スタッフレポート

2022年8月12日

岡山県歯科医師会医療安全研修会に参加して

新型コロナウイルス感染症に対して歯科医療ができること 

 

・新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)

目、鼻、喉、口腔などの粘膜にある受容体(ACE-2)を介入して侵入し増幅すると言われている。

歯周病などの口腔細菌は喉や口腔粘膜(舌)を保護している粘膜の糖たんぱく質を溶かす分解酵素を

出すためウイルスが受容体に吸着し侵入するのを手助けする

・口腔症状

最も一般的な口腔症状は味覚症害で有病率は45%。 口腔粘膜病変は白および紅斑性プラーク、不規則な

潰瘍、小さな水疱、点状出血、剥離性歯肉炎など。舌、口蓋、唇,歯肉、頬粘膜が影響を受ける。

軽度の症例では口腔粘膜病変は最初の呼吸器症状の前、または同時に発症する 味覚障害が多い理由

としては、舌背の糸状乳頭に新型コロナウイルスの受容体ACE-2が存在するため。歯周ポケットは

ウイルスにとって好ましい生息場所であり新型コロナウイルスの貯蔵庫として機能する可能性がある

ため貯蔵庫を破壊することが重要。

・新型コロナウイルス対策で見落としていた口腔バイオフィルムに由来する3つの重症化要因

① 唾液感染と歯肉出血(BOP)に由来する低酸素症

② 口腔バイオフィルムに由来する黄色ブドウ球菌のスーパー抗原(サイトカインストームの原因)

③ 口腔バイオフィルムに由来する炎症関連物質ガレクチン-3(Gal-3)の産生:(サイトカイン

ストーム、動脈硬化、糖尿病の原因)

口腔粘膜病変は(たぶん)貧血性低酸素症で起きると言われている

貧血性低酸素症:血液の酸素量が低下した状態のこと。

→パルスオキシメーターで計測できるためPCR検査を待つ必要はなく早期発見につながるため

今注目されている。

・感染症の3要因

病原体:歯科診療所でのPCR検査を実現(現在は診断までに75分)

環境:診療所での個人防護具、口腔外バキュームの使用、予約診療で待合の密を防ぐ

宿主:歯周治療による肺炎リスクの低下

殺菌剤CPC配合の製剤が新型コロナウイルスを99.9%不活化すると報告

塩化ベンザルコニウム(BKC 0.05%以上)

塩化ベンゼトニウム(BTC 0.05%以上)は新型コロナウイルスに対して有効と判断。

ガム・デンタルリンス(CPC+BKC)、ポピドンヨード、リステリン(クールミント) はドイツの実験で

新型コロナウイルスに対して極めて有効と報告された。

・糖尿病と並んで歯周病も新型コロナウイルスによる肺炎のリスクを上げている

新型コロナウイルスは口腔で増殖するので出血している歯周組織から血液中に侵入する可能性がある

歯周組織から細菌や内毒素(LPS)が血液中に拡散することにはすでに強いエビデンスがある

・新型コロナウイルスは免疫細胞が狂乱状態に陥って過剰に反応してしまうこと

(サイトカインストーム)

そのために普通ならば感染細胞だけ倒す免疫系が健全細胞まで倒してしまう

→血管の病変に繋がり肺炎を起こす

・重症化予防 サイトカインストーム(免疫暴走)を防ぐ

新型コロナウイルス感染症はサイトカインストーム、すなわち免疫暴走により重症化する。本来なら

免疫細胞がウイルスと闘うために作るサイトカインですが、制御不可能となって自分の細胞まで攻撃

してしまう現象のこと。このサイトカインストームを引き起こす物質の多くは歯周病菌に由来すると

考えられている。歯周病菌は炎症性サイトカインの産生を増強し、肺炎やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)

などの重症化に影響することがある。

 

感想

専門的な口腔清掃を行うことの大切さは理解していましたが、必要な歯科治療を行い咀嚼ができる

ようにするということも感染予防に重要ということがわかりました。歯科受診を控えている方も

少なくないように感じますがコロナ対策の一つに口腔ケアがとても重要ということをお伝えして

いきたいのと、自分自身もセルフケアをより徹底していきたいと思います。

                               衛生士 藤元   

  2022/08/12   ふくだ歯科