スタッフレポート

ガムマッサージ導入法のDVDをみて

ガムマッサージ デンティスト・ハイジニストコース 理論編

歯科医院で行われている歯茎マッサージ

 6~7年前から話題に。

  歯茎の黒ずみは歯肉の血流不足が原因

  歯茎マッサージ→血行が良くなる

口の働き

・咀嚼:食物を噛み切り、砕く

・嚥下:食物や飲み物を飲みこむ

・呼吸:息をする

・発声:声を出し、喋る

・表現:怒り・悲しみ・喜びを表す

・道具:咬む・舐める・吸う

・感覚:味覚・触覚・温感

・消化:唾液分泌

  一つの器官がこんなに役割を果たすのは他に見ない

 歯茎のマッサージは歯周病の予防、歯茎の色を改善する、

  口臭を改善するだけでなく、癒しの効果も期待できる

抜群の癒し効果

・口は、食物の最初の入り口

・体に害があるか否か、選別する器官→食べるか食べないか吐き出すか

・人体の中で、非常に敏感な器官

・人類の歴史を通して、あらゆる民族・国民に共通の習慣→キスというもの

・相手に委ね、心まで通い合わせる事ができる (言葉を話す)

  だからこそ癒される

医療現場での効果

☆ベビーマッサージ

    ・脳の発育を促進

    ・運動機能をアップ

    ・赤ちゃんのストレスを緩和

☆タクティールケア

    ・認知症や末期癌の方の痛みや不安を和らげる方法としてスウェーデンで生まれたケア手法

     →看護士が直接赤ちゃんに触れてあげることによってご機嫌が良くなる、良く笑う

       …ケアに有効ということで始まった手法

     →他の人に触れられることで非常に心が安らぐ

        →ガムマッサージも直接的なふれあいの手技

ガムマッサージは世界の潮流

 パリ…お口のマッサージ→歯科医院ではなくエステのサロン…新しい分野のマッサージ

    需給バランスの崩れ→需要(患者)が減ってきて供給(歯科医院)が増えている

    歯科医院のイメージ…痛い、高い、怖い→気持ちいいんですよ、美容にもいいんですよ

大きな美容効果

    年齢を重ねると…深いほうれい線、マリオネットライン(唇の端に縦に伸びるシワ)、唇の上下に

    シワ …筋肉の衰え →筋肉の張りを取り戻す…美容効果を生む

医療行為と医療ではない行為

・「虫歯があります」は、診断行為

・「炎症があります」も、診断行為

・「入れ歯を入れなければいけません」も、診断行為

      …一般の方はこうした表現をしてはいけない

・「穴があいてますよ」

・「少し血が滲みますね」

・「奥に歯が無いと良く物が噛めないでしょう」

これらは、実態の表現で診断行為では、ない。

表現の仕方で違ってくる

ガムマッサージの位置づけ

・医療行為;医療法において、国家資格を持った者だけが行う事ができる治療

        医師・歯科医師・看護士・歯科衛生士

・医療類似行為;医師、歯科医師免許を持つ者が行う医療行為以外の治療で、 国家資格を持って施術

                             可能な技術

                             按摩・柔道整復・鍼灸・指圧

・民間療法;医療類似行為の領域を侵さない範囲で施術が認められている技術

       タイ式マッサージ・リンパマッサージ・カイロプラティック、リフレクソロジー

日本歯科医師会の見解

    歯磨きサロンについて

    重度の歯周病でない限り、人の歯を磨くことは医療行為ではない

私達が、国民の健康に寄与できる方法

    患者さんが少ない…潜在需要の掘り起こしの努力をしていないから

    ・なぜ虫歯や歯周病があっても歯科医院に行かずに放置するのか?

    ・治療せずに放置するとどうなるのか?

        あらゆる疾病は重症化しなければ医療費はかからない

    ・個人だけの問題ではない

    ・ガムマッサージが医療費を削減する

        →啓蒙の努力をしていない

正しい知識の裏付けをもって、ガムマッサージを実践しましょう!

