スタッフレポート

「なぜ歯周治療でブラッシング指導が重要なのか?」について、勉強会で発表して

今回は歯周治療の中でまずブラッシング指導を中心とした歯肉縁上プラークコントロールが徹底される根拠について考えていきます。

研究目的

深い歯周ポケットをともなう部位の歯肉縁下インスツルメンテーション後の、歯肉縁下細菌叢の再集落化(菌が再び集まること)を調査すること。

研究対象

歯周炎が進行した患者16名。年齢層は33~63歳(平均年齢43歳)。

研究方法

1人につき、プロービング・ポッケト・デプス(PPD)6mm以上でプロービング時の出血(BoP)がみられる部位4ヶ所が対象とされた。研究開始時に被験者全員にブラッシング指導を1度行い、その後2~4回のアポイントで全額の歯肉縁下のSRPが行われた。次に、被験者はグループA(9人)とグループB(7人)の2グループに分けられた。このうちグループAにおいては、研究開始後16週間ブラッシング指導が行われなかった。16週後に歯肉縁下のデブライトメントが再び行われ、その後ブラッシング指導と1日2回のクロルヘキシジン(CHX)による洗口の指示、および2週間に1回の専門家による歯面清掃(PTC)が、32週間後まで続けられた。

一方、グループBには32週間、ブラッシング指導、1日2回のCEXによる洗口、2週間に1回のPTCが継続して繰り返し行われた。

point1 プラークコントロールの質が歯周治療の結果を左右する

今回の研究では、グループAにおいて、研究開始時に1回はブラッシング指導が行われたものの、その後16週間後まで一旦中止されました。その結果、グループBと比較して、臨床的パロメータの改善の程度が低くなりました。つまり、プラークコントロールの質が歯周治療の結果を左右することが示されたのです。

Point2 ブラッシング指導は繰り返し継続する必要がある ブラッシング指導を1回だけ行ったグループAでは臨床的パラメータは改善されませんでした。ブラッシング指導は「1回だけでいい」というものではありません。プラークコントロールの質を維持するためにも、患者さんがきちんとブラッシングできているか毎回チェックし、必要に応じてアドバイスしましょう。

《まとめ》 歯周炎の原因がプラークであるとわかる以前は、歯周治療の主体は対処療法でした。いきなり歯周外科手術を行ったり、「歯周病は治らない」と諦めてすぐに抜歯をして補綴治療が行われていたことを知り驚きました。 患者さん自身にブラッシングを継続して行っていただければ、患者さんと術者の両方にとってメリットは大きいです。ブラッシングの重要性についてお互いにしっかり理解したうえで治療をスムーズに進め、信頼関係を築いていきたいと思いました。

                                                    衛生士 関口

  2015/01/14   ふくだ歯科
タグ:歯周病