スタッフレポート

2019年2月

「ココがもっと知りたい」を解決!について、勉強会で発表して

Q1.磨きやすいはずの部位に磨き残しがある患者さんへの指導に悩んでいます。

A.磨きにくい部位への指導と同じように、ブラッシング時に意識してもらえるような声かけを

  しましょう。

  このような患者さんへの指導は、2つの方法が考えられます。1つ目は、「磨きにくいところ

  ですね」と声をかけることです。一般的には磨きやすいところでも、その患者さんにとっては

  磨きにくいところと考えて、同じ流れで指導します。さらに、患者さん自身に“磨きにくいところ

  なのだ”と認識してもらうことで、磨き忘れのないように注意を向けることもできます。

   また、利き手側の犬歯部など、磨きやすいはずなのに磨けていない部位は、患者さん自身は

  磨いてるつもりでも飛ばしてしまい、磨き忘れてることがあります。こういった部位では、

  2つ目の方法として「磨き忘れしやすいところですよね」「みなさん同じところをよく忘れる

  んですよ」と声をかけます。続けて、「まずここから磨くと、磨き忘れを防げますよ」や

  「全部磨き終わった後にもう一度ここを磨くようにするといいですよ」とアドバイスします。

     「ここから磨く」「もう一度磨く」というフレーズは下顎臼歯部舌側のように、磨きにくく、

  かつ磨き残しが多い箇所にも応用できます。

 

Q2.高齢患者さんへの指導時に「年のせいだから」と言われてしまい、指導に行き詰まっています。

 A.心を開いてもらうためにも、相手を認め、褒めることからはじめましょう。

   診療室に通えるお元気な方でも、その日の気分が意欲に大きく影響する可能性があります。

  どんなに素晴らしい指導も、相手に心を開いていただかない限り効果はありません。

  「年のせいだから」とおっしゃられる時には「今日はあまり気が乗らないのだ」と理解し、

  指導は控え、気分がいい時に行うようにしましょう。また、「長年こうしてきたから」と

  おっしゃる方には、「とてもきれいなお口を維持されていますね」とまずは現状を認めて

  褒めましょう。その声かけが相手の心を開くきっかけになると思います。

   声かけにおいて、もっとも意識する点は、「ゆっくり&はっきり」話すこと。言葉の理解が

  遅くなりがちな高齢患者さんに自分の言葉をしっかりと伝えましょう。

  また、お話しながら口腔機能を評価できる声かけをして、「毎日食事はおいしく召し上がって

  いらっしゃいますか?」(咀嚼機能の評価)「大好きな食べ物は何ですか?」(飲食できる食品の硬さ

  などの評価&咀嚼機能の評価)「おしゃべりがしにくいことなどありませんか?」(唾液量の評価)

  などがあります。プラークコントロールの評価にとどまらず、口腔全体の把握・評価・アドバイス

  ができるようになれば、患者さんにとっての健康サポーターになることができるでしょう。

 

Q3.開口量の少ない患者さんや嘔吐反射の強い患者さんの口腔内撮影は、どのようにしていますか?

A.原因を和らげる対応に加え、無理のない範囲で素早く撮影するようにしています。

   お口が大きく開けられない方の場合、生まれつき口角が進展できない場合と、顎関節症で開け

  られない場合に大きく分けられます。

   進展できない場合は、口角にワセリンなどの保湿剤を塗布後、スモールサイズのミラーを使用

  します。顎関節症の場合、顎二腹筋マッサージを行っています。顎二腹筋は舌骨と密接な関係に

  あり、マッサージにより舌や下顎の動きを和らげ、口を開けやすくします。どちらにせよ、無理の

  ない範囲で、できるだけ素早く撮影するようにしています。

  嘔吐反射の強い方に対しては、表面麻酔を塗布しています。また、「5分以内で素早く撮影する」

  のもポイントです。嘔吐反射の原因は、口蓋から出る粘稠性の唾液で、これは患者さん自身の

  「口の奥に何かを入れられたら気持ち悪い」という想像により分泌されます。一度イメージして

  しまうとたびたび出てきますので、想像する時間をできるだけ短くするためにも時間をかけずに

  撮影しましょう。それでも嘔吐反射が止まらない場合は、洗口液などで、一度口腔内の粘稠性唾液

  をリセットするとよいでしょう。

 

