唾液はとっても働きもの
唾液は、1日に1~1.5ℓも分泌されるといわれています。唾液にはさまざまな働きがあり、お口や歯を
はじめ、私たちの身体全体を守っています。
① 潤滑作用…歯茎や舌などの粘膜を保護して傷づかないようにする
② 消化作用…食べ物に含まれるデンプンを糖に変える
③ 歯の保護作用
④ 粘膜修復作用
⑤ 洗浄作用…食べかすを洗い流してお口に残るのを防ぐ
⑥ 緩衝作用…お口の中のpHを正常に保って歯が溶けるのを防ぐ
⑦ 抗菌作用
唾液が減るとどうなる?
水がないと食べ物が食べられない
口の中がカラカラする
話しづらい
口唇が乾く
水を常に持ち歩く
口唇や口角が切れやすい
口内炎ができやすい
夜中に起きてしまう(水を飲む、トイレに行く)
よく飴をなめる
口の中がネバネバする 左に示すような異変は口腔乾燥のサインです。
目も乾く これを日常的に感じるようでしたら、一度
舌が乾燥している 専門医を受診することをおすすめします。
舌に溝がある
● う蝕や歯周疾患のリスクが高くなる
● 味覚障害を引き起こすことがある
● 口臭が強くなることがある
● 口腔カンジダ症が起こることがある
これらはドライマウスによって引き起こされるトラブルです。こうした身体的な影響の他に、会話
困難感、咀嚼困難感、嚥下困難感などがあると、友人との外食などを避けて閉じこもりがちになる
など、心理的な影響も出てきます。唾液量の減少は、QOLが著しく低下する一因にもなってしまう
のです。
どうして唾液が減るのか?
唾液は、自律神経からの指令が唾液腺に伝わり、血液を元につくられます。ですから、唾液が少なく
なる原因は、自律神経の問題、唾液腺の問題、血液の量の問題などさまざまで、1つだけではない場合
もあります。薬の副作用でお口の渇き(口渇)がみられる場合もありますので、医科の主治医に相談して
ください。
・唾液腺の損傷…シェーグレン症候群、口腔など唾液腺に近い部位の悪性腫瘍への放射線治療、唾液腺
の疾患(唾液腺腫瘍、唾石症)など
・ 自律神経の乱れ…ストレス、精神疾患、更年期障害など
・ 自律神経から唾液腺への指令の障害…薬の副作用(精神安定剤、解熱鎮痛剤、咳痰鼻水を抑える薬、
高血圧症の薬など多数)
・ 血液の運搬の障害/血液や体液の減少…糖尿病、甲状腺機能障害、腎疾患、脂質異常症などの代謝性
疾患、薬の副作用(利尿薬、カルシウム拮抗薬)、脱水
唾液が減るのはどんな人?
口腔乾燥症の患者さんには圧倒的に女性が多く、約8割を占めています。女性は45~55歳頃に女性
ホルモンが減少するため、閉経し、更年期を迎えます。この女性ホルモンの減少が口腔乾燥症と関連
しているといわれています。
高齢になると、高血圧、脂質異常症、不眠症、頻尿などさまざまな病気を抱える方が増えます。それら
の治療薬の副作用や、糖尿病や甲状腺疾患などの病気そのものによって口の渇き(口渇)が引き起こされ
るため、お口の乾燥を訴える方が多くなります。
さらに最近では、若年層にもストレスが原因のお口の乾燥がみられるようになってきています。
唾液腺を刺激して唾液量UP!
唾液腺は、筋肉のように使わないと衰えて、唾液の分泌機能が低下してしまいます。その予防には唾液
腺の刺激が有効です。よく噛んで食べるなどお口の中を刺激すると唾液腺も刺激されます。また、噛む
刺激は自律神経にも伝わり、それが唾液分泌の指令を出すことにもつながります。唾液腺を直接刺激
するには唾液腺マッサージが有効で、食事の前に行うと効果があるといわれています。そのほかにも
唾液の分泌をうながすために日常生活でできることはたくさんあります。
よく噛んで食べる、シュガーレスガムを噛む、規則正しい生活、加湿器をつける、口呼吸を鼻呼吸に、
マスクをして寝る、お酒はほどほどに、コーヒー・紅茶は控えめに
〈感想・まとめ〉
唾液の量が減っている患者さんは、う蝕になりやすかったり、歯周疾患が増悪しやすかったりします
ので、定期的に歯科受診してもらうことがとても大切です。また、治療中は口唇や口角が切れたり、
舌や頬粘膜などが口腔内に張りつくことがありますので、注意しながら治療を受けに行きたくなる歯科
医院を目指していきたいです。
衛生士 関口