乳酸菌LS1はこの口腔内悪玉菌に働き

     かける事で悪玉菌を減少させ、善玉菌を優位にする乳酸菌です。

③ 口臭予防効果

     乳酸菌TI2711の入ったタブレット

     口腔内にいる悪玉菌の働きを抑え、悪玉菌が放つ有害物質を防ぐ効果があります。

 

 就寝前のブラッシング後に食べてもう蝕にならない?

 ブラッシングが十分にできていれば、就寝前のブラッシング後に乳酸菌タブレットを食べてもう蝕に

 ならないと考えられます。

 理由は、 

 ① 乳酸菌が作用するのは基本的にタブレットを舐めている間であり、長時間にわたって口腔内が酸性

   の状態にはならないから。

        デンタルプラーク形成過程で取り込まれた一部の乳酸菌は長くは生きられず、他の菌と相互作用

        しながら徐々に消滅していきます。すでに出来上がった口腔フローラに外から新たに乳酸菌が

        入ってきても、なかなか定着することはできません。

   ② 甘味料としてショ糖が使用されていないから

        ショ糖の代わりにキシリトールが使用されていることがほとんどです。

        そのため、就寝中にミュータンス菌や乳酸菌による酸産生が促進されることはありません。

     *ただし、乳酸菌タブレットのう蝕予防効果とう蝕発生リスクに関する研究はキシリトールに比べて

         歴史が浅く、症例数も多くありません。特に唾液緩衝能が低い症例における影響については、

         さらなる研究が必要と思われます

 

<感想>

乳酸菌タブレットの効果について詳しく知ることができました。

最近では乳酸菌に注目されたタブレットやサプリなどが販売されています。患者さんから聞かれること

もあるかもしれないので、最低限のことには答えられるように積極的に身の回りの情報について触れて

いきたいと思います。

                             衛生士 松本

  2019/03/27   ふくだ歯科

「マイナス1歳から始めるむし歯予防」仲井雪絵先生の講演会に参加して

* キシリトールとは?

・ 自然界に存在する天然素材甘味料

・ 唯一の5炭糖アルコール(構造的に乳酸に分解されにくい)

・ 砂糖と同程度の甘味

・ 砂糖の75%のカロリー

・ 人間の体内でも作られる(肝臓で生成)

・ インシュリンの誘発性はなし(つまり、血糖値に影響なし)

* キシリトールを食べたら?

     不溶性グルカン(EPS)を作らない

  →習慣的なキシリトール摂取によって、MS菌がエナメル質に付着しにくくなる

  →MS菌の定着を阻害する

・ キシリトールは、MS菌にのみ減少させる。

  他の口腔常在菌の構成に影響なし。

・ MS菌数減少には、5~10g必要。(4粒5.2g~8粒10.4g)

    仲井先生の推察 少量→不溶性グルカンの産生を抑制

            多量→不溶性グルカンの産生を抑制+菌の成長を抑制=菌数が減少

* むし歯菌の母子感染対策のゴール

    ① 予防→うつらない事に、こしたことはない

    ② 遅延→感染時期が遅いほど、後のう蝕発症は軽度

     キシリトールガムを母親が噛むとMS菌感染の時期を8.8ヶ月遅らせることができる

        2歳までは感染させない→その後のう蝕発症のコントロールがしやすい

* 妊娠中に摂取しても安全なキシリトール 2つの国際機関(FAO、WHO)の食品添加物専門家共同委

     員(JECFA)によると、「1日の許容摂取量について、キシリトールに関しては“特定せず”と定義」

     →キシリトールの消費に特別な制限は不要

* 母親の口の中について

    検査結果…キシリトールガムを噛んだ母親の2人に1人がう蝕ローリスク

         噛むのをやめてもキシリトールの効果はキャリーオーバーする

    「プライマリー・プライマリー・プリベンション」

  妊娠中から母親に働きかけると、子が健口になる!!!

〈感想・まとめ〉

 スタッフレベルアップ講習会に参加し、仲井雪絵先生の「マイナス1歳から始めるむし歯予防」講演

 を聞きました。 医院の待合室にも仲井先生の著書が置いてあり、興味を持たれる患者さんも多いと

 思います。そういった患者さんにも、知らなかった患者さんにも、適切なお話ができるようスタッフ

 全員で内容を理解しておく必要があると思いました。

                            歯科衛生士 関口

  2016/11/07   ふくだ歯科