スタッフレポート

「本当に害が少ない?加熱式タバコの実態」について、勉強会で発表して

近年、新しいタイプのタバコ製品群(いわゆる“新型タバコ”)の開発・販売が拡大し、非喫煙者においては

実態が把握しにくい状況です。新型タバコには、各種フレーバー入りの液体を加熱してエアロゾルを

発生させ吸引する「電子タバコ」と、電気的にタバコの葉を加熱したエアロゾルを吸う「加熱式

タバコ」があります。今回は、なかでも注目を浴びている加熱式タバコについて、その特徴や健康被害

などの問題を解説します。

さて、加熱式タバコは、紙巻タバコと比べクリーンで健康に悪くなさそうなイメージがあると思い

ます。それは、おそらく比較的副流煙が少なくヤニ臭さも少ないと広告・宣伝されているからで

しょう。では、本当に加熱式タバコは人体に安全なのでしょうか?

加熱式タバコから発生する有害科学物質に関する情報は、製造・販売元であるタバコ産業からのものが

多いのですが、それらは有害成分の低下が主張されています。たしかに、有害化学物質の発生量は紙巻

タバコに比べれば少ない製品が多いですが、発生する化学物質の種類は大差なく、有害性が比較的低い

科学物質も含めた総重量としても大差ありません。さらに、濃度は低いものの多種類の発がん化学物質

も発生します。

紙巻タバコの喫煙者が加熱式タバコに切り替えたことで「自分は禁煙した」と誤解しているケースが

報告させています。加熱式タバコは、紙巻タバコと異なり、パッケージにニコチンやタールの量は表示

されていません。ですから、ニコチンがどのくらい含まれているかが消費者に伝わりにくいのです。

分析では、いずれの製品も依存性の高いニコチンを相当量吸引することが可能であり、喫煙継続に

つながると考えられます。

これまで家庭内などのベランダや換気扇の下で紙巻タバコを吸っていた人が、屋内で子どもを含む家族

の前で加熱式タバコを使用するケースの増加も報告されています。しかし、加熱式タバコの受動喫煙が

健康へ悪影響を及ぼさないとの確認はされていません。使用者周辺での気道刺激や不快感を含む自覚

症状の訴えは報告されています。受動喫煙曝露を防ぐために、加熱式タバコも従来のタバコ同様の対策

が必要です。

加熱式タバコや電子タバコの使用による歯科領域への影響は、いま現在エビデンスが十分に得られて

いるとはいえません。しかし周知のとおり喫煙そのものは、口腔衛生関連においてもさまざまな悪影響

を引き起こします。口腔・咽頭がん、歯周病、う蝕、歯の早期喪失、インプラントの失敗、歯肉の

メラニン色素沈着、口臭などを引き起こすことが、疫学的に証明あるいは可能性があるとされて

います。歯科は、比較的若年のうちから継続的に繰り返し患者さんを診る機会があり、さらに、口腔は

悪影響を直接本人も一緒に観察することができる部位です。ですから、歯科で患者さんの喫煙状況を

把握し、禁煙の動機付け支援や禁煙外来の紹介・誘導などといった継続した介入・指導が求められ

ます。

 

〈感想〉

加熱式タバコに対して「害が少ない」「禁煙の第一歩」というイメージがありましたので、今回の

レポートでは初めて知ることが多くありました。同じようなイメージを持っている方はたくさん

いると思います。患者さんだけでなく、自分の周りの方にも正しい情報を伝えていきたいです。

                               衛生士  関口

  2019/12/15   ふくだ歯科
タグ:喫煙