・見様見まねの危なさ

・口腔は、複雑な器官である

・唾液から血液も、感染の媒体である

歯式…右上10番台、左上20番台、左下30番台、右下40番台

触ってはいけない歯茎(ガムマッサージを行えないもの)

    重度の歯周病

    ・全ての歯の歯頸部に炎症があり、部分的に腫れている

    ・炎症部位を圧迫すると出血し、痛みを訴える

    ・排膿を伴う場合がある

    細菌感染を起こして「ガムマッサージをやったからひどくなった」などと言われてはいけない

    スケーリング・ルートプレーニングなど一連の歯周病の治療を受けて健康になってからやって差し

    上げる

    更に重度の歯周病

        根尖病巣ができてしまっている→フィステル、排膿

        ・指で触れるとぶよぶよとした感触

        ・押すと膿が出てくる

    フィステル(漏孔)→根尖病巣・根分岐部病変…根管治療をして治してからガムマッサージに

                                        移行する

    白板症・口腔カンジタ症→きちんと治してから行う

    口唇ヘルペス→触ってしまうと他へ飛んでしまうので触らない

    歯を抜いたばかりの歯茎→「マッサージをしたらまた腫れた」と言われる可能性がある

                                                 治ってから行う(1か月くらいしてからで良い)

    インプラントの手術をしたばかりの歯茎…「マッサージをしたら腫れた」と言われる可能性がある

                                                                          ちゃんと上部構造が入ってから行う

    インプラントのアバット…ちゃんと上部構造が入ってから行う

    強い嘔吐反射がある方

    ・嘔吐反射は、特に舌側が強い

    ・口蓋の咽頭に近い部分も、強い

    ・頬側は、ほとんど無い

    ・舌側は、5番の遠心側より奥に入れない

    ・少しでも嘔吐反射がある場合、舌側のマッサージは、行わない

    ・ヒーリング効果が妨げられる場合、舌側は行わない→大きく口を開けないといけない為

    基本的に舌側は行わないという考え方で良い(頬側だけ行うというスタンス)

    口腔内の粘膜に口内炎や傷がある方

    ・アフタ

    ・咬傷や火傷

    ・磨きすぎによる擦過傷

    ・欠けた歯や尖った充填物や補綴物の縁による褥創性潰瘍

    鼻づまりの方

    ・口を塞がれることによって、息ができなくなる方

    咽頭痛がある方

    ・風邪をひいている方は、避けましょう

    唇が荒れている方

    ・口角炎

    ・乾燥によるひび割れ

    口唇を引っ張ったりすることによって出血してしまうことが考えられるので止めておいた方が良い

触って良いか否か、紛らわしい歯茎

    骨瘤(舌側・頬側・口蓋側〔口蓋隆起〕)→行って良い

    ・隆起した瘤状の骨であり、膨らんでいるが触れると硬い

    ・舌側にも頬側にもできるが、病的なものではない

    ・あまり強く圧迫すると痛みを感ずることがあるので注意…粘膜が薄い為、優しく行う

    舌苔・歯痕舌(シコンゼツ)→行って良い(舌は触らないので問題ない)

    入れ歯を入れたままの歯茎(総義歯・部分床義歯)→行えない(取って頂く)

    入れ歯を取った歯茎(総義歯・部分床義歯)→行って良い

    ・総義歯も部分床義歯も入れ歯を外した状態で歯茎に炎症が無ければマッサージの対象となる

    ・普段、入れ歯によって歯茎が圧迫されているため、マッサージによるヒーリング効果は高いと

        思われる

【感想・考察】

ガムマッサージは自分ではほとんど扱ったことのない分野だったこともあり、大変勉強になりました。

今まで自分としては簡単に取り入れやすいものという印象だったのですが、レポートするにあたり、

やはり正しい知識と裏付けに基づかなければ自信をもって取り組むことは出来ませんし、何となく

行ってしまうならガムマッサージに限らず何事も危険となり得るのだと改めて再認識できました。

このDVDでは、理論から方法に至るまでひとつひとつ丁寧に説明されていて分かりやすかった

ですし、「触ってはいけない歯茎」や「触って良いか否か、紛らわしい歯茎」など知らなかったことも

多く、興味深く拝見する事ができました。今後に役立てていけそうだと感じました。

                                                                                                                   衛生士 河本

  2016/02/07   ふくだ歯科