スタッフレポート

2017年11月

プロービングについて、勉強会で発表して

プロービング深さと出血の有無、歯肉の感触

プロービング深さ…プロービング深さを正確に読み取ることは、プロービングの基本中の基本。

                                 プローブを正しくポッケト内に挿入できてこそ、正確なプロービング深さを計測

                                 できる。そのためには、①正しい把持②正しいレスト・挿入方向③根形態の把握

                                 が必要である。

出血の有無…プロービング深さと同じくらい重要なのが、BoPである。これによって、軟組織の炎症の

                      有無が把握できる。その日だけではなく、患者さんの日頃のプラークコントロールの

                      状態、歯肉縁下のバイオフィルムの有無を教えてくれる。同一部位のBoPを継続的に診る

                      ことで、その部位の将来的なリスクも把握できる。

歯肉の感触…プロービングの際には、プローブの先端で必ずポッケト底に触れる。歯肉の抵抗力がどの

                      くらいなのか、厚いのか薄いのかは、一人ひとり全く異なる。歯肉の感触を確かめること

                      で、炎症の程度など歯周病の病態を察することができる。

姿勢とレスト

姿勢…口腔内が見えるようにライトを入れる。施術しやすい高さに椅子を調整する。

           背筋が伸びている。

レスト…プロービングを行う際、レストは必ず置くようにする。プローブの操作は、先にレストを置い

              てから行う。口腔内・外、どちらでも構わない。レストを置くことで、プロービング圧が安定

              し、細かな動作がしやすくなり、歯肉の感触も伝わりやすくなる。レストを置かずにフリーハ

              ンドで操作してしまうと、歯周組織が傷つけてしまう可能性があり、術者にも負担がかかる。

お悩み1最後臼歯遠心にプローブがうまく入らない

① お口は小さめに開けてもらう

開口量が少ない方が、頬粘膜がよく伸び、ミラー操作がしやすく、術野を確保できる。

② プローブは水平に入れる

最後臼歯遠心をミラーでとらえたまま、プローブを持っていく。この時、プローブを水平にしたまま

最後臼歯遠心まで運ぶ。

③ 最後臼歯遠心に到達したら、プローブの先端を挿入方向に向ける

最後臼歯遠心までプローブを運んだら、プローブの先端を目的の部位に向ける。この時、軽い執筆状

変法で把持できていることがポイント。

④ プローブの屈曲を利用しながら挿入する

最後臼歯遠心にプローブを向けたら、プローブの屈曲を利用して、大臼歯の豊膨を避けるようにやや

プローブを遠心に傾けます。

お悩み2ミラー視がよくわからない

① 無理なく見える位置に調整する。

② ミラーを歯肉に当てないように操作する。

ミラー操作ひとつで、患者さんに術者の技量が伝わる。丁寧・上手だと感じていただけるか、雑・下手

だと感じさせてしまうかは、細かい操作によって差が出る。

③ 直視が難しい部位こそミラー視を

前歯部唇側や近心など、直視できる部位に関しては直視のほうが確実。口蓋側や舌側、遠心などは

ミラー視を行う。

プロービングを受け入れてもらうための気配り

☆事前説明の際は、患者さんによって伝え方を変える

プロービングによる検査の目的はもちろん、歯肉を触っていく検査であること、歯肉の状態によっては

痛みをともなう場合もあること、痛みがある場合には我慢せずお知らせいただきたいことを、事前に

きちんとお伝えする。自分がどのような伝え方したらその方にとって信頼と安心を感じていただける

のかを意識するようにする。

☆施術中の声掛けも忘れずに

施術中も、プローブ操作に没頭することなく、適宜声掛けをすることを忘れないようにする。お口を

開け閉めしていただいたり、お顔の向きを変えていただくなど、ご協力いただいた際には、お礼の言葉

を伝えるとよい。

☆歯肉・患者さんの様子によっては、圧を微調整する

歯肉の厚みや炎症の有無によって、丁寧に歯肉縁下を触っていくことが大切。「プロービング圧は20

~25g」という基本に忠実に従ったうえで、必ずプロービングを行う部位の歯肉の状態を確認し、

患者さんの表情や身体の強張りなどにも配慮し、場合によっては微調整しながら行う。

☆出血がみられる場合は、口をゆすぐ前に伝えておく

お口をゆすいでいただく前に、出血がある旨をお伝えしておくと、比較的スムーズに受け入れていた

だける。私たちにとっては当たり前のことでも、患者さんにとっては意外なこともあるので、気配り

が必要。

☆プロービングが終わってからのコミュニケーションも大切

術後にもしっかり声掛けすることを忘れない。患者さんにご自身の気づきを聞ける貴重なチャンスにも

なる。

〈まとめ〉

