1.医療安全とは
歯科医療行為を実施する過程で、患者や医療職従業員が不必要な危害やリスクにさらされないように
する理念であり、その実現のためには歯科医療事故の防止、医療情報の早期の発見、情報の共有等が
求められる。 医療安全の実現のためには、歯科医療事故の防止が重要となり、発生した歯科医療事故
の対応も再発防止とともに重要な課題となる。
2.歯科現場におけるトラブルの例
⑴歯科医療行為の過失
⑵歯科医院内での事故
⑶説明不足によるトラブル
⑷問題患者によるクレーム
3.トラブルを回避する為には
カルテ、画像、医療記録等、医療行為の痕跡を残しておくことが大切
(衛生士記録等も証拠として使用できる)
※医師の説明に対する患者の反応や表情、患者返答は言葉そのものの記載があると患者の承諾に真実味
が増すのでより効果的
Q&A
〈質問1〉
治療が終了して、歯科医院内の廊下や部屋の中で患者が転倒した場合に、歯科医院に法的責任は
あるか。
《回答1》
ご質問のような態様で転倒事故が発生した場合、その法的責任を検討するためにはあくまでも医療者に
患者の転倒自体が予測できるかどうか、予測できたとして、 転倒の発生機序を前提として、実際、有効
に防止することができるかどうか、との点について具体的に検討することになります。責任の有無の
判断はその検討結果によります。 歯科医院の敷地内に障害物がある場合、その障害物が本来存置される
べきでない場合はその存置自体が歯科医院側の過失になります。その結果、その存置を予測しない患者
が障害物が原因で転倒した場合は、歯科医院が責任を負担することになります。 但し患者が少しでも
注意していれば、その事故を回避できたとした場合は、いわゆる過失相殺の問題となります。すなわち
発生した損害の内、患者の過失の割合の分だけ全ての損害額から控除されることになります。
〈質問2〉
患者の暴言や理不尽な要求に対し、それを断った際に、裁判にかけるとか、 院長に訴えるなどと
言われた時、どう対処すればよいか。
《回答2》
患者が暴言を吐いたり理不尽な要求をした際には、当該患者をいわゆる問題患者と認定すべきです。
問題患者と認定されれば、最終的には診療契約の解除に持ち込みます。 それに対して患者が裁判に
かけるとか、院長に訴えるとの暴言を吐いたとしても全く恐れることはありません。そのような事態に
なることは実際にほとんどありませんし、仮に患者側が訴訟提起したとしても、患者側が勝訴する確率
は完全にゼロです。 むしろこのような患者に限って、逆に医院の方から積極的に診療契約の解除に持ち
込めば、患者はそのような事を全く想定していないわけですから、その効果は極めて有効となります。
感想
ふくだ歯科では、治療について院長からメリットデメリットを説明し承諾を得てから行っていますが、
患者さんの中には院長に対しては「わかりました」と返答したあとに、再度衛生士に対して「これって○○
ってこと?」と質問してこられ、勘違いをしていたり、理解をされていない事が分かる時もあります。
トラブルを防ぐ為にも、説明を受けている患者さんの様子をしっかり確認しフォロー出来るように
したいと思いました。
衛生士 星島