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EO水

EO水(電解酸性機能水)各論②

3.保存修復学

 

1)歯科充填材料充填時の歯面処理

 目的・歯科修復材の歯面に対する接着性の向上(スミヤー層の除去)

   ・窩洞細菌の殺菌

 現状

充填材料や接着面(エナメル質、象牙質)に応じて処理液を使い分ける必要がある。

電解機能水の使用法

 1.EO水を用いた約1分間の連続的な接着紙面に対する流水処理

 2.エアブローによる接着歯面の乾燥

評価

 窩洞内殺菌効果、エナメル質面のエッチングパターンの出現、

象牙質面のスミヤー層の除去効果、通法の酸による歯面処理と同程度の接着強さ

 問題点

  歯面処理時間が通法より長い。

流水下で行う必要がある為、作業が煩雑。

 

 

2)齲窩および窩洞形成後の清掃・消毒

目的・窩洞内有機質の溶解

  ・切削片の洗浄およびスミヤー層(切削片、組織片が根管壁に厚く塗り込められた層)

の除去

  ・窩洞内の無菌化

現状…各種薬液による窩洞内の洗浄・消毒

→問題点…周囲組織の為害作用、残留による歯髄刺激

 電解機能水の使用法

  洗浄筒洗浄による60秒以上の連続的な窩洞内面に対する流水処理

   1.洗浄針先端を窩洞内に挿入

   2.EO水を30~300ml(30~60ml/分で1~5分間)で還流

   3.エアブローによる窩洞内面の乾燥

 問題点

  スミヤー層の除去ならびに窩洞内消毒に有用であるが、軟化象牙質の機械的清掃なくして、

その消毒効果が得られないことを理解した上で使用する必要がある。

 

 

 

 

4.歯内療法学

 

1)歯内療法時の根管内洗浄・消毒

 目的・根管内の無菌化

   ・根管壁スミヤー層の除去

 電解機能水の使用法

  ◇根管壁スミヤー層の除去

根管内全体に多量のEO水を還流させることが重要

    ①洗浄筒洗浄法

     1.洗浄針先端を根尖部分まで挿入する

     2.根管拡大中に数回に分けて使用する場合:EO水を30ml以上(6ml/分以上)

で還流

     3.根管拡大終了後に使用する場合:EO水を90ml以上30ml/分以上で3分間以上)で還流

    ②超音波洗浄法

     1.超音波機器へ根管より細いチップを装着

     2.先端を根尖部より約1mmアンダーに挿入

     3.水流値を30/分以上に設定

     4.EO水にて1分間以上の連続的な根管超音波洗浄(歯内治療用の低出力)

  ◇根管内消毒

    1.有機成分除去の為、十分な機械的根管拡大を行った後に使用する。

    2.以下、根幹壁スミヤー層除去に準じる

 問題点

  EDTA溶液や次亜塩素酸ナトリウム溶液と同条件で使用した場合、それらに匹敵する消毒効果は期待できない。超音波による根管壁へのダメージに注意。有機質の量が多いと効果が激減するので必要十分な根管拡大が必要。

 

 

2)ガッタパーチャポイントの殺菌・消毒

 目的…根管内充填材の消毒

 電解機能水の使用法

  1.EO水による15分間の浸漬処理

  2.乾燥処理

 問題点

  長時間浸漬すると表面構造の変化や特異変化が起こる

 

 

 

 

 

5.歯周病学

 

1)歯周ポケット内の洗浄・消毒

現状

・ブラッシングによる清掃(機械的清掃法)

  ・超音波スケーラーによる清掃

  ・各種薬液によるイリゲーション(科学的清掃法)

  ・局所薬物配送システムによる細菌の抑制(LDDS)

電解機能水の使用法

  ①洗浄筒洗浄法

    1.洗浄針先端を歯周ポケット内に挿入

    2.EO水を歯周ポケット内で5ml~20m/1歯流出させ洗浄

  ②Perio Pik洗浄法…EO水を用いたPerio Pik洗浄法による30秒間の流出洗浄

  ③シリンジ充填法…強電解酸性ジェルを歯周ポケット内へシリンジにて充填

 評価

  ・歯周ポケット内イリゲーション(毎週1日1回併用)