プロービングは、歯周組織の状態を把握するうえでとても重要な検査である。プロービングから得ら

れる情報をしっかりと読み取り、活かし、患者さんに理解していただき、歯周治療の成果へ繋げていき

たいと思う。

                                衛生士  関口

  2017/11/26   ふくだ歯科

フレイルティについて、勉強会で発表して

                                                フレイルティ

       ~高齢患者さんの要介護となる兆候を歯科医院でキャッチ&ストップ~

Part1 フレイルティを知っていいますか?

     フレイルティは、Friedらによって提唱された概念。

     高齢者の運動能力低下、転倒・骨折などのリスクを表現する用語。

   フレイルティの診断基準

     1.体重  1年で4.5kg以上減少

     2.疲労感 自己評価 (めんどう、始めることができない)

     3.活動量 1週間の生活活動量が、男性:383kcal未満、女性:270kcal未満

     4.歩行速度の低下 4.57mを歩く時間が ふつうでは4秒程度

     5.筋力低下 握力の低下

    もし、フレイルティの状態を放置したら・・・

      転倒が起きやすい

      サルコペ二ア(骨格筋減少症)が進行する

      認知症の発症

    フレイルティは「障害を抱えてしまうのを避ける」ラストチャンス!

      フレイルティは、転倒や疾患の発症によって障害を抱えてしまう前段階。

      フレイルティの特徴は、介入によりその進行を遅らせ、あるいは、状態を改 善できる

                      可能性がある、つまり、可逆性であると言われている。

Part2 フレイルティと咀嚼の関係

     咀嚼障害がフレイルティの悪循環の入り口となっている!

      口腔は栄養補給の第1ゲートだが、口腔の機能自体がフレイルティやサルコ ペ二アの状態

                      になる原因として考えられるのが咀嚼障害の問題である。

      咀嚼運動ができない状態で放置されている期間が長期にわたることで、口腔機能の虚弱化

                     が起こり、その結果、食事摂取が困難になって誤嚥性肺炎や低栄養となり、さらに全身と

                     口腔の虚弱化が進んでいくことが考えられる。

       フレイルティに有効なのは、咀嚼がきちんとできること

      口腔機能あるいは口腔周囲筋群において加齢や低栄養の影響を受けやすいのは、舌および

                      舌機能であると考えられる。歯科診療では、栄養指導とともに積極的な咀嚼治療が望ま

                      れ、また同時に舌機能を主体とした口腔機能改善へのアプローチも重要となる。

 Part3 来院する高齢患者さんのフレイルティに有効なのは歯科衛生士の“眼”と“手” フレイルティに

             気付く!

      来院ごとに患者さんのようすを記録に残しておくことで、経過が「見える化」でき、

                      ちょっとした変化や見るべきポイントをスタッフ間で共有することにつながる。

     フレイルティに対処する!

      *運動と栄養に関する生活習慣指導

       運動・・有酸素運動とレジスタンス運動の組み合わせが有効的。

           (ウォーキング、水泳)  (スクワット、ダンベル体操)

       栄養・・ビタミンDの補充と高タンパク食が推奨されている。

       *口腔の機能を低下させないための歯科的対応

       ➀まずは歯を守り、必要に応じて適切な補綴処置を

         歯を喪失しないための口腔ケアや保健指導、そして喪失歯に適切に補綴処置を行う

                                ための情報提供が大切。

       ②口腔内状況に応じた食事指導

         歯の喪失にともなって、食物繊維やビタミンの摂取量が減少する。

         義歯装着患者には、咀嚼能力を考慮した食形態を提案する。

       ③口腔機能を高める体操などで行動変容を促す

         頬のふくらましや舌運動といった口腔機能を高める体操などを、日ごろの生活に

         取り入れやすい方法で提案。          

【まとめ】   

  フレイルティの要因には様々な栄養状態に関する項目が含まれていて規則正しい 食生活を送ること

  で生活機能の維持管理をはかりQOLを高めることができる。

  口腔機能の低下は、低栄養そして身体機能へ悪影響を及ぼすことが、再認できた。

                              衛生士 赤木

  2017/11/05   ふくだ歯科