ソフト酸化水は、希塩酸水を電気分解することによって得られる電解機能水の1つで微酸性
次亜塩素酸水である。
1.電解水について
電解水とは水道水や食塩水などを電気分解することで得られる水溶液の総称である。
生成装置によって、生成する電解水の物性が決まる。強酸性電解水を生成する装置からは、洗浄用の
強アルカリ性電解水も生成する。
次亜塩素酸水の pH
強酸性次亜塩素酸水 (強酸性電解水) 2.2~2.7
弱酸性次亜塩素酸水 (弱酸性電解水) 2.7~5
微酸性次亜塩素酸水 (微酸性電解水) 5~6.5 ・・・ソフト酸化水
2.アクエスの特長
ソフト酸化水はその特性として
(1)pHが5.0~6.5中性に近い
(2)遊離の次亜塩素酸を多量に含んでいる ことがあげられる。
pHが中性に近いということから、ソフト酸化水は従来の強酸化水と比較して皮膚への障害性が
少なく、金属腐食が起こりにくいという利点を持っている。
また、ソフト酸化水、強酸化水、次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜塩素酸類の除菌力は含有塩素濃度
によって表され、その有効成分は遊離の次亜塩素酸(HClO)が担っていることがあきらかになって
いる。
次亜塩素酸の存在様式はpHで変化し、ソフト酸化水の属する弱酸性域で遊離の次亜塩素酸の存在比率
最も高くなる。pHが下がる強酸性領域では塩素(Cl2)が発生しやすく、ソフト酸化水は強酸化水より
次亜塩素酸の安定性が高いことも確認されている。 一方、アルカリ性領域になるとそのほとんどが
次亜塩素酸イオン(Cl-)となって存在するので、ソフト酸化水は同じ有効塩素濃度の次亜塩素酸ナト
リウムの十〜数十倍の除菌力を持つことが期待される。
3.ソフト酸化水の優れた除菌力
一般的に歯科医院で使用される消毒剤には、除菌効果が高いほど人に対する毒性が高く、安全性が
高いと除菌効果が低いという傾向があり、使用用途に応じた消毒剤の選択が必要であった。しかし、
ソフト酸化水は毒性が低く、強酸化水、アルコール消毒剤に勝る高い除菌力を持っている。一般的な
強酸化水に見られる有効成分のガス化(塩素ガス発生)などの問題も少なく、優れた除菌力を発揮
する。
4.微生物濃度を変化させたときのソフト酸化水の除菌効果
〈試験方法〉
口腔内に常在し、様々な口腔内感染症に関与する微生物を、有効塩素濃度10、20、30 ppmの3段階の
ソフト酸化水(いずれもPH6.5)で処理し、生菌数を測定。
〈結果〉
有効塩素濃度10 ppm、処理時間30秒の条件下で、A. viscosus、S. mutans 、S. sanguinis 、
P. gingivalisの細菌数を変化させソフト酸化水処理した結果、S. mutans 、P. gingivalisはほとんど
除菌された。A. viscosusは3%程度まで生存率が低下し、その生存率は細菌数の低下に伴い減少
した。アクエスで生成するソフト酸化水の有効塩素濃度は20〜30ppmに設定されていることから、
より多くの微生物の存在下でも有効に除菌すると推定される。 また、塩素濃度20、30ppmのソフト
酸化水は、全ての微生物に対して10〜30秒の処理時間で極めて高い除菌効果を示した。有効塩素
濃度10ppmで若干の発育が見られたA. viscosusも20、30ppmの有効塩素濃度では全く発育しないこと
からアクエスで生成されるソフト酸化水処理においては除菌効果には問題ないと考えられる。
5.まとめ
ソフト酸化水などの電解機能水については、口腔機能水ガイドラインに、器具の洗浄、殺菌作用だけ
でなく、口臭の除去、創傷や抜歯後の治癒、止血効果などが紹介されている。また、歯科以外の分野
においても、食中毒の原因菌やウイルスに有効なことが報告されており、食品添加物としても認可
されている。 アクエスの生成するソフト酸化水は、様々な口腔内感染症を起こす常在微生物に対して
10秒という短時間で極めて強力な除菌効果を認めているので、今後、歯科領域の様々な分野おいても
益々広範囲に利用されると考えられる。