第5章 場面別話し方19の法則
◆ペーシングを意識しよう
ペーシング…速度を整えるの意
会話で、相手の話の速度、声の大きさ、表情などに合わせて話すこと。
このペーシングは、信頼関係を構築するテクニックともいわれていて、相手の呼吸、話すスピード、リズム、
トーンに自分のそれを合わせていくことで、親近感や安心感が強まる。
逆に、暗い声のトーンの患者さんに明るすぎる声で話しかけたり、ゆっくり話す患者さんに猛スピードで話
したりするのは危険である。
患者さんが求めるものとのギャップが大きければ大きいほど、患者さんに違和感を抱かせる。
◆リフレインを活用する
相手が言ったことをそのままリフレイン(繰り返し)することで、情報や感情を共有できる。情報や感情の
共有の上に共感が生まれる。
※すべてをリフレインしない
相手の話の中のキーワードや主な感情をリフレインする。
集中力を必要とするが、真剣に聞く姿勢や、感情を感じようとする姿勢は、患者さんを安心させ、
信頼感を生み、より深い関係が生まれる。
※なるべく他の言葉に言い換えない
特に英語や漢語に言い換えないように気をつける。
相手が使った言葉そのものをリフレインしていく。
◆リフレーミング(楽な気持ちになってもらう)も大事
リフレーミングとは、人の固定観念を変えて、自己肯定感と安定感を取り戻し、気持ちが楽になってもらう
ための援助である。
ex. 患者さん「こんなにひどいむし歯になっちゃって…」
先生×「こんなになるまで、よく放っておきましたね」
○「お忙しかったのですね。よく我慢なさいました。
今日来てくださって本当によかったです。もう大丈夫ですよ。」
柔軟性を持ち、プラスの側面に目を向ける習慣を持つと、リフレーミングができるようになる。
◆閉じた質問・開いた質問を使い分けよう
閉じた質問…「はい、いいえ」やひと言で答えられる質問。
話すのが苦手な人、話が長い人、要領を得ない話し方をする人に対しておすすめ。
開いた質問…答えるのに多くの言葉を必要とする質問。
歯科医院では閉じた質問の方が時間を短縮できる。また、一般的な患者さんは、開いた質問に答える
のは、難しいものと認識し、相手や状況に合わせて質問を使い分けることが双方のためである。
ex. 開いた質問「歯ブラシ以外で何を使っていますか?」
閉じた質問「デンタルフロスは使っていますか?」
◆肯定質問を増やそう
否定質問…相手の心を暗くする質問
「どうしてこんなふうなむし歯になってしまったのですか?」
「どうして治療をしなかったのですか?」
肯定質問…相手の心を明るくする質問
「むし歯をつくらないようにするためには、どんなことができそうですか?」
相手の話を否定する口ぐせは減らしていく
ex. いや、でも、しかし、てゆーか、
そうですかね~、そういってもね~、本当ですか? etc…
【感想】
私たちの行う動作、発する言葉、その一つ一つで患者さんは医院が信頼できるか否かを判断しようとして
います。つまり、私たちは患者さんとの信頼関係を構築する場面に常に立ち合っているということになります。
これまでミーティングで取り上げられていた敬語などの話し方の基本に加え、今回レポートした内容についても
正しいテクニックを身に付け、積極的に活用していきたいと思います。
衛生士 関口 敦代