歯科衛生士は患者様への正しい情報提供と的確なプラーク除去による炎症の軽減、消退を目標として
治療初期からメンテナンスまで患者様と接する時間と期間が最も長いスタッフです。また歯周病治療
は患者様の生活背景を考慮することでより効果を上げ成功に導くことができる。それだけに患者様との
距離が近い歯科衛生士の役割は重要と考える。
歯科衛生士過程とは
歯科衛生士が対象者(患者や健康な人々)の問題を科学的な思考をもって解決するための 一連の行動の
事である。 対象者への歯科衛生士による介入は、科学的根拠に基づいた技術や知識を十分に反映させた
ものでなくてはならない。今後歯科衛生士には専門家として対象者ごとの異なる ニーズに応えることが
ますます求められる。
歯科衛生過程を用いる目的
歯科衛生過程を用いる目的は一人ひとりの対象者にとって本当に必要な歯科衛生介入を考え対象者に
関わる医療従事者全員で情報を共有し適切な歯科衛生介入を継続して行うことである。
歯科衛生過程
5つのプロセス+書面化
① 歯科衛生アセスメント(情報収集・情報処理)
主観的情報と客観的情報とにわけての情報の整理
主観的情報→患者の主訴、思っていることや感じていることなど
客観的情報→X写真や歯周病検査 唾液検査などからわかるもの
歯科衛生アセスメントは1回だけではなく、対象者の状態の変化に応じて繰り返し行い 情報を蓄積する
ことが大切。その際にはほかの医療従事者と情報を共有するためにも 正確な記録を残すことも忘れては
ならない。
② 歯科衛生診断(問題の明確化)
主観的情報と客観的情報から歯科衛生士的に対象者が抱える問題と原因を明らかにする。
③ 歯科衛生士計画立案(優先順位の決定・目標の設定・歯科衛生士介入方法の決定)
計画立案は対象者の意思を尊重することが大切。
・優先順位の決定→重要性と緊急性、問題の過程、利用できる手段によって 対象者とともに考え決定
する。
・目標の設定 →達成しやすいいくつかの短期目標と長期目標を設定。
短期目標を達成していくと長期目標が達成できるようになる。
・歯科衛生介入方法の決定→歯科衛生士が問題解決のために行う行動について計画を立てる
▼ケア計画(直接行う行為)
カウンセリング、スケーリング、フッ化物応用など
▼教育計画
ブラッシング指導 食生活指導など
▼観察計画
状態がどう変化するかどのように変化したかを観察する計画。
④ 歯科衛生士介入(治療)
立案された歯科衛生士計画のしたっがて実際に歯科衛生士が行うこと
⑤ 評価(プロセスと結果の評価)
歯科衛生士が介入して、対象者がどう変化したか効果が上がったかを判断。
歯科衛生士診断の妥当性、歯科衛生士計画のよし悪し、歯科衛生士としての関わりや介入が適切だった
かを振り返り評価。その結果問題が解消したかしなかったとすればその原因は何かなど計画を見直し
修正することも含む。
⑥ 書面化
すべてのプロセスにおいて歯科衛生士の批判的思考(クリティカルシンキング)ならびに歯科衛生士と
対象者の意思決定が重要。
まとめ
今回のセミナーで歯科衛生士過程についてのお話しを聞かせていただきました。
一人ひとりの患者様と関わる中で自分がこれだけのことを考え行動にできているかどうかをあらためて
考えることができました。丸尾先生は歯科衛生過程で忘れてはいけない事は 患者様の歯周病を見るので
はなく歯周病をもった一人の人間として見ることと言われていました。どうしても口腔内ばかりに目が
いきがちですが患者様の生活背景や性格などもきちんと理解したうえで歯周病治療を進めていくことが
大切だと思いました。
歯科衛生士 加藤礼子