スタッフレポート

令和のカリオロジーダイジェストについて、勉強会で発表して

 歯周病菌&う蝕原因菌は厄介!~全身疾患に関する最新情報~

①慢性炎症に関する最新情報

歯周炎は歯周組織に持続的な炎症が引き起こされる慢性炎症性疾患であり、

・心血管疾患(虚血性心疾患・脳卒中)

・自己免疫疾患(関節リウマチ)

・神経疾患(アルツハイマー病・パーキンソン病)

・メタボリックシンドローム  (肥満・糖尿病・高血圧・脂質異常症)

・その他 (がん・誤嚥性肺炎・非アルコール性肺炎・潰瘍性大腸炎など)

  などが関連することが示されています。これらに共通するのが 持続的かつ慢性炎症をともなう疾患

  であるという点です。

口腔バイオフィルムと全身疾患を繋げる3つの経路

1、慢性炎症は歯周組織の炎症性物質(サイトカイン)が血流に乗って全身に運ばれ、全身の慢性炎症

  に影響を与える。

2,菌血症は歯周病菌やその代謝物などが血流に乗って全身に運ばれ全身の慢性炎症に影響を与える。

3,口腔細菌の嚥下は口腔細菌が飲み込まれて大腸に送られる。 口腔細菌叢にディスバイオ―シスを

  起こし全身の慢性炎症に影響を与える。  

瞬間湯沸かし器のような免疫細胞が引き起こす炎症増悪スパイラル

 免疫細胞は過去の感染を覚えており(免疫記憶)、同じ病原体に再感染した場合には、より速く強い

 免疫反応を引き起こします。 これまで抗体による獲得免疫だけの機能であると 考えられてきたが、

 最近の研究により、 慢性炎症が体内のどこかに存在する場合、マクロファージや好中球など、もと

 もと体に備わっている免疫細胞にも感染の記憶が 刻まれ、次に起こる感染に対してより強力に反応

 するようになることが明らかになっています。 このように即座に過剰に反応する瞬間湯沸かし器の

 ような免疫細胞は全身すべての慢性炎症を悪化させます。これが歯周病と全身疾患をつなぐ重要な

 はたらきを担っているのです。

②口腔細菌叢と脳の関係

 Pg菌の感染がアルツハイマー病を悪化させる。

 アルツハイマー病は認知症の原因として最も多い疾患で 80歳以上では20%以上がアルツハイマー

 型認知症と 言われています。

 アルツハイマー病の原因は未だに明らかになっていませんが

① アミロイドベータ(Aβ)の蓄積

②タウ(tau)タンパク質の過剰なリン酸化と変性に伴う凝集

③神経細胞の障害

④酸化ストレス など様々な仮説が提唱されています。

 ディスバイオーシスに傾いた口腔細菌叢に存在する病原菌やその構成物質が 脳へ直接作用する

 メカニズムの仮説については歯周病菌であるpg菌の 根拠となっています。また、アルツハイマー病

 患者の脳からpg菌の強力な毒性物質であるジンジパインとよばれるタンパク質分解酵素が検出されて

 おり、その検査量が多いほど、変性したTauタンパク質量が 多いという相関が示されています。

まとめ

全身疾患についても学ぶことができ自分の中でも歯周病全身疾患の関係をより詳しく知ることができ

ました。 歯周病が全身疾患に関与していくことを知らない方も患者さんの中にはいるかもしれないので

気になる方や伝えたほうがいい方にはこの内容を分かりやすく伝えていけたらと思います。

                    衛生士 岡崎

  2024/07/21   ふくだ歯科