スタッフレポート

2019年4月

「オーラルフレイル~人間の老化は口の中から始まる~」について、勉強会で発表して

オーラルフレイルとは、口から食べ物をこぼす、ものがうまく飲み込めない、滑舌が悪くなる等と

いった軽微な衰えを見逃した場合、全身的な機能低下が進むこと。そして、これを予防することこそ、

健康寿命を延ばすことに繋がる。  

下の図は口腔機能と身体機能の衰えの過程を示したものだが、口の中の健康への意識の低下が全身の

機能低下に繋がることがわかる。           ※フレイル・・・虚弱      

[第一段階]社会性/心のフレイル期   健康       

      口の健康への意識が低下する。

      健康に関する情報等を得ようとする気持ちがなくなり、口腔内環境が悪化。歯周病など

      により歯を失う。社会へ参加する気持ちも薄れ、うつ傾向がみられることも。      

[第二段階]栄養面のフレイル期        

        口の中の些細なトラブルが多発。      

      歯を失うことにより、滑舌の低下や食べこぼし、わずかなむせや嚙めない食品が増加し、

                      食欲が低下。食べられる食品が限られてくることもある。      

[第三段階]身体面のフレイル期   虚弱    

              口の機能が衰え生活機能も低下。      

      咬合力や舌の運動力の低下、食べる量の低下によって、低栄養や代謝量の低下を招く。

                      ロコモティヴシンドローム(運動器症候群)やサルコペ二ア(加齢や疾患で筋肉量が減少)

                      になる。      

[第四段階]重度フレイル期    要介護   

        食べる機能の障害が起き、介護が必要な状態に。    

        摂食嚥下障害や咀嚼機能不全になり、フレイルや要介護に。

自分の歯に合った磨き方を習慣に  

    健康寿命を延ばすには、正しい歯磨き習慣をつけること。歯並びや歯肉の状態は人それぞれ。特に、

    中高年になると、歯茎が下がりプラークがたまりやすくなる。

    自分の口腔内 の状に合った歯ブラシや歯間ブラシのサイズ、歯ブラシの当て方、動かし方などを、

    歯科医院で教わり、日々の習慣にすることが重要なのだ。

 

感想  

年配の方だけでなく、若い世代の方にも知って頂きたい内容だと思った。口の 衰えが身体の衰えに

繋がる事を知り、患者さんの口腔内や身体の観察、問題の把握、清掃 や会話など、大事にしていこう

と思った。                   

                         衛生士 岡本

  2019/04/21   ふくだ歯科

「患者さんに合う歯ブラシの選び方」について、勉強会で発表して

・TYPE1 う蝕リスクが高い・補綴物が多い→ラウンド毛がオススメ

 しっかりと歯面に当たる面積があり、プラーク除去できるラウンド毛がオススメです。硬さに

 ついては、やわらかめの場合、プラーク除去率が低下しやすくなります。特に、唾液の分泌量が

 少なかったり、口呼吸している場合はプラークが硬くなりがちです。したがって、普通の硬さの

 タイプを選ぶか、やわらかめの場合はブラッシング時間を長めにすることが必要です。

  (製品例) DENT.MAXIMA MS /ルシェロ歯ブラシB

 

・TYPE2 歯周病リスクが高い・歯肉が腫れやすい→テーパード毛がオススメ

 毛先が細くなっているテーパード毛であれば、歯周ポケットに入りやすく、ポケット内のプラーク

 除去に向いています。ただし、ブラッシング圧が強いがために歯周ポケットに毛先が入り込みすぎる

 と歯肉に痛みがでるケースもあるので、ブラッシング圧に注意が必要です。歯肉が腫れて痛みがある

 場合、硬さはやわらかめがお勧めです。症状が改善したら、やわらかめからふつうの硬さに変更

 しましょう。この他、ブラシの動かし方が大きい場合、歯ブラシの挿入角度を間違えている場合、

 歯周ポケットがあまりない場合(1~2mm程度)、テーパード毛は不向きです  

 (製品例) DENT.EX systema44M/ルシェロ歯ブラシP

 