    …Plaque Index、Gingival Index、GCF量、歯周病原細菌の明らかな減少

  ・電解酸性ジェルの歯周ポケット内充填

    …1回の充填で7日間の総菌数と黒色色素酸性菌の有意な減少が見られる

 問題点

  唾液中の有機物の影響により、EO水の性状に変化が生じる

 

 

2)歯周外科手術時の施術歯根面処理

 目的…新付着の獲得

電解機能水の使用法

  1.EO水を含む小綿球の作成

  2.小綿球による3~5分間の歯根面擦過処理(小綿球は30秒毎に交換)

 評価

  繊維芽細胞の偽足伸展が鮮明で強固に付着する度合い

     クエン酸>電解酸性機能水>テトラサイクリン処理

問題点…処理時間が通法より長く、流水下にて行う必要がある為作業が煩雑となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

6.歯科補綴学

 

1)歯肉縁下形成後の洗浄・消毒・止血

 目的

  ・術後の感染予防

  ・印象採得のための止血

 現状

  ・過酸化水素水や塩化ベンザルコニウムによる洗浄・消毒

  ・ボスミンによる止血

 現状の問題点

  ・薬液による周囲組織への為害作用

  ・薬液の残留による治癒障害

  ・ボスミンは心疾患患者において使用禁忌

 評価

  殺菌作用、血管収縮作用による止血効果…印象採得を行いやすくなる。

 問題点

  EO水には金属の腐食作用があり、特に銀合金にはその影響が大きい。

  そのため、洗浄・消毒に注意を払う必要があるが使用時間は短いので、特に問題は無いと

考えられる。

 

 

2)支台築造用根管形成面の洗浄・消毒

 目的

  ・支台築造用根管形成面の切削面、スミヤー層の除去

・支台築造用根管形成面の無菌化

 電解機能水の使用法

  ・洗浄筒洗浄法

  ・超音波洗浄法

 問題点

  EDTA溶液や次亜塩素酸ナトリウム溶液と同条件で使用した場合、それらに匹敵する消毒

効果は期待できない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3)各種印象採得物の洗浄・殺菌・消毒

 目的…院内感染予防

 電解機能水の使用法

  ①浸漬法

    1.水道水による十分な前洗浄もしくは電解アルカリ性機能水による30秒間の前洗浄

    2.EO水による5分間の浸漬処理

    3.水道水による軽い後洗浄

  ②流水法

    1.水道水による十分な前洗浄もしくは電解アルカリ性機能水による30秒間の前洗浄

    2.EO水による1分間の流水処理

    3.水道水による軽い後洗浄

 評価

  EO水による5分間の浸漬処理で、ほぼ100%の殺菌・消毒効果が得られる。

  処理が短時間である為、印象採得物の寸分変化や表面荒れは少ない。

  石膏注入後の模型精度への影響も最小限。

 問題点

  多少の膨張変化。

  唾液や血液付着などによりEO水の効果は著しく減弱されるため前洗浄が重要。

 

 

4)アルジネート印象材の練和用液への応用

 目的…院内感染予防(印象採得物内部の消毒)

 使用法…EO水によるアルジネート練和・採得+採得後、上記3)と同様の洗浄法

 評価

  EO水をアルジネート印象材の練和液として用いた場合、印象採得物内部まで殺菌効果が見られる。EO水の有効塩素はアルギン酸ナトリウムに反応するため、完全な殺菌効果は期待できない。しかし、印象採得後に流水法あるいは浸漬法を用いて印象採得物を洗浄することにより、完全な殺菌・消毒が可能となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5)咬合床、蝋義歯、ワックスバイトの洗浄・殺菌・消毒

 目的…院内感染予防

 電解機能水の使用法

  ①浸漬法

    1.水道水による十分な前洗浄もしくは電解アルカリ性機能水による30秒間の前洗浄

    2.EO水による5分間の浸漬処理

    3.水道水による軽い後洗浄

  ②流水法

    1.水道水による十分な前洗浄もしくは電解アルカリ性機能水による30秒間の前洗浄

    2.EO水による1分間のブラシ清掃処理

    3.水道水による軽い後洗浄

 評価

  EO水の1分間の作用で99.8%、5分間作用以上で100%の殺菌効果が期待できる。

 

