◎関節リウマチについて
関節リウマチとは、免疫異常により関節に腫れや痛みをともなう炎症が起こる病気です。
30~50歳代の女性に多く認められます。
(症状)
起床時における関節のこわばりや関節の痛み・腫れがあり、進行すると関節の変形や手足の運動が
制限され、機能障害が起きます。
◎歯周病と関節リウマチの関連
関節リウマチ患者はより歯周病(歯周炎)にかかりやすく、特に口の中を不潔にしているリウマチ
患者は、歯周病が重症化します。
関節リウマチと歯周病には双方向性の関係が示されています。
関節リウマチがあると歯周病がさらに進行する理由は、手指関節の障害による不十分な歯磨き
(プラークコントロール)、リウマチ薬により感染しやすくなることなどが考えられます。
歯周病があると関節リウマチがより進行する理由は、Pg菌のもつ酵素(シトルリン化変換酵素)に
より、リウマチに関連する自己抗体(シトルリン化タンパク)が増えるためと推定されています。
◎歯周病・関節リウマチ患者さんに対する歯科医師・歯科衛生士の役割 両疾患が併発している患者
さんに対して、リウマチ治療ばかりでなく歯周治療・口腔ケアを行うことが重要です。
臨床現場において歯科医師が行うことは、
① リウマチ専門医と相談して、リウマチの状態や使用薬物等を把握する
② リウマチと歯周病の関係と通院の必要性を患者さんに説明し、両疾患の原因・リスク因子をできる
限り排除する
③ リウマチ症状により口腔清掃が不十分な場合は、電動・音波歯ブラシや洗口剤の使用を行う
歯科衛生士は
① 患者一人ひとりに合わせた、無理のない口腔衛生指導を行う
② 両疾患のリスク因子おもに生活習慣指導を本人および可能なら家族とも連絡を取って根気強く
指導する
③ リウマチの特徴的な関節症状や心理状況(孤独感・疲労感)を配慮して精神的サポートを行う
歯周病・関節リウマチ患者に対する歯科医師・歯科衛生士の役割
1. 口腔衛生指導 口腔清掃の指導、洗口剤の導入
2. 口腔乾燥症対策 保湿剤の導入、唾液腺・咀嚼の刺激
3. 生活指導 歯周病リスクの排除 リウマチリスクの排除
<感想>
今まで歯周病と糖尿病の関連については勉強してきましたが、今回関節リウマチとの関連について
学ぶことができました。実際に、関節リウマチの患者さんが「手が痛くて歯ブラシを持つのも辛い」
と言われていました。関節リウマチの症状をきちんと理解し、無理のない指導をしながらしっかり
とサポートしていかなければならないと思いました。
衛生士 松本