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唾液の力(唾液の緩衝能)について

「口が酸っぱくなる」と唾液の緩衝能は関係がある?

物質の酸性やアルカリ性の度合いを示すpHは0~14の数字で表され、数字が小さくなるほど強い酸性、大きくなるほど強いアルカリ性であることを示している。pH7は中性を指す。安静時の唾液はおおむね中性で,pHは6.2~7.6(平均6.7)程度。

通常、 酸性の強いもの→酸っぱさを感じる

       アルカリ性の強いもの→苦さを感じる

   しかし、

       酸っぱいものを食べてもその酸っぱさは永久に残らない。

       酸っぱい味のものを一度飲んだからといって必ず歯がとけるものではない。

                 ↑

             唾液による緩衝能がある

  

唾液の緩衝能とは、唾液が正常な範囲に口腔内を保とうとpHの変化に抵抗するはたらきのこと。

 

 唾液は緩衝液(弱酸と弱酸からできた塩を含む溶液)として作用し、口腔内のpH変化に抵抗する。

 

 ヒトの唾液の緩衝能は重炭酸塩システム、リン酸塩システム、タンパク質の3つの緩衝能システムによって調整されており、うち85~95%が重炭酸塩システムによる。

 

 唾液のpHは唾液中の重炭酸イオン(炭酸が水に溶けた状態)濃度によって変化し、濃度が増すとpHも上昇する。重炭酸イオン濃度は唾液分泌量に強く依存するため、唾液分泌量が多いと緩衝能が高く、少ないと低くなる。

 

◎歯を浄化し、包みこむ唾液(唾液の浄化作用)

 唾液は透明な有機物でできた厚さ0.1~数㎛の均一で薄い被膜として、歯の表面に存在している。この被膜は「ぺリクル」(獲得被膜)と呼ばれる。

 

 歯の表面に唾液が触れるとペリクルの形成が開始され、1時間ほどで一定の厚さになる。

 これは主に唾液タンパク質が選択的に歯の表面に吸着されたもの

                  ↓    

歯の物理的保護、浄化作用、歯の脱灰抑制、再石灰化の促進。

 

◎唾液の中のカルシウムイオンとリン酸イオン

  安静時の唾液にはカルシウムイオンとリン酸イオンが豊富に含まれていて、歯や歯石などを構成しているリン酸カルシウムを形成するのに十分な状態(過飽和)となっており、安静時のプラークpH下では、プラーク中に微小なリン酸カルシウムが形成されている。

  唾液にはリン酸カルシウムの結晶になる材料が豊富に含まれているが良好な口腔内状況下では、歯石が口全体にできることなない。これはタンパク質とカルシウムイオンが非常に結合しやすく、リン酸カルシウムの沈殿や結晶の形成を特異的に防止している。

 

◎口腔内にあるう蝕の薬とは・・・

  う蝕発生リスク:

   プラーク中の細菌は、ショ糖や炭水化物を急速に代謝し酸を産生する。その結果、時

   間の経過とともにプラークpHが変化する。プラークの緩衝能により徐々に値が回復

   する。pHが改善してくると、唾液に含まれるカルシウムイオンやリン酸イオンが歯

   に再び取り込まれる再石灰化が促されるが、その速度は個人や条件により異なる。

  

  その他:*睡眠や口腔乾燥症での唾液減少

      *3大不潔域に代表される低い浄化作用等の原因で唾液・プラークともに緩衝能が低くなり、pHの改善に時間がかかって脱灰時間が増え、う蝕発生リスクが高まる。

      *食事や間食回数が多いと、口腔内が酸性になる頻度が増え、脱灰が起こる。

 

   

   歯の白斑の回復はわずかに脱灰されたエナメル質の再石灰化によるもので、唾液やプラークに対するフッ素イオンの関与が重要であるとされている。特に低濃度のフッ化物が歯の周囲に存在すると、pHが低い場合でも脱灰を抑制する。pHが中性域の場合には再石灰化を促進する。このことから、日常的なフッ化物応用を行うことが重要である。

  2014/06/15   ふくだ歯科
タグ:唾液