・TYPE3 妊娠中のつわりや嘔吐反射が強い→ヘッドが薄いタイプがオススメ

  口腔内は非常にデリケートです。特に、つわりや嘔吐反射が強い患者さんの場合、無理して開口

 しようとすると嘔吐しやすくなるので、あまり開口せずに磨いてもらいましょう。ヘッドが薄い

 タイプのほうが奥まで入れやすくなります。頬側は口を開けずに噛んだまま磨くと磨きやすいで

 しょう。

  (製品例)DENT MAXIMA S

 

 ・TYPE4 歯列不正→ヘッドの幅が小さいタイプがオススメ

 たとえば同じ3列植毛でも、製品によって歯ブラシのヘッドの幅は異なります。歯列不正の患者さん

 の場合、1歯ずつ磨けるような指導も大切ですが、ヘッドの幅が大きいと歯面に当たりにくくなる

 ので、ヘッドの幅が小さいものがお勧めです。

  (製品例)DENT MAXIMA S  

 

こんなときはどうしたらいいの?

1. かための歯ブラシで歯肉が傷ついている場合

 患者さんの中には、「かため」の歯ブラシがお好きで、どうしてもそれで磨きたいと言われることも

 あります。特に男性に多く、歯肉が退縮してエナメル質がすり減っている方もいらっしゃいます。

 できれば「ふつう」や「やわらかめ」の硬さに変更していただきたいのですが、どうしてもご理解いた

 だけない場合は、持ち方はペングリップにし、歯ブラシの動かし方が大きいと歯肉に傷が付きやすい

 ので、大きく動かさない、力を入れすぎないといった説明をしましょう。また、力の緩和が期待

 できるカーブネックの歯ブラシもお勧めです。

2. 大きい歯ブラシを使用したがる患者さん

  歯ブラシは、口を磨くわけではなく、歯を磨くものです。たとえ体格が大きいからといって、歯も

 大きいわけではありません。舌で下顎前歯部の一歯を触っていただき、歯の小ささを理解していた

 だきます。その小さな歯を1本ずつきれいに磨くわけですから、大きな歯ブラシでは小回りが利かず

 磨き残しが増えることをお伝えしましょう。

3. 市販の格安歯ブラシは効果はあるのか?

  安い物の中にも良いものはあるかとは思いますが、探し出すのは困難です。歯科専売品に比べて、

 耐久性や素材の質、毛先の形状などが大きく異なります。安価なものの多くは、毛先が乱れるのが

 早く、ラウンド毛やテーパード毛のように毛先がきれいにカットされていないものが多い傾向に

 あります。つまり磨いているのに磨けていない、歯肉にダメージを与える可能性がでてきます。

 ただし、患者さんがそれを気に入って使用している場合は、交換時期を1~2週間で交換するなど

 提案してみましょう。

※歯ブラシの交換目安は1ヶ月

 歯ブラシの使用日数が経過すると、毛先が広がり弾力性もなくなっていきます。当然、プラーク

 除去率が悪くなります。また。歯ブラシの毛や植毛部に細菌が繁殖し、菌のコントロールが困難に

 なってきます。劣化した歯ブラシを使い続けると、取り残したプラークがう蝕や歯周病の原因と

 なるだけでなく、毛先やヘッドに付着した細菌が繁殖するため、衛生上の観点からも良いとは

 言えません。

 

まとめ

 世間には、市販品・歯科専売品を問わずさまざまな歯ブラシが販売されており、その中から一般の方

 が自分に合ったものを探すことは難しいです。私たちは専門職として、それぞれの患者さんに合う

 歯ブラシを提案することが重要です。患者さんの口腔内や環境、性格などを考慮し提案出来るよう

 に、タイプ別のポイントを頭に入れておこうと思います。

                        衛生士 星島

  2019/04/07   ふくだ歯科
タグ:歯ブラシ