スタッフレポート

「フィッシャーシーラントで効果的にう蝕を防ごう」について、勉強会で発表して

う蝕予防効果が期待できるフィッシャーシーラント。

昨今の製品には様々の機能が付加され、さらには、簡便なものと進化してきています。

今回のレポートでは、注目したい機能についてまとめました。

 

機能1 再石灰化&歯質強化を狙ったフッ素のリリース&リチャージ機能

現在主流のシーラントには、フッ素のリリースとリチャージ機能があります。

これにより再石灰化および歯質強化が期待できます。

シーラントを填塞すると、シーラントが水溶液や唾液に触れてフッ素が徐放(リリース)されます。

つまり処置した歯にフッ素が供給されるわけです。

その後もフッ素は徐放され続けますが、経時的に減少していきます。

しかし、填塞されたシーラントの中に、再びフッ素を取り込むことができます。

それがリチャージです。 ではどうすればリチャージできるのでしょうか。

それは私たちが日常的に行っているフッ化物歯面塗布です。

シーラントを9000ppmのフッ化ナトリウム溶液に3分間触れさせておくと、最初に徐放された量と

ほとんど同量のフッ素がシーラント中に取り込まれ、再び徐放し始めます。

つまり定期健診時に塗布したフッ素の効果を、シーラントによって長く持たせることができるのです。

機能2 イオン放出による酸緩衝能

プラークのpHが5.5以下になるとエナメル質が脱灰するため、プラークpHを5.5以上にコントロールする

ことがう蝕予防では重要です。シーラントはこの部分でも期待できます。

多種類のイオンを放出してシーラント周囲のpHを中性に誘導する作用(酸緩衝能)が、昨今のシーラント

にはあります。

機能3 簡便性

シーラントとエナメル質の接着メカニズムは、主としてエナメル質表面の酸処理による物理的接着に

よるものです。歯面処理にはリン酸が用いられてきました。

しかし現在では、セルフエッチングプライマーや1液性ボンディング材、あるいは歯面処理を不要と

するものまでが登場しています。

これによって時間が短縮でき、操作も簡便になり、よりスムーズに処置ができるようになっています。

機能4 エナメル質にやさしいシステム

前述のとおり、歯面処理にリン酸溶液が用いられてきました。しかし昨今では、酸処理によるエナメル

質表面の過度な脱灰を避けた、歯に優しいシステムが開発されています。

セルフエッチングプライマーとセルフエッチングアドヒーシブなどです。

機能5 接着力

シーラントの接着力も各社製品によって異なります。リン酸溶液で処理したシーラントがもっとも

接着力が大きいですが、いずれのシーラントも、臨床に使用可能な接着強さは示されています。

機能6 その他

シーラントにはこの他にもう蝕予防が期待できる物質が含まれており、シーラントから徐放されて

いきます。ストロンチウムによるエナメル質の酸耐性の獲得や、窩溝底部の石灰化封鎖や自己修復

されることにも期待されています。

《感想・まとめ》 シーラントは、接着技術の発展や歯科界の動きとともに改良されてきました。

以前にはなかった機能が追加され、う蝕予防への効果がより期待されています。

今回のレポートを参考に、シーラントの適応となる小児患者とその保護者に対して、適切な情報を

分かりやすく伝えることのできるよう努めていきたいと思います。

                                  衛生士  関口                       

  2015/05/21   ふくだ歯科