〈感想〉

最後の口腔内写真については印象採得にも応用できると思い、レポートにしました。どれも一度は

悩んだことがある内容ですが、今までは患者さんに不快感を与えないようどうにか対応してきました。

これからはレポートを参考に、なぜこう伝えるのか、なぜこれを行うのかを理解しながら患者さんと

接していきたいです。

                          衛生士 関口

  2019/02/27   ふくだ歯科

「歯科の感染対策非常識」について、勉強会で発表して

歯科でよくみられる感染対策の非常識

1.なんでもアルコールで拭く

2.どこでもグローブで触る

3.グローブやマスクを繰り返し使用している

4. 清潔域、不潔域の区別が曖昧

5.器具の滅菌・消毒が不十分

 

1.なんでもアルコールで拭く  

  アルコールは中水準消毒液であり、即効性があって消毒効果が得られるが、 タンパク質を固着

     させ、洗浄効果が期待できないといった欠点もある。

   接触感染の恐れのある場所の清掃方法  

 ・多量の血液による汚染がある場合→アルコールを使ってはいけない   

  まずはそれらをペーパータオル等で拭き取り、そのあと次亜塩素酸ナトリウム などの中水準消毒液

       で清拭すると効果的です。タンパク質が固着してしまうの で、アルコールの使用は不適切。

  ・血液等を拭き取ったあとの場合→アルコールを使ったほうがよい   

   アルコール等の消毒液による清拭が推奨されます。また、術者の手が触れる 箇所は、ラッピング

        を行う方法がより衛生的。  

  ・パソコンや机、手すりなど血液による汚染のない場合→アルコールを使う必要ない    

   人が手を触れる部分を意識して、環境用クロス(第4級アンモニウム塩、塩化 ベンザルコニ

         ウム)や界面活性剤などでの清掃で細菌数を減らすことが大切で す。アルコールを使わなくても

         十分。

   *一時的な拭き取りにのみアルコールを使用

 

2.どこでもグローブで触る

   感染経路の一つは医療従事者の手指。処置に使用したグローブを着用したまま不用 意に動き回った

      り、無意識に周辺環境に触れない。

   *「ユニットを離れたらグローブを外す」をルールに

 

3.グローブやマスクを繰り返し使用している

  グローブ:1患者ごとに交換し、外した際には再装着しない。グローブをする 前と後は必ず手指

                       消毒を行う。

     マスク:基本午前1枚、午後1枚で使い、外したら捨てる。  

  *一度外したグローブは再装着しないよう徹底

 

4. 清潔域、不潔域の区別が曖昧

   清潔域と不潔域を区別することで汚染リスクを回避することができる。

   *動線と器材の流れを考えてゾーニング

   *器材整理には清潔にしやすい材質を選択する

 

5.器具の滅菌・消毒が不十分

  標準予防策の原則に従って感染対策を行うことが必要。

     器具・器械の管理方法

    基本は⇒耐熱性のある器具:オートクレーブで滅菌   

    次は ⇒ディスポーザブル製品:ディスポーザブル製品がある場合はできるだけ ディスポー

                        ザブル製品を選択する

    どちらも無理なら⇒耐熱性のない器具:プラズマ滅菌                     

                                                                           薬液消毒(次亜塩素酸ナトリウムなど)

      *来院者数に応じて確実に滅菌を行う     

 

【感想】  

感染対策についてよく考えることができました。消毒用エタノールなどは過信して 使用していた点も

あったと思います。もういちどよく確認しながら対応していきた いです。

                             衛生士 赤木

  2019/02/11   ふくだ歯科
タグ:感染予防