 

6)模型の洗浄・殺菌・消毒

目的…院内感染予防

電解機能水の使用法…上記3)と同様の洗浄法

 問題点

  EO水への5分間の浸漬処理により、石膏模型表面2~3mmに付着する細菌は死滅するが、内部4~6mmと深く入り込んだ細菌の殺菌には48時間以上の浸漬が必要。したがって、技工作業工程により浸漬時間を考慮する必要があり、分割等をしたときの破断面には気をつける。その際にはEO水に再度5分間浸漬して殺菌する必要がある。

  2014/01/13   ふくだ歯科
タグ:EO水

EO水(電解酸性機能水)各論①

1.各科共通項目

    1)口腔衛生指導時の歯ブラシ、歯間ブラシ等の洗浄・殺菌・消毒

   安全性が高く、安価である電解酸性機能水の殺菌作用は協力であり、副作用は殆どない。

 2)口腔内洗口・含嗽によるプラークの形成抑制

   電解酸性機能水を一定の条件で含嗽させる事により、プラーク中の歯周病関連細菌及びう蝕関連細菌の減少効果が生じ、結果的に歯面へのプラーク蓄積量を抑制させた。Streptococcus mutansに対する殺菌効果は3回以上の洗口によりみられた。

 3)口腔内洗口・含嗽による口腔内悪臭の除去

   電解酸性機能水による口腔内洗口・含嗽を1日3回食後に行い、1週間後のメチルメルカプタンのppmを測定した結果、ブラッシングのみに比べて高い消臭抑制効果を示した。

 4)エアタービン、超音波スケーラー、超音波振動根管拡大洗浄装置の噴射水への応用

   電解酸性機能水によるエアタービン、超音波スケーラー、超音波振動根管拡大洗浄装置の内部腐食と配管材の劣化が懸念される。従って、これらの防止策としては、使用後に電解アルカリ性機能水などによる中和処理が必要。

 

2.院内感染予防

 1)手指、手袋の洗浄・殺菌・消毒

   電解酸性機能水を用いた15秒間の連続的流水処置では90%以上の除菌効果があり、

ウェルパス同等の効果を示した。30秒間の浸漬処理で有効な除菌効果が得られるが、30秒以上行っても、除菌効果はあまり向上しない。グローブを常時用いた場合は、10秒間の浸漬処理で効果が現れる。

 2)治療室、手術室内環境の洗浄・殺菌・消毒

   電解酸性機能水は即効性の殺菌効果を示し、生体に対しての為害作用も低い。

 3)ユニット注水管路の洗浄・殺菌・消毒

   ユニット中に直接電解酸性機能水を給水使用する場合、メリットは非常に大きい。しかし、長時間接触する為、構成部材の腐食が懸念される。その為、腐食させないような対策が必要である。(電解酸性機能水→電解アルカリ性機能水による中和処理→エタノール等による管路内の脱水、乾燥処理)

4.各種器具、機材の洗浄・殺菌・消毒

 今後、コストや手間のかからない電解酸性機能水が歯科臨床の場において一般的な滅菌、消毒法法となるであろう。

 電解酸性機能水による消毒に必要な浸漬時間は10~20分間であり、金属製器具の腐食防止には使用後、電解アルカリ性機能水で洗浄し乾燥するか、次の滅菌過程に移す事で完全に回避する事ができる。また、電解アルカリ性機能水による前洗浄を行う事により、血液等の付着物の除去効果を高める。

  2013/12/12   ふくだ歯科
タグ:EO水

EO水(電解酸性機能水)について、総論

―「口腔機能水ガイドライン」総論―

 

機能水(Functional Water)

 人為的な処理によって再現性のある有用な機能を獲得した水溶液の中、処理と機能に関して科学的根拠が明らかにされたもの及びされようとしているもの。(機能水は日本機能水学会会則の第2条に記されている)

 

電解機能水

 電解水は薄い食塩水や水道水などを弱い直流電圧で電気分解することによって有用な機能を獲得した水溶液である。電解条件によって様々な電解水がつくられる。

 *殺菌性電解水(電解酸性機能水、電解弱酸性機能水、電解微酸性機能水、電解次亜水)

*飲用に用いられる電解水(アルカリイオン水)

 

電解酸性機能水の生成原理

 隔膜によって陽極と陰極に仕切られた有隔膜式電解槽内で濃度0.1%以下の食塩水を電気分解すると、陽極―電解酸性機能水が生成される。

      陰極―電解アルカリ性機能水が生成される。

 

殺菌ポテンシャル

電解酸性機能水はほとんどすべての微生物に対して瞬時で強力な殺菌力をし、電解酸性機能水の有効塩素濃度40ppmは、1.000ppmの次亜塩素酸ナトリウム液に匹敵する殺菌力を有している。しかし、蛋白質などの有機物が存在するとその殺菌力は減弱する。

 電解酸性機能水の一般細菌に対する殺菌効果は次亜塩素酸ナトリウム液より、殺菌スペクトルが大きい。

 

電解酸性機能水の保存性

良好な保存方法は密閉遮光容器の4℃で、30日以内であれば十分使用可能である。

 

電解酸性機能水の殺菌作用の有無の判定

ヨウ化カリウムデンプン反応を使用したテストペーパーADVANTECを用いて確認するとよい。

青に変色―有効な殺菌力あり、白く変色しなければー有効な殺菌力なし。

 

有機物による電解酸性機能水の殺菌力の減少

有機物の存在している口腔知立に使用する際は、流水洗浄あるいはジャブジャブ使用することが大原則である。

 

一般消毒薬との併用効果

電解酸性機能水を使用する場合は他の消毒薬と併用しないで電解酸性機能水のみで使用した方がよい。

 

 

電解酸性機能水による歯の脱灰

エナメル質、象牙質に対する影響はエッチング操作作用よりも歯への脱灰の影響は少ない。

              ↓ 実験結果を総括すると・・

電解酸性機能水を用いて含嗽あるいは洗口を行っても歯質に対する影響は極めて 少ないと考えられる。

 

電解酸性機能水による金属の腐食

金属は酸により酸化され、腐食する。電解酸性機能水はpH2.7以下の強酸である。

口腔内使用金属・・銀合金以外は72時間浸漬実験にも変化がみられない。

歯科用切削器具・・歯科用切削器具は腐食し易いので浸漬時間を必要最小限にすべき。

診療器具・・・・・比較的早い時間に腐食が生じるので浸漬時間は必要最小限にする。

 

 

電解酸性機能水(使用手引きより)

●電解酸性機能水は多くの病原微生物を瞬時に殺すちからがある。

《感染病の原因になる病原菌、ウィルス》エイズ、B型・C型肝炎、ヘルペス、MRSAなど。

《食中毒の原因になる菌》黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、大腸菌O-157など

 

●薬品にはないすぐれた特長・・病原微生物に作用し、人や環境にはやさしい水。

《安全》薬品とちがい薬剤耐性・残留性がなく、人体に無害。

《安心》ヒフ、だ液、血液などの有機物に触れると普通の水に戻る。

《信頼》多くの医療機関、公共施設、有機栽培農家などで普及。

 

●使用上の注意

・使用前に、血液・タンパク質などの汚れを水道水などで十分洗い流す。

・使用する部位に対して「洗い流す」という感じで使う。

・ステンレス製以外の金属への使用は避け、使用後は水道水でよく洗う。

・多少のにおいと酸味がある。

・飲み物ではない。人体には無害だが、飲み込まない。

 

●口の中の使用例

・虫歯の原因菌を抑制。                             ・歯肉炎、歯周病の予防。口内炎の改善。                   

・口臭予防。                                  ・口の中のネバネバ感がなくなる。

・粘膜の消炎、鎮痛効果が期待。                    ・ ・風邪の予防やのどの痛みに。

          

 

  2013/11/20   ふくだ歯科
タグ